社会人として働き、稼いだ給料は、学生時代にアルバイトで得た収入とは金額も重みも違います。すぐに一人暮らしをするかどうかはともかく、自分の給料で生活をするようになるのですから、お金の管理は新入社員時代からきちんとしていきたいものです。

  • 新社会人、家計管理を始めよう!(写真:マイナビニュース)

    新社会人、家計管理を始めよう!

家計管理は初任給から始めたい

産労総合研究所が毎年実施している「決定初任給調査(2018年度)」によると、2018年4月に確定した初任給の水準は大学卒で20万6,333円、高校卒で16万7,249円でした。実際の手取り給与は少し下がるとしても、15万円~20万円程度のお金を受け取ることになります。アレコレと使い道を考えている新社会人の皆さんは多いのではないでしょうか。

一人暮らしか実家暮らしかによって、使途や必要な支出額は異なりますが、最初の数カ月間の給料は使う額が多くなりがちです。ご両親にプレゼントを贈ったり、通勤に必要な洋服や靴、社会人としての生活に必要なものをまとめて買ったりしますね。

そこで注意したいのが、お金の使いグセをつけてしまわないことです。もらったお給料を翌月の給料日までに使い切ってしまったり、無計画に使っていると、そのやり方が身についてしまいます。筆者もこれまで家計相談などで多くの人のお金の使い方を見てきましたが、お金の使いグセというのは先天的な性格よりも、環境や習慣などの後天的な要因であることが多いと感じます。いつまで経っても貯金ができない人がいるのは消費体質になってしまっている場合が多いのです。

これから数年のうちに車の購入費や結婚費用、また何らかの理由で急にまとまった金額のお金が必要になる可能性もあります。その時にどう対応できるか、どれだけの資金を出せるかは新社会人時代からのお金の使い方次第といっても過言ではありません。

仮に最初の数カ月間は給料の大部分を使うことになったとしても、きちんと管理をしながら使うのと、何も考えずに使うのとは全く異なります。将来の生活を豊かにするためにも、初任給からきちんと管理をしていきましょう。

家計管理の始め方

初めて家計管理をする場合、まずは1カ月のうちにどんな収入と支出があるか把握することから始めます。

会社員の場合、月々の収入は給料だけという場合がほとんどですから給与明細で簡単に確認できますが、社会人になってすぐは、どんな支出があるのか想像しにくいかもしれません。

一人暮らしなら家賃や光熱費・水道代、火災保険料、食費などがあります。実家暮らしでも日々の昼食代や同僚や友人との付き合い、携帯電話代、衣服代等々、数々の費目があります。最初はそれぞれの金額もわからないと思いますが、両親や先輩社員などに聞きながら大体の予算を立ててみましょう。1カ月過ごしてみて予算とズレがあれば見直してみましょう。

予算を立てるときには、自分自身の生活スタイルに合わせ、「家賃30%」「食費20%」というように、手取り収入に対する費目ごとの割合で考えるのがお勧めです。今後収入が変わっても対応しやすくなりますよ。

家計予算で忘れてはいけないこと

収支予算を立てるときに、忘れてはいけない2つの項目があります。1つ目の項目は「奨学金の返済」。学生時代に貸与型の奨学金を利用していた人は、これから返済が始まります。日本学生機構の貸与奨学金の場合でいうと、貸与終了月の翌月から数えて7カ月後から返済開始となります。3月で貸与終了だとすると、10月からの返済開始です。給料をもらい始めてから少し間が空きますので、あらかじめ予定しておかないと、先々で他の支出費目に支障が出てしまします。

もう1つの項目は「貯金」です。前述したように、将来的に月々の給料ではやりくりできないまとまったお金が必要になることがあります。社会人になって給料をもらうようになれば、自分のために必要なお金は親に頼らず、できる限り自分で賄う経済的自立をしたいものです。いつ・どんなことでお金が必要になっても自分自身で対応できるよう、他の支出予算を決めるのと同様に、貯金に回す分も毎月一定金額を決めておきましょう。

家計管理を続けるために大切なこと

予算を立ててもきちんと実行できていなければ意味がありません。とはいえ、予算はあくまで目安で、毎月この通りに使わなければいけないわけではありません。とくに被服費や交際費などは、季節や行事予定によっても変動しますから、その時々で繰り越したり、やりくりする管理が必要です。

新社会人は覚える仕事や新生活に慣れることで手一杯な場合も多いものです。管理の仕方に決まりはありませんが、家計簿にきちんと記録をしていくのがわかりやすいでしょう。家計簿は市販のものを利用してもいいですし、普通のノートやエクセル表で自作したり、スマホのアプリを利用しても構いません。

子どもの頃のお小遣い帳が三日坊主で終わった経験がある人もいるかもしれませんが、社会人になってからの家計管理は三日坊主で終わらせるわけにはいきません。お金を使うたびに記帳するのが面倒なら、レシートを取っておいて週末にまとめてつけても構いませんが、溜めれば溜めるほど面倒になるものです。また、細かく記帳しようと思うほど、計算が合わない時などに嫌になって続かなくなるものです。慣れるまでは大変に思うかもしれませんが、自分なりのペースとルールを見つけていきましょう。

まずは貯金ありきで、「毎月〇万円を貯金する。そのために支出を△万円に抑える」「貯金がいくら貯まったら◇を買う」というように、目標を作ってみましょう。そうすることで家計簿も続けやすくなりますよ。

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著者プロフィール: 續 恵美子

女性ファイナンシャルプランナーによるお金の総合クリニック「エフピーウーマン」認定ライター。ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)。生命保険会社で15年働いた後、FPとしての独立を夢みて退職。その矢先に縁あり南フランスに住むことに――。夢と仕事とお金の良好な関係を保つことの厳しさを自ら体験。生きるうえで大切な夢とお金のことを伝えることをミッションとして、マネー記事の執筆や家計相談などで活動中。