前回の記事で国内旅行傷害保険を付帯した年会費無料のクレジットカードを紹介したが、いずれも所定の旅行代金をカードで支払わなければ保険が適用されない利用付帯条件があった。

利用付帯の旅行傷害保険では、旅行代金をマイルやポイントで支払った、同行者が立て替えてくれたといったケースでは、補償の対象外になってしまう。こうした場合には、カードを持っているだけで保険の対象になる自動付帯の旅行傷害保険でなければ補償を受けられない。

しかし、海外旅行傷害保険であれば、年会費無料でも自動付帯となるカードは多数存在するが、国内旅行傷害保険の自動付帯はゴールドカードでも稀だ。そこで今回は限られた選択肢のなかでも、おすすめの3枚を紹介する。

  • 「旅行傷害保険」を自動付帯したカード3選

なお、クレジットカードの旅行傷害保険は、国内旅行を対象とするものと、海外旅行を対象とするもので補償内容が異なる。

海外旅行傷害保険は疾病治療や携行品損害などに対しても補償を受けられるが、国内は怪我に対する補償のみ。また、補償を受けられるケースも、電車、航空機、船舶など公共交通乗用具搭乗中の事故、ホテルなどに宿泊中の火災や爆発、宿泊を伴うツアー(募集型企画旅行)参加中の事故となる。他にも細かい条件があるので、申し込む前には公式サイトなどで一度確認してほしい。

1.補償内容充実の「ライフカードゴールド」

「ライフカードゴールド」は年会費1万1,000円。旅行傷害保険は海外・国内ともに自動付帯で、家族にも保険が適用される家族特約付きとなる。家族特約は、本人会員と生計を共にする配偶者、本人会員または配偶者と生計を共にする同居親族、別居の未婚の子供が対象。条件を満たす家族であれば、本人会員が同行していない旅行でも保険の対象になる。

  • 「ライフカードゴールド」

海外旅行傷害保険の補償額は、傷害死亡・後遺障害時は最高1億円(家族特約は最高1,000万円)、傷害・疾病治療は最高300万円(同150万円)、誤って他人を怪我させたり他人の物を壊したりした際の賠償責任に対しては最高1億円(同5,000万円)、携行品損害は年間最高40万円(同20万円)、救援者費用は年間最高300万円(同100万円)となる。

また国内旅行傷害保険の補償額は、傷害死亡・後遺障害時に最高1億円(家族特約は最高1,000万円)、入院時は1日につき1万円(同5,000円)、通院は1日につき4,000円(同2,000円)、手術は最高10万円(同5万円)。入院・通院・手術に対する補償は、事故発生から8日目以降も入院または通院状態が継続している場合に、1日目から対象となる。

さらに、日本国内で自動車搭乗中にシートベルトを着用していた場合の事故で、死亡または重度後遺障害を負うと、最高200万円が補償されるシートベルト傷害保険も自動付帯。カードで購入した物品が購入から90日以内に盗難・破損など偶然の事故で損害を被った場合に、年間最高200万円が補償されるショッピングガード保険も付帯している。

このほかにも国内27空港が対象の空港ラウンジサービス(2020年11月5日時点)、24時間365日対応のロードサービス、弁護士への法律相談が初回1時間無料になるサービスなども利用可能。毎年誕生月はポイント3倍の1.5%還元になるなど、高いポイント還元率も特長のカードとなっている。

なお、年会費1,375円(初年度無料)の「ライフカード<旅行傷害保険付き>」や「ライフカード Stella」も、海外最高2,000万円、国内最高1,000万円が補償される旅行傷害保険、さらに最高200万円が補償されるシートベルト傷害保険を自動付帯している。維持費を安く抑えたい人は、こちらも検討してほしい。

2.航空機遅延保険も付帯する「JCBゴールド」

「JCBゴールド」は年会費1万1,000円で、オンライン入会の場合は初年度無料。リボ払いサービス「スマリボ」に登録して条件を満たすと、次年度年会費が5,000円引きになる。

  • 「JCBゴールド」

旅行傷害保険は海外・国内ともに自動付帯で、海外旅行傷害保険は家族にも保険が適用される家族特約付き。家族特約の対象は、本人会員と生計を共にする配偶者、本人会員または配偶者と生計を共にする2親等以内の同居親族、別居の未婚の子供となる。

海外旅行傷害保険の補償額は、傷害死亡・後遺障害時は最高1億円(家族特約は最高1,000万円)、傷害・疾病治療は最高300万円(同200万円)、誤って他人を怪我させたり他人の物を壊したりした際の賠償責任に対しては最高1億円(同2,000万円)、携行品損害は年間最高50万円(同50万円)、救援者費用は年間最高400万円(同200万円)。

また国内旅行傷害保険の補償額は、傷害死亡・後遺障害時に最高5,000万円、入院時は1日につき5,000円、通院は1日につき2,000円、手術は最高20万円となる。なお、入院・通院・手術に対する補償は、事故発生から8日目以降も入院または通院状態が継続している場合に、1日目から対象となる。

