東京2020オリンピック競技大会では、史上最多となる33競技339種目の開催が予定されている。本連載では、イラストを交えながら各競技の見どころとルールをご紹介。今回は「バドミントン」にフォーカスする。

変化に富んだラリーからは目が離せない

バドミントンは、1人対1人、または2人対2人でラケットを使ってネット越しにシャトルを打ち合い、得点を競うゲーム。オリンピックでは、バルセロナ1992大会から正式競技となり、男女シングルス・男女ダブルス・混合ダブルスが行われている。

バドミントンが他のネットスポーツと決定的に違うのは、丸いボールではなく「シャトル」というまったく形の違うものを使うこと。シャトルとは、半球状のコルクに水鳥などの羽根を接着剤などで固定したものである。ラケットで打った瞬間の初速はあらゆる球技の中で最も速いが、空気抵抗を大きく受けるため、初速と相手コートに届く時の終速は著しく違う。そのシャトルの特性により、バドミントンはストロークの種類が多く、ラリーがスピードや変化に富んでいることが特徴だ。

バドミントンの試合はすべて2ゲーム先取の3ゲームマッチで、各ゲーム21点を先取したほうが勝ち。20点オールになった時は、2点差がつくまで続行。ただし29点オールになった場合には、30点目を得点したほうがそのゲームの勝者となる。

シングルスでは、それぞれ3~4人からなる16のグループに分かれて総当たりのリーグ戦が行われ、各グループで1位になった選手が決勝トーナメントに進む。

ダブルスでは4人ずつの4つのグループに分かれてリーグ戦が行われ、それぞれの上位2人が決勝トーナメントに進む。

バドミントンの試合で強打されるスマッシュは、手元に届いた時にもかなりのスピードが残っているが、ヘアピンとよばれるネットプレーやドロップショットでは一瞬にして速度が落ちる。ラケットの握り方や力の入れ方、角度のつけ方などにより、緩急の差に加えさまざまな変化が生まれ、多彩なショットの打ち分けにつながるのだ。

一流選手は、ここに打ったらここに返ってくる、と2手・3手先を読んでプレーする。お互いに相手の動きを予測し、逆をつくプレーをしあう駆け引きもバドミントン観戦の面白さのひとつだ。

シングルスでは特に、相手を動かしてオープンスペースをつくり、そこを狙うと得点につながりやすい。いかにオープンスペースをつくるかが見どころとなる。ダブルスでは、シングルス以上のスピーディーな展開が見もの。また一人ひとりの実力に加え、2人のコンビネーションが試合内容に大きく影響する。攻撃、守備、再び攻撃と2人の陣形は状況に応じてめまぐるしく変化していく。どんな球が来た時にどんなフォーメーションになっているのか、それがどう変化していくかを見るだけでも面白い。

イラスト:けん

出典:公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会