スニーカー通勤からビジネスリュックまで、ビジネスファッションの多様化が浸透した結果、定番のオフィスアイテム自体も進化しました。例えばビジネスパンツ。これまでビジネスシーンで許容されるパンツといえば「スラックスとチノパン」の2択でしたが、最近ではストレッチが効いたイージースラックスが増えています。

ストレッチが効いているためリモートワークなどでも使いやすいですし、見た目はスラックスと変わらないため、そのままオフィスに出勤することも可能。何よりスニーカー通勤など「新時代の着こなし」にも合います。

ところが、化学繊維で織られたこのパンツは、意外にもドレス感あるエレガントな革靴に合わないケースもあります。『38歳からのビジネスコーデ図鑑』(日本実業出版社)の著者が、今回は「これさえ買えば『1週間乗り切れる』イージースラックスと活用法」についてお伝えします。

  • ビジネスパンツとカジュアルパンツの間のパンツとは?

スラックスとの違い

これまでスラックスといえば、センタープレスが入ったウール素材のパンツでした。強度を高めるためポリエステルなど化学繊維が混紡されるタイプもありますが、その見た目はイギリスでいうところのトラウザーズ(スーツのズボン)そのものでした。

一方、最近増えている100%化学繊維の機能性パンツ。イージースラックスと呼ばれるこのタイプは、伸縮性・通気性・速乾性が備わっているものが多く、基本的にウォッシャブルです。また、ウールの生地感を転写プリントしているデザインも多く、名刺交換の時でも見た目の印象はチノパン以上にエレガントになります。実は、この印象がスニーカー通勤になじむ理由です。

スニーカーとスラックスは相性が良い組み合わせではありませんが、スラックスの素材感を天然繊維から化学繊維に変えるだけでスニーカーによく合います。チノパン以上、トラウザーズ未満のドレス感が、オフィス用スニーカーのトーンになじむからです。

イージースラックスは2種類ある

そんなイージースラックスも、実は2種類に分かれます。キレイ目の私服セットアップにもなる、カジュアル寄りのイージースラックス。そして、ワイシャツやネクタイと相性抜群のドレス寄りのイージースラックスです。これらを大別する要素はさまざまですが、決定的な違いは「センタープレスの有無」にあります。

今回、推奨するイージースラックスは「センタープレスがある」タイプ。折り目がきちんと入ったイージースラックスなら、より一層ドレス感が高まるため、革靴やネクタイとも相性抜群です。

逆にカジュアル寄りのイージースラックスはスニーカーには合いますが、スーツ用の革靴に合わせづらいことがネックになります。カジュアル寄りのスラックスが革靴のエレガントな印象に負けてしまうからです。ネクタイ・スーツから通勤用スニーカーまで、幅広いアイテムに合わせられるドレス寄りタイプを選びましょう。

センタープレスを形状記憶化したイージースラックス

天然繊維のスラックスを履く時、これまではメンテナンスが重要でした。センタープレスが消えかかったスラックスはだらしなく見えるため、どんなに高価で上質なものであってもNG。その問題を解消したイージースラックスがあります。

パンツの裏側に樹脂でコーティングを施し、洗濯しても折り目が消えない、つまり、センタープレスが形状記憶化されているのです。化学繊維100%だからこそ実現できた「折り目」が、日頃、身なりにあまり気を遣わない人でも365日パリッとさせてくれます。

1本で2本分の価値を生み出す高機能パンツ

スニーカーも革靴も合わせられるセンタープレスが付いたイージースラックス。なかでも筆者が注目したいのは、裾上げ不要でパンツの裾丈を変えられるタイプ。

  • 「ウォッシャブル・パーフェクトストレッチ【WE SUIT YOU】QUICK TOUCH パンツ」(税込7,480円) 提供:THE SUIT COMPANY(青山商事)

スニーカーと革靴では、靴のボリューム感が異なり、それぞれも最適なパンツ丈は微妙に違います。そこで、パンツの裏側に付いたスナップボタンのワンタッチで裾丈を調整し、靴履いた時にパンツ丈を簡単に変えられるのです。

各スーツ量販店や百貨店でも見掛けるイージースラックス。トラウザーズやチノパンに代わる第3のビジネスパンツとして試してみてはいかがでしょうか。