意外と気になる資金移動のコスト

証券会社を利用するときのポイントの一つに、資金の移動のしやすさがあげられます。

お給料の受け取りや、公共料金・クレジットカードなどの引き落としは銀行の口座で行われるため、日常の資金は銀行に預けている人がほとんどでしょう。株など証券会社の商品を利用するには、そこから証券会社の口座に資金を移動する必要があります。

通常、証券会社に資金移動するには、口座開設のときに指定された証券会社の口座に、銀行の口座から振込を行います。逆に証券会社に置いておいたお金を引き出すには、証券会社の口座から自分の銀行口座にお金を送金してもらう手続きを行います。

この時にかかる手数料は、銀行口座→証券口座は自己負担、証券口座→銀行口座は証券会社負担となるのが一般的です。

そうなると、頻繁に証券会社にお金を出し入れする場合や毎月少しずつ投資資金を証券口座に回していきたいという場合に手数料がかさんでしまうことになります。

各ネット証券では、提携している銀行口座からインターネット経由での送金なら手数料が無料になる、送金の手続きがすぐに完了し、即座に資金を投資に回せる、などのサービスを行っています。

資金移動のしやすさやスピード、コストを重視するなら普段使っている銀行と提携している証券会社を選ぶのも有効な方法です。

資金移動のストレスを軽減するサービスとは

たとえば楽天証券には、振込金額がすぐに反映される「リアルタイム入金」というサービスがあります。これは提携している三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行、ゆうちょ銀行、ジャパンネット銀行、イーバンク銀行などからインターネットバンキングを通じて入金すると手数料が無料で、即座に資金移動ができるというもの。ただし、サービスの利用可能時間は銀行ごとに異なるので注意が必要です。

同じようなサービスで松井証券は「ネットリンク入金」、ジョインベスト証券は「即時入金サービス」、リテラ・クレア証券は「リアルタイム入金サービス」、マネックス証券は「即時入金サービス」などの名称で実施しています。提携銀行は証券会社により異なりますが、大手3行とゆうちょ銀行は上記サービスの場合、いずれも利用可能となっています。そのほかにネット銀行と提携しているケースが多いようです。

ユニークなサービスを実施しているのがSBI証券。提携している住信SBIネット銀行の「SBIハイブリッド預金」という商品を通じて資金移動の手間を軽減してくれるサービスを行っています。

通常は銀行の口座から証券会社の口座へ投資資金をあらかじめ入金しないと株などを注文するための買付余力として反映されません。ところがこのハイブリッド預金は、預金口座の残高がそのままSBI証券の買付余力として反映されるのが特徴。つまりいちいち入金手続きを行わなくても預金残高の範囲で買い注文ができるのです。しかも注文が成立したら、その後受渡日に自動的に買付代金分が出金される仕組みなので、預金口座にお金をおいたまま株の売買ができるのがメリットです。

ただし、この預金口座は通常の普通預金口座ではないのでキャッシュカードで入出金はできません。同時に開設する普通預金口座にお金を振り替えた上で出金することが必要です。ただ、SBIハイブリッド預金は預金口座なのでもちろん預金保険の対象となりますから、万が一のときにも安心です。また普通預金よりも金利は高金利など資金を置いておいても損することがない点も魅力です。

堀内玲子(ほりうちれいこ)

ファイナンシャルプランナー。証券会社勤務後、編集製作会社で女性誌、マネー関連書などの編集を経て93年に独立。 96年ファイナンシャルプランナー資格を取得。
FPとして、金融・マネー記事などの執筆・監修、セミナー講師、家計相談などを行う。
著書に「あなたの虎の子資産倍増計画」(PHP研究所・共著)「年代別 ライフスタイル別 生命保険のマル得見直し教室」(大和出版)などがある。