健康を維持するには何を食べ、どんな運動をすれば良いのか。根拠の不確かな情報に翻弄されるよりも、健康長寿の人たちの生活習慣をマネするほうが賢明なはず。
本連載では、『世界一長寿で幸せな村 イタリア ピオッピ式 最高の長生き術』(わかさ出版)から、イタリア南部の長寿村、ピオッピ村の人々の生活習慣にならい、毎日多忙な社会人でも効率よくヘルシーになれる方法を紹介する。
低糖質がキーワード
過去2回の記事では、コスパの良いヘルシー食材として、"良質な油脂"を含むオリーブオイルやナッツと栄養の豊富な卵に注目した。
平均寿命が87歳というピオッピ村の人々は、他にはどのようなものを食べているのだろうか? 著者によると、彼らの食生活には主に以下のような特徴が挙げられる。
・エクストラバージンオリーブオイルを少なくとも1日大さじ2〜4杯摂取
・ナッツ類を軽くひとつかみ分、毎日摂取
・野菜は1日3食または2食で摂取
・繊維質の野菜と低糖の果物をたっぷり取る
・肉よりも、高脂肪の魚をたっぷり取る
・炭水化物はあまり食べない。パスタは前菜として、ピザは月に1〜2回嗜む程度
・アルコールは、夕食時に赤ワインを1杯飲む程度
ピオッピ村民の食生活の重要なキーワードが"低糖質"。意外にも、パスタやピザはあまり食べず、その代わりに野菜や魚をよく食べ、果物も低糖のものをたっぷり取るそうだ。糖質を控えた食事は、ピオッピ村の人々の健康長寿を支える大きな要因なのかもしれない。
チョコレートは「カカオ85%以上」
糖質はできるだけ控えたいが、甘いものを口にせずにはいられない人はたくさんいるだろう。ピオッピ村の人々はめったに口にしないものの、たまのご褒美として著者が勧めるのがブラックチョコレートだ。
ブラックチョコレートの条件としては、以下が挙げられる。
・カカオが85%以上含まれ、固形のもの(摂取量の目安は1日30グラム)
・または、未加工のカカオパウダー(摂取量の目安は1日大さじ1杯)
カカオの含有量が多ければ多いほど、砂糖などの添加物が少ないことになる。チョコレートを買うときには、カカオの割合に注目しよう。
カカオといえばポリフェノールが豊富なことで知られるが、本書によれば、さまざまな研究によってカカオの健康効果が実証されている。ある研究によれば、被験者に15日間ブラックチョコレートを食べてもらったところ、血圧を抑制する作用が見られたそうだ。また、ココアパウダーを摂取した被験者からは、悪玉コレステロールの酸化予防や善玉コレステロールの増加といった変化があったという。
ブラックチョコレートは甘味に加えて苦味も強いが、少量でも十分に食べ応えがあり、満足感を得られる。食後に甘いものが欲しくなったら、ぜひブラックチョコレートを口にしてみては。
ベリーなどの果物がお勧め
また果物についても、ピオッピ村の人々のように、低糖質で高栄養のものを選べば食べてもOK。本書が勧める果物は、リンゴとベリー類だ。
リンゴは、抗酸化物質、フラボノイド、食物繊維などが豊富に含まれ、定期的に食べると認知症のリスクが低下するという研究結果が多数あるとのこと。また、オックスフォード大学が50歳以上の人々を対象に行った研究によれば、1日1個のリンゴを食べることで、心臓発作や脳卒中を予防するスタチン系薬剤と同じくらいの効果が認められたそう。
ブルーベリーやラズベリーなどのベリー類も、フラボノイドが豊富なことで知られる。フラボノイドのような抗酸化物質には、血管の炎症を保護し、血管壁を柔軟にして血圧を下げる働きがあるため、積極的に取りたい果物の一つだ。
このように、ピオッピ村の人々の長生きの秘訣は食べ物にあるが、それ以外にも注目すべきポイントがある。次回は"食べない"健康法に注目したい。