さらに、国内・海外航空機遅延保険を自動付帯。航空便の出航遅延で生じた飲食費、乗継遅延等で生じた宿泊・飲食費、預けた手荷物が遅延・紛失した際の衣類購入費等が、最高4万円まで補償される。また、カードで購入した物品が購入から90日以内に盗難・破損など偶然の事故で損害を被った場合に、年間最高500万円が補償されるショッピングガード保険も付帯している。

このほかにも国内32空港およびハワイのダニエル・K・イノウエ国際空港が対象の空港ラウンジサービスが無料で利用できるほか、世界1,100カ所以上の空港ラウンジを1回32ドルで利用できる「ラウンジ・キー」のサービスも利用可能。また24時間年中無休で電話で無料健康相談ができる「ドクターダイレクト24」、税理士やファイナンシャルプランナーに無料で電話相談ができる「JCB暮らしのお金相談ダイヤル」といったサービスも利用可能となっている。

3.条件を満たせば年会費が60%オフになる「三井住友カード ゴールド」

「三井住友カード ゴールド」は通常年会費1万1,000円で、オンライン入会は初年度無料。WEB明細を利用して条件を満たすと次年度年会費は1,100円引きとなる。年間100万円以上ショッピング利用した場合の次年度年会費は2,200円引き、300万円以上利用した場合は5,500円引き。また、リボ払いサービス「マイ・ペイすリボ」に登録して条件を満たした場合も、次年度年会費は5,500円引きになる。年間利用額と「マイ・ペイすリボ」の割引は重複適用されないが、WEB明細での割引は重複適用されるため、年会費は最安で4,400円だ。

  • 「三井住友カード ゴールド」は券面デザインを2種類から選択可能

旅行傷害保険は海外・国内ともに自動付帯だが、所定の旅行代金等をカードで支払うと補償内容がアップする利用付帯条件もある。また、海外旅行傷害保険に関しては家族にも保険が適用される家族特約付きで、本会員と生計を共にする19歳未満の同居親族および別居の未婚の子供で、親族は6親等以内の血族または3親等以内の姻族が対象。条件を満たす家族であれば、本会員が同行していない旅行でも保険対象となる。

海外旅行傷害保険では、傷害死亡・後遺障害時の自動付帯は最高1,000万円の補償となるが、所定の旅行代金等をカードで支払えば4,000万円が加算され、最高5,000万円までアップする。

家族特約は自動付帯分のみで最高1,000万円を補償。そのほかの項目はすべて自動付帯で、傷害・疾病治療は最高300万円(家族特約は最高200万円)、誤って他人を怪我させたり他人の物を壊したりした際の賠償責任に対しては最高5,000万円(同2,000万円)、携行品損害は年間最高50万円(同50万円)、救援者費用は年間最高500万円(同200万円)の補償となる。

国内旅行傷害保険に関しても、傷害死亡・後遺障害時の自動付帯は最高1,000万円の補償となるが、所定の旅行代金等をカードで支払えば4,000万円が加算され、最高5,000万円までアップする。入院時は1日につき5,000円、通院は1日につき2,000円、手術は最高20万円の補償を自動付帯。入院・通院・手術に対する補償は、事故発生から8日目以降も入院または通院状態が継続している場合に、1日目から対象となる。

このほかに年間最高300万円が補償されるショッピング保険も付帯。国内32空港およびハワイのダニエル・K・イノウエ国際空港が対象の空港ラウンジサービスも無料で利用でき、24時間年中無休で電話で無料健康相談ができる「ドクターコール24」といったサービスも利用可能。ポイントプログラムもセブン-イレブン、ファミリーマート、ローソン、マクドナルドをはじめ優待を受けられる店が多く、使い方次第で高い還元率を得られることも特長だ。


以上、旅行傷害保険が国内・海外ともに自動付帯となるカードを紹介した。利用付帯の旅行傷害保険では、旅行のたびに代金の支払い方法を気にしなければならないが、自動付帯であればそうした心配は不要になる。

たまたま同行者が支払った旅行に限って事故に遭ってしまったとなっては後悔も大きい。かといって一般の旅行保険に都度加入するのも手間がかかる。ストレスなく旅行を楽しみたいという人は、ぜひ検討してほしい。

※本記事で紹介したサービス内容は更新日時点の情報です。「税別」などの注記がない限り、原則として消費税込みの金額を表記しています。ポイント価値は編集部にて算出しており、利用方法によって上下する場合があります。各サービスには一部対象外となるケースがあります。ご利用の際は公式サイトなどで最新の情報をご確認ください。

■ 筆者プロフィール: タナカヒロシ(ライター・編集者)

普段は音楽やエンタメ関係の仕事が多いが、過去に勤めていた会社の都合でクレジットカード本を作ったことをきっかけに、クレジットカード、電子マネー、ポイントなどに詳しくなる。以降、定期的にクレジットカードのムック本を編集・執筆。3月8日発売の『最強クレジットカードガイド2017 本当にトクするカードの選び方・使い方=写真=』(角川SSCムック)では、編集統括および記事の大部分を執筆している。