新社会人の初任給の水準は、手取り額で15万円~20万円程度。一人暮らしをするなら生活費でいっぱい、いっぱい。そうでなくてもスーツやカバン、靴など社会人生活に必要なものを買ったり、同僚・先輩社員との付き合いで飲みに行ったり、給料があっという間になくなってしまうという悩みをよく聞きます。

  • 新社会人の貯蓄の始め方とは?(写真:マイナビニュース)

    新社会人の貯蓄の始め方とは?

だからといって、貯蓄を先延ばししていると、貯蓄がないまま30代に突入ということにもなりかねません。最初は少ない金額でも構いませんから、新社会人のうちから貯蓄習慣をつけていきましょう。

経済的な自立を目指して早いうちから貯蓄に励もう

社会人になってこれから年齢を重ねていくうちに、お金がかかるイベントが次々と訪れます。たとえば、友人や同僚の結婚式でご祝儀を包む機会がどんどん増えてくるでしょう。1回あたりは1万円~3万円程度でも、時には立て続けに招待されることもあるものです。

金銭面でピンチになればつい親を頼りたくなりますが、学生時代とは違います。働いて給料をもらう社会人ですから、親に頼らず自分の貯蓄で対処できるよう、経済的な自立が必要です。少し先には自分自身の結婚、子育て、マイホーム購入など、必要となるお金の単位も大きくなっていきますから、その時になって困らないように早いうちから少しずつ準備をしていきたいものです。

「給料が少ないから貯められない」「まだ若いから」という人がいますが、実はこれは言い訳で、貯金ができるかできないかに収入の高低や年齢は関係ありません。新社会人だって例外ではありません。

大切なのは使うより先に貯蓄する習慣

社会人になって最初の数カ月間は、身の回りのものを揃えたりで支出額が多くなるのが一般的です。残ったお金を貯蓄に回そうと思っても、ほとんど給料が残らない可能性もありますから貯蓄ができるはずはありません。

お金を確実に貯めていこうと思ったら、「使うより先に貯める」習慣を身につけることです。給与をもらったら一定額を貯蓄に回し、残ったお金で支出をまかなうようにします。たとえば、手取り給与が18万円なら、そのうち2万円を貯蓄分として先取りし、残りの16万円で支出のやりくりをするという方法です。

貯蓄分の先取りは、給与天引きや銀行の自動積立などで、先取り貯蓄の仕組みを作っておくと簡単です。一度手続きをしておけば、その後は毎月一定金額が自動的に貯まっていきますよ。

先取り貯蓄のお勧めは?

銀行に自分で申込むのもいいですが、会社に給与天引きできる制度があるなら上手く利用してみましょう。より確実にお金が貯まっていきますよ。

給与天引きできる貯蓄制度として、最もポピュラーなのが「財形貯蓄制度」です。財形には貯蓄目的を問わない「一般財形貯蓄」、マイホームの取得資金作りを目的とする「財形住宅貯蓄」、老後資金作りを目的とする「財形年金貯蓄」の3種類があります。

まずは使途自由な一般財形で貯めていくといいでしょう。一般財形は原則3年以上の期間、定期的に積立てることという決まりがありますが、積立開始から1年間を経過するといつでも払出し可能です。急に入用ができて貯金を下ろすという場合にも対応しやすいですよ。

財形制度に比べると導入している会社は少ないですが、勤務先に「社内預金制度」があるなら利用してみましょう。会社によって金利が異なりますが、銀行預金に比べて金利が高いのが特徴です。というのも、法律で下限金利が決まっており、現在は0.5%です。比較的金利が高めのネット銀行でも、定期預金金利が高いところで0.2%程度ですから社内預金のお得さを味方につけたいですね。

ほかにも勤務先によっては「従業員持株会」などを導入しているところもあります。これは元本が確定された貯蓄ではありませんが、自社株を一定額ずつ継続的に購入していき、株価の値上がり益を期待する積立投資です。反面、値下がりするリスクもありますから、まずは安全性の高い預貯金で先取り貯蓄を始めましょう。ある程度の貯金ができれば先取りするお金の一部を持株会に回していくのもいいでしょう。

まずは生活費の6カ月分を目標に金額設定を

先取り貯蓄で確実にお金を貯めていくのはいいですが、無理をしすぎて生活が苦しくなるのは困ります。途中で止めてしまうことにもなりかねませんから、無理のない範囲で月々の先取り金額を設定することが大切です。

とはいえ、あまり少なすぎるとお金が貯まるスピードも緩やかです。まずは緊急予備資金として、生活費6カ月分程度を2~3年程度で貯めることを目標にしてみましょう。

緊急予備資金は病気やケガで休業したり、万一の失業などで収入が途絶えてしまう場合や家電製品が壊れたときなどの非常事態に備えておくお金です。すぐに必要ではないものの、いつ起こるかわからない事態に備えるお金ですから、あまりのんびり貯めていけばいいものでもありません。一人暮らしの人など、ライフスタイルによっては厳しく感じる場合もありますが、支出内容を制限するなど、工夫と努力も大切です。

とはいえ、節約一辺倒ではせっかく働いて給料をもらっても喜びが薄れてしまいます。たまには欲しい物を買う、友人と遊びに行くなど楽しむことも大切です。支出にメリハリをつけながら、目標をしっかり持って貯蓄に取り組んでくださいね。

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著者プロフィール: 續 恵美子

女性ファイナンシャルプランナーによるお金の総合クリニック「エフピーウーマン」認定ライター。ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)。生命保険会社で15年働いた後、FPとしての独立を夢みて退職。その矢先に縁あり南フランスに住むことに――。夢と仕事とお金の良好な関係を保つことの厳しさを自ら体験。生きるうえで大切な夢とお金のことを伝えることをミッションとして、マネー記事の執筆や家計相談などで活動中。