決まった住所を持たず、日本中を旅しながら生活しているカメラマンの南谷有美(なんや・ゆみ)さん。訪れた地域では人々とどのように交流し、どんな仕事をしてきたのか。それぞれの地域の魅力についても綴っていただきます。


宮古島、和歌山、鹿児島など、さまざまなところでワーケーションをしてきましたが、今回舞台に選んだのは鳥取県です。実際に行って感じた、知られざる鳥取県の魅力をお伝えします。

きっかけはあみだくじ

施設の子どもたちと交流する機会を定期的に設けており、そこで旅の話をすることが、私の楽しみの1つになっています。目をキラキラさせて聞いてくれる子どもたちの姿が、とても印象的です。そのときの会話の流れで、次の行き先は子どもたちに決めてもらうことにしました。

決め方は、シンプルにあみだくじ。行ったことのない県を書き出し、線を引いて作りました。その中から1つの線を選び、たどっていった先にあった県が鳥取県でした。

行ったことがないうえに、知り合いもいない。わかっていることは砂丘があるということくらいでした。出発日の設定を1カ月後に設定し、子どもたちとの約束を実現するために、鳥取県について調べ始めました。

とっとりワーケーション

鳥取県について調べていると、なんと鳥取県ではワーケーションを推進していることがわかりました。しかも、県内でワーケーションを実践し、レポートの作成を行う「とっとりワーケーションモニター」を探しているという情報も目にしました。

これはやるしかないと思い、早速応募。それが見事に通り、鳥取県でワーケーションを行うことになりました。

実録! 3泊4日の鳥取滞在記

鳥取県では、県内のカフェやホテル、ゲストハウスのラウンジなどでの仕事をはさみ、観光を存分に楽しむ形で3泊4日を過ごしました(下記スケジュール参照)。

  • 鳥取県でのワーケーションスケジュール

仕事に観光に、かなり充実した4日間となったのですが、今回は中でも印象に残ったスポットをご紹介します。

恋山形駅

  • 恋山形駅

恋が叶うという噂の駅、駅舎にフェンスにと想像以上のピンク色に驚きました! 駅構内にはさまざまなフォトスポットがあり、どこを切り取っても写真映えします。

智頭宿

智頭宿は、上方へと向かう主要道であった「智頭往来」の宿場町。江戸時代には、参勤交代で江戸へと向かう鳥取藩の最初の止宿であり、藩主の宿泊や休憩の場となる御茶屋や奉行所、制札場が置かれていた要所です。宿場町の歴史が残る古いまち並みには、素敵なスポットがたくさんありました。

このうち、2009年10月に国の重要文化財に指定された石谷家住宅は、敷地面積3,000坪、部屋数40以上の広さを誇る邸宅。圧巻の景観でした。

  • 石谷家住宅

また「藍染工房ちずぶるー」では藍染め体験や藍染めの商品が購入できます。私はセットアップでも着られるような、トップスとズボンを購入。大切に着たいと思います。

  • 藍染工房ちずぶるー

「藍染工房ちずぶるー」では素敵な出会いも。食堂などを兼ね備えた複合施設「楽之」の経営者の方と知り合い、お店でパスタをいただきました。ゲストハウスも運営されているようで、今度来るときはここに泊まりたいなと思っています。

  • 楽之でいただいた濃厚なパスタ。とてもおいしかったです

鳥取砂丘

そして、念願の砂丘。壮大な景色で、ここは本当に日本かと疑ってしまうほど。天気も何とか大丈夫だったので、たくさん歩き回って、砂丘を満喫することができました。

  • 鳥取砂丘

夜には、イルミネーションも行われていました。光のトンネルがとてもきれいでした。

  • 鳥取砂丘ではイルミネーションも

砂の美術館

鳥取砂丘から程近い美術館には、砂を素材とした彫刻作品を展示している美術館も。「これ本当に砂でできているの?」と疑ってしまうほど、クオリティーの高い作品の数々を鑑賞することができました。

  • 砂の美術館

  • 期間限定でプロジェクションマッピングも行われていました

あおや和紙工房

元々和紙に興味を持っていたこともあり、紙すき体験ができる工房に行ってきましたよ。実際に使っている道具に、興味津々! アテンドしてくださった方のお話もとても興味深かったです。

  • あおや和紙工房

鳥取には自分のペースでのびのび働ける環境があった

鳥取でワーケーションをしてみて良かったと思う点は、仕事に集中しやすい環境があることです。Wi-Fi環境が充実しており、念のため持参したポケットWi-Fiも使用する機会はありませんでした。

時間帯にもよると思いますが、私が作業をしていた場所は、利用している人自体が少なかったため、他の人の動きが気になることはなく、自分のペースでのびのびと仕事をすることができました。

一方で不便だと感じたのは、交通面です。鳥取にはさまざまな観光地がありますが、1カ所で1日楽しめるという場所は少ない印象を受けました。ですので、頻繁に移動が必要になると考えられます。

いろいろ回って鳥取を満喫したいのであれば、車(レンタカー)の利用がおすすめです。ちなみに、鳥取県内の高速道路は無料区間が非常に多く、少し距離があるなと思っても、コストをかけることなく、短時間で移動することができます。

鳥取県ふるさと人口政策課関係人口推進室では、ワーケーションのモニター募集を引き続き行っているそうです。興味のある方はぜひ一度、参加されてみてはいかがでしょうか。

南谷有美(なんや・ゆみ)

カメラマン/ライター
2018年4月に認可外保育園の園長を退いてから、各地を巡る旅人に。リモートで仕事をしながら、好きな場所で好きなことをして生活しています。