女優の波瑠が主演するテレビ朝日系ドラマ『未解決の女 警視庁文書捜査官』(毎週木曜21:00～)。原作の麻見和史氏は、映像化された作品をどう見たのか。 10日に放送された第4話をチェックしていく。
沢村一樹
第4話では、橋から転落した女性・長瀬真智(吉井怜)の車から採取された毛髪が、15年前に神隠