「それなりに筋トレはしているしプロテインも飲んでいる。なのに、いまいちカラダの変化を感じられない」。パーソナルトレーナーという職業柄、そういった話をよく耳にします。筋トレにも、正しいやり方や間違ったやり方があるように、プロテインにも、「飲むベストなタイミング」というものがあるのです。今回は、せっかくのプロテイン摂取をムダにしないための、摂取タイミングを紹介します(プロテインの種類については、この連載の【第4回】を参照ください)。

  • ただ飲めばいいわけではない。プロテインを飲むベストなタイミングとその理由 /パーソナルトレーナー、管理栄養士・西巻草太

    撮影場所協力/Chicken Gym(渋谷)

■カッコいいカラダをつくりたい。プロテインはいつ飲めばいい?

筋肉を増やすためにタンパク質が大事なのは、このコラムの読者のみなさんならよく理解していることでしょう。ただし、一度にたくさん摂っても、筋肉に有効利用される量には上限があります。意識してほしいのは、1日のなかでこまめにタンパク質を補給すること。1日3食でタンパク質を含んだ食材を摂るのはもちろん、間食やトレーニング後など、適切なタイミングでタンパク質を補給することは、筋肉をつけたい人、ダイエットしたい人に意識してほしい重要なポイントです。

そして、よりタンパク質を積極的に補うためにプロテインを取り入れている人が絶対知っておくべきこととして、その摂取タイミングがあります。

●トレーニング後はタンパク質補給のゴールデンタイムだ!

プロテインをぜひ飲んでほしいのが、トレーニング終わりの30分以内——いわゆる、「プロテイン摂取のゴールデンタイム」。トレーニング直後は筋肉に血流が集まっており、筋肉の合成が高まっているため、タンパク質をしっかり摂りたいタイミング。

食事からのタンパク質摂取と比べ、吸収速度が速いプロテインでの摂取は実に効果的。トレーニング後に飲むなら、吸収速度の速い「ホエイプロテイン」がベストです。

●食事と食事のあいだが空く時間も、プロテイン活用のタイミング

朝食を食べられなかったり、仕事が忙しくて昼食を抜いてしまったりする人は多いと思います。しかしそれでは筋トレの効果も激減……。なぜなら、人間のカラダというのは、空腹時間が長ければ長いほど筋肉を分解して生きていくためのエネルギーをつくろうとするからです。この筋肉の分解を、「カタボリック(異化)」といい、筋肉を増やしたい人はもちろん、ダイエットをしたい人も基礎代謝が落ちてしまうのでなるべく避けたい状態です。

しっかりとした食事をとる時間がないときには、プロテインだけでも飲むことをおすすめします。また、ダイエット中で甘いものがどうしても食べたい人にもプロテインは有効活用できるもの。プロテインは低カロリー高タンパク質、さらに腹持ちもいいので、間食でお菓子を食べる習慣のある人はプロテインに置き換えるだけでもダイエット効果が期待できるでしょう。

いまのプロテインにはさまざまなフレーバーの商品があり、たとえばおやつに毎日チョコを食べていた人が、その代わりにチョコ味のプロテインに置き換えれば、糖質、脂質を抑え、タンパク質を増やすことができるので一石二鳥。ダイエット中の間食として摂るなら、空腹感を抑えられるソイやカゼイン、筋肉をつけたいならホエイプロテインがおすすめ。

●就寝前の摂取で寝ているあいだでも、筋肉は成長させられる!

これは少し意外なのですが、就寝前もプロテイン摂取のおすすめのタイミングのひとつ。タンパク質合成を促進し筋肉を成長させる成長ホルモンは、睡眠中にもっとも分泌されるからです。また、夕食後から翌朝の朝食までは、1日で一番長く食事のあいだが空いてしまうので、長時間栄養が供給されない状態。よって、就寝1時間前くらいにプロテインを飲むことで、筋肉の分解を最小限にとどめ、成長を促進することができるとされています。吸収速度の穏やかな、カゼインやソイプロテインが適しています。

■「リバースプッシュアップ」で引き締まった二の腕をつくる!

まだ半袖を着ることが意外と多いこの季節、細過ぎる二の腕や、脂肪が垂れてプルプルした二の腕は意外と他人から見られています。

そこで今回の筋トレは、自重だけで二の腕をしっかりと鍛えられるリバースプッシュアップを紹介。二の腕の筋肉は上腕三頭筋といい、男性なら太い腕、女性なら引き締まった二の腕をつくることに効果を発揮します。

  • 椅子やベンチに両手を肩幅で置き、足を前に出して腕で体重を支える。足の位置は膝を伸ばした状態がもっとも負荷が強く、膝を曲げた姿勢だと負荷を軽くできる。

  • 肘を曲げて体を下ろしていく。このとき、体が前に行かないように真下に下ろすこと。肘が90度まで曲がったら、腕の力で体を持ち上げて最初の姿勢にもどる。10~15回×3セットを目安に。

■タンパク質を増やすだけではダメ! 腸内環境もしっかり整える

筋肉を増やすためにタンパク質量をただ増やすだけでは、腸内環境が乱れ、お通じが悪くなったり、お腹が張る感じが続いたりすることがあます。これは、タンパク質の多量摂取によって「腸内フローラ」と呼ばれる腸内細菌のバランスが乱れることで起こるもの。

そのような腸内環境の乱れを防ぐために積極的に摂りたい栄養素として、水溶性食物繊維があります。食物繊維には、水溶性と不溶性の二種類がありますが、とくに水溶性食物繊維は腸内細菌のエサになりお腹の調子を整えてくれます。タンパク質を増やすなら、意識的に一緒に摂るようにすると腸内環境の悪化を防ぎ、結果として栄養の吸収を高める効果が期待できます。

そこで今回は、良質な脂質とともに水溶性、不溶性どちらの食物繊維もバランスよく含むアボカドを使った簡単レシピを紹介。糖質が少なく食物繊維や良質な脂質も豊富なので、ダイエット中の人にもおすすめです。

【アボカドサラダ】

●エネルギー約281kcal タンパク質17g

●使用する食材
アボカド1個、ボイルエビ100g、ゆで卵2個、ミニトマト6個、レモン汁大さじ1、オリーブオイル大さじ1、塩こしょう適量

  1. アボカドは皮をむいて1.5㎝角、ミニトマトは1/2、ゆで卵は一口大に切る。
  2. 1の材料とボイルしたエビを、レモン汁、オリーブオイル、塩こしょうを混ぜたドレッシングで和えてできあがり。

構成/岩川悟(合同会社スリップストリーム) 写真/櫻井健司