僕の住む街、東京都練馬区石神井公園に、創業昭和50年の老舗焼鳥店「ゆたか」がありました。

初めて入ったのはこの街に暮らしはじめてすぐのことだったので、16年ほど前。以来この店の人と味と雰囲気が大好きになり、ずっと通い続けてきました。が、先日、噂を聞くや否やあっという間に、最後にもう一度の訪問も叶わず、ゆたかは閉店してしまいました。あぁ悲しい。もうあの場所であの焼鳥を食べることはできないのか……。

ところで、ゆたかの焼鳥のなかでも僕が特に好きだったのが、鶏皮串のたれ焼き。

  • ゆたかの鶏皮串にヒントをもらった、串に刺さない「鶏皮とピーマンの焼鳥風炒め」を作ってみましょう!

    ゆたかの鶏皮

写真を見てもらうとわかりますが、ていねいに巻かれてこんがりと焼かれた鶏皮のひとつに、ピーマンが巻かれているんですよね。このアクセントがものすごく良くて。

ちなみに、串打ちの作業は昼間、店の開店とほぼ同時に入られた、熟練のスタッフさんが担当しており、一度その作業を見学させてもらったこともあるのですが、それはそれは美しいものでした。

  • これぞ達人の技

    これぞ達人の技

■あの味が恋しくて

さて、ここからはおつまみの話。

もちろん自宅でゆたかの味を再現できるわけはない。けれども、鶏皮とピーマンの相性が良いことは間違いない。そこで、ゆたかの鶏皮串にヒントをもらいつつ、自宅でもお手軽に作れる、串に刺さない「鶏皮とピーマンの焼鳥風炒め」を作ってみようと思い立ちました。作ってみましょう!

  • 鶏皮

    鶏皮

鶏皮は、大きめの精肉コーナーのあるスーパーなどであれば、写真のように単体で販売されていることも少なくありません。また、鶏胸肉や鳥もも肉から皮をはがし、肉は別の料理に使って、皮はピーマンと炒める。というのもありでしょう。

  • ピーマンも用意します

    ピーマンも用意します

分量はてきとうで大丈夫ですが、目安としては、胸やももなどの皮1枚ぶんに対して、ピーマン1個くらいでしょうか。

で、鶏皮を食べやすい大きさにカット。大きさは焼鳥の串に刺さってるくらいをイメージしましょう。今回は半冷凍状態だったのでさくさくいけましたが、生の場合は切りづらいこともあると思います。そういうときは、いったん適度に火を通し、取り出して粗熱を冷ましてカットし、ふたたび調理の続きへ、という方法でも良いでしょう。

では、フライパンで鶏皮を焼いていきます。

  • 調理開始

    調理開始

コツとしては、火加減は弱火で、油はひかず、あせらずじっくり。しばらくそのままにしておくと、皮から脂、いわゆる鶏油というやつがじゅわじゅわと染み出してきます。これがお宝!

このあたりで、ざっくり同じくらいの大きさに切ったピーマンを投入。ヘタやワタも食べられるし美味しいので、気にならない方は取り除かずにそのまま入れてしまいましょう。

  • ピーマン投入

    ピーマン投入

で、さらにしばらく炒めていきます。決してあせらず、鶏油をピーマンに吸わせながら、鶏皮とピーマンの表面にうっすらと焦げ目がつくくらいまで。

そうしたらここへ市販の焼鳥のたれを、全体に行き渡るくらいの量投入。仕上げは火加減を中火くらいにして、じゅわーっと炒め合わせましょう。焦げ目が強めにつくくらいまで。

  • 【写真】脳内に“美味しい味”が広がるでしょう…こんがりぷりぷり鶏皮と、純度100%の旨味を吸いまくったピーマンが、うまい!

    じゅわーっ

はい、あとはお皿に盛って七味をふれば完成!

  • 「鶏皮とピーマンの焼鳥風炒め」

    「鶏皮とピーマンの焼鳥風炒め」

僕が説明するまでもなく、写真を見たみなさんの脳内に美味しい味の想像が広がっているとは思いますが、そう、うまいんです! こんがりぷりぷりの鶏皮と、その純度100%の旨味を吸いまくったピーマン。

あ〜、ビールがすすむ! そして、あ〜、ゆたかに行きたい……。

■作りかた(ひとりぶん)

【材料】

・鶏皮:好きなだけ
・ピーマン:目分量でピーマンと同量くらい
・焼鳥のたれ:適量
・七味唐辛子:お好みで
※すべての分量は目安です。お好みで調整してください。

【作りかた】

1.鶏皮を食べやすい大きさにカットし、弱火で脂がたっぷり出てくるまで炒める。
2.同じくらいのサイズにカットしたピーマンを加え、全体に焦げ目がつくくらいまで炒める。
3.焼鳥のたれを回しかけ、火加減を中火くらいにしてさらによく炒め合わせる。
4.お好みで七味をふる。