日本食ブームが世界で巻き起こる中、同時に注目を浴びているのが日本酒。大人ならたしなんでおきたいお酒ですが、種類が多すぎてどれを選んでいいかわからない人も多いのでは? そんなあなたに朗報です。

世界で唯一の"きき酒師の漫才師"「にほんしゅ」がシーンごとに外さない、とびっきりの1本を紹介。ツッコミ担当の北井一彰・ボケ担当のあさやんによる軽快な会話で、お酒の味わいはもちろんつい人に話したくなる小噺まで教えちゃいます!

恋人と毎日飲みたい! 上質な普段着のようなお酒「萩の鶴」

  • 萩野酒造の看板商品「萩の鶴 極上 純米酒」(写真提供:萩野酒造)

あさやん: 秋も深まってきて人肌恋しい季節やんか。そんな秋は恋人とゆるゆると家飲みでもできたら最高やと思うねん。そんなシチュエーションにぴったりの日本酒ある?北井に恋人おらんけど。

北井: 喧嘩売ってんのか! ちょっと腹立つけど、秋の夜長に恋人とゆるゆる日本酒飲むなんて最高の時間やなぁ。

あさやん: ちょっと高級なスパークリング日本酒とか大吟醸とかもええんやけど、秋の夜長にはもうちょっと日常に馴染むお酒というか、ほっとするような味わいの日本酒がええなぁ。

北井: 任せてくれ! 今回は恋人との日常をちょっと贅沢にしてくれる上質な普段着のようなお酒、宮城県の「萩の鶴 極上 純米酒」をご紹介です。

あさやん: 北井、自分が造ってるお酒を紹介するのはちょっとずるいわ。

北井: 俺造ってへんって! 蔵元の佐藤曜平さんと俺がちょっと似てるだけやから!

  • 萩野酒造8代目蔵元の佐藤曜平さん(写真左)とにほんしゅ・北井(写真・右)はどこか似ている2人。市販酒の品質を競う日本酒界最大級のコンテスト「SAKE COMPETITION 2019」純米大吟醸の部門で「萩の鶴 純米大吟醸 白箱」が480点中で3位の評価を得るなど、丁寧で高品質な酒造りには定評がある

あさやん: でも、いつも日本酒イベントとかでも俺らのノリにも快く付き合ってくれるええ人なんよなぁ。

北井: そうそう。「人柄がお酒の味わいに出る」って日本酒の世界ではよく言われるけど、「萩の鶴」のホッとする優しい旨味・甘味と丁寧さが伝わってくる繊細な味わいは蔵元の曜平さんの人柄もあってこそやと思うわ。

あさやん: 曜平さんの弟の善之さんがメキメキと酒造りの腕を上げて、現在は主に酒造りは弟さんが仕切ってるんよな!

北井: 信頼し合う兄弟が中心になって醸されるお酒やね!

あさやん: 萩野酒造さんの理想のお酒への思いも好きやねんなぁ。

北井: 俺も好きやねん。萩野酒造さんの考える理想のお酒は「外行きではない普段着のような感覚で、肩肘張らず気軽に楽しめる酒。高級料理店でワイングラスと共に楽しむ日本酒も魅力的ですが、普段は無造作に茶碗に注いで飲むような日本酒の方が性に合っています。例えるなら、たまに着るよそ行きのドレスよりも毎日着られて心地のいい、カジュアルでありながら、上質なTシャツ。そんな酒を醸したいと考えております」。

あさやん: ええよなぁ! 確かに上質なTシャツ着て上質なパンツと上質な靴下履いて飲みたいお酒です!

北井: パンツと靴下までは知らんけど! 日本酒の本質的な魅力って日常生活の中でのホッとする癒しや安心感やと思ってるけど、そういう魅力が詰まったお酒やね! しかも、しかも、曜平さんは素敵な奥様と新婚なんです!

あさやん: めでたいなぁ!

北井: 夫婦の素敵な秋の夜を自社の美味しいお酒と共に過ごされてるかと思うと……悔しくてたまりません!

あさやん: 悔しいんかい! 素直に祝えよ!

秋の夜長にカップルで家飲み! 「萩の鶴 極上 純米酒」の味わいは?

  • 宮城県初の酒米「蔵の華」を原料に使用し、スッキリとした東北らしい味わいが特長

北井: そろそろ、きき酒させてもらおうか!

あさやん: 北井は曜平さんに親近感持っててえこひいきしたコメント言いそうやからここは俺1人で飲ませてもらうわ。

北井: おい、なんでやねんな! 曜平さんからお酒へのこだわりも聞かせてもらったから紹介するわ。

「味わいも見た目も地味目ですが、大吟醸と同じぐらい手間をかけています。造りの際には余計な雑味を徹底的に排除するべく、環境をキレイに。出来上がったお酒の味わいを崩さないよう、素早く火入れを施して出来たての味わいを瓶の中に閉じ込め、しっかりと低温で貯蔵しています」

あさやん: ちょっと難しくてわからんな……。

北井: お前は分かれよ! とにかく雑味を出さないように清潔に丁寧に醸されて、徹底して管理もされてるってことな!

  • 酒蔵見学時に感じたのは「皆が淡々と当たり前のことを当たり前にやる」という強豪野球部のような引き締まった空気感(写真提供:萩野酒造)

あさやん: なるほどな。でもお酒は頭で飲むものじゃないから。

北井: 核心をついたこと言うなよ!

  • お酒が瓶詰めされてからの商品管理も徹底されている(写真提供:萩野酒造)

あさやん: いただきます。ふむふむ。若いバナナのような穏やかながらもフルーティな香り。なめらかな飲み口、後味はすっきりと切れる。

北井: おん。

あさやん: 程よい甘味・旨味と軽やかな酸味、わずかな苦味。この日本酒が持っている甘味・旨味・酸味・苦味がそれぞれ分離している訳ではなく、見事なグラデーションとなって表現され、口の中で心落ち着く素晴らしいハーモニーを奏でていますね。

北井: 綺麗なコメントするなぁ!

あさやん: 僕の口の中で繰り広げられる極上純米酒コンサートをあなたにも聴かせてあげたいです。

北井: そこまで行くとよく分からんわ! 極上純米酒コンサート?! 合わせる料理は宮城の冬の名物「せり鍋」が最高! セリと鳥のモモ肉のみを使用したシンプルな「せり鍋」。鳥の旨味とシャキシャキとしたセリの爽やかさを極上純米酒の旨味がしっかりと受け止めてくれるのよ!

あさやん: うわぁ! それはもう最強の宮城コンビ! 想像しただけでよだれが出てくるなぁ!

北井: まさに日常の中にちょっと上質な時間を演出してくれるお酒! 恋人との秋の夜長のお供にぴったりです!

あさやん: 北井も曜平さんみたいにまずパートナーを見つけんとな!

北井: やかましいわ! でもほんまにそうやわ! ちくしょう……。こんなささくれ立った気持ちは日本酒に癒してもらうしかないな……。とにもかくにも今夜も日本酒で?

2人: かんぱーーーい!!!