私はかれこれ20年近く、家計のやりくりの取材を通して多くの人とお会いしてきました。そしてあるとき気がつきました。お金を貯めている人が、共通してやっている習慣があることを。お金が貯まる人は間違いなく節約家です。節約家というのはケチとは違います。ムダなことにはお金は使いませんが、ここぞということにはしっかり使います。本当に楽しいことや価値のあることにお金を使うために、日々のムダをなくす……そんな賢い節約家さんたちの習慣をご紹介します。

「あればあるだけ使ってしまう」人は、貯まる人に変身する可能性大!

まずは、次のチェックリストで自分に当てはまるものをチェックしてみてください。

□先取り貯蓄をしていない

□手持ちの現金がなくなるたびに銀行からちょこちょこ下ろす

□水道・光熱費がいくらかかっているのかよくわからない

□欲しい物があると貯金を下ろして買う

□レシートは捨てる

□給料日前になると、毎月お金が足りなくなる

□1か月にいくら使っているのか把握していない

□1カ月以上、通帳の記帳をしていない

□ボーナスで月々の不足分を補てんしている

□1万円を崩すと、いつの間にかなくなる

このうち3つチェックがついたら、あなたは「お金が貯まらない習慣」が身についているかもしれません。

お給料が入ると、気持ちが大きくなって欲しい物や食べたい物にお金を使い、気がつけば給与口座の残金が底をつきそう。給料日前の1週間は、毎月決まってピンチになり、ケチケチ生活でしのぎます。それをなんとか乗り切って、給料日がやってくると「やれやれ、今月もなんとか助かった~」とひと安心したのはいいものの、翌月も同じことの繰り返し。その結果、貯蓄は減りもしないけど、殖えもしない……こんな状況に身に覚えがある人はいませんか?

こういう人は、あればあるだけ使ってしまう人です。でも、この「あればあるだけ使ってしまう」タイプの人は、家計管理のイロハの「イ」さえマスターすれば、実は「貯まる人」に大変身するポテンシャルを秘めた人でもあります。というのは、行き当たりばったりにお金を使っているにもかかわらず、最終的には、1カ月の収支をなんとかトントンにして、たとえ、ときにはボーナスで補てんすることがあっても、クレジットカードでキャッシングをしないで乗り切ることができているからです。「あればあるだけ使ってしまう」人は「なければないで、なんとかできる」人でもあるのです。

「あればあるだけ使ってしまう」人ほど先取り貯蓄で貯める

「あればあるだけ使ってしまう」人は「なければ平気」な人でもあるので、先取りで貯蓄をして、その分は最初からなかったものとしてやりくりすればいいのです。貯蓄を確保しているので、残ったお金は全部使い切っても、通帳の残高は毎月、確実に殖えていきます。貯まる生活のスタートというわけです。

先取り貯蓄額は

  • 手取り月収25万円で5万円(月収の20%)

  • 20万円の場合で3万円(月収の15%)

  • 18万円の場合で1万5000円~2万円(月収の約10%)

が目安。

先取り貯蓄は、あれこれ考える必要がなく、手間のかからない方法で貯めるのが一番。給与天引きや自動引き落としで「自動的」かつ「強制的」に貯めます。少しでも金利がいいものをと思うのなら、ネット銀行に定期積立預金をつくり、給料日に給与口座から自動的に入金でする手続きするのがオススメです。

給料は「貯蓄」「固定費」「やりくり費」の3つに分けて考える

実家住まいの場合はさておき、一人暮らしの場合は、給料全額が自由に使えるお金ではありません。言うまでもなく、生活していくためには家賃、水道・光熱費、スマホ代、食費などもろもろのお金がかかります。これらが給与口座からなんとなく出ていくようでは、給料日前にピンチになるのは当たり前。お金が足りなくなるのが不安で、やみくもに節約するという事態を招くことにもなります。

そういう事態にならないために必要なのが「家計管理」です。まずは、毎月の給料を「貯蓄」「固定費」「やりくり費」の3つに分けます。

「貯蓄」は、先述したように給料天引きで確保します。「固定費」とは家賃、生命保険料、水道・光熱費、スマホ代、習い事代、車のローン代など毎月の支払額がほぼ決まっている出費のこと。水道・光熱費やスマホ代は月によって多少の変動がありますが、毎月必ず出ていくお金です。多めに見積もって、1カ月分の「固定費」の合計額を算出しましょう。

次に給与―貯蓄―固定費=やりくり費を計算します。この「やりくり費」だけが、自由に使っていいお金なのです。面倒なようですが、この計算を1回すれば、毎月、使える金額がわかります。残業代などで給与の増減がある場合は、一番少ない月収でやりくり費を算出するのが基本。多かった分の給料は貯蓄にまわすと、貯蓄スピードが加速します。

やりくり費=毎月自由に使えるお金を把握することで、今月あといくら使えるかがわかり、やみくもにケチケチするストレスから解放されます。残金を考えながら、自分なりのペースで使っていけばいいのです。今月は少しお金が余りそうなときは、リッチな外食をしたり、以前から欲しかった物を買うのもOKです。

家計に予定外の出費はつきもの。予備費をつくって備える

風邪が長引いて病院代が思いのほかかかった、仕事が忙しくて外食することが多かったなど、予想外に出費がかさむことがあります。そういうときのために、やりくり費とは別に予備費を確保しておきましょう。目安は5000円~1万円。残った分は翌月にまわしてプールします。予備費があると、やりくり費が赤字になって貯蓄を崩すという事態を防げます。

毎月決まった金額を貯蓄し、貯蓄は目的のこと以外では崩さないようにすれば、確実に貯蓄額が殖えます。貯まる習慣が身についたというわけです。

(※画像は本文とは関係ありません)

<著者プロフィール>

村越 克子

フリーランスライター。学習院大学文学部心理学科卒業。編集会社を経て、フリーに。主婦を読者対象とした生活情報誌を中心に執筆。家計のやりくりに奮闘する全国の主婦を取材し、節約に関する記事を数多く手がける。執筆協力に『綱渡り生活から抜けられない人のための絶対! 貯める方法』永岡書店など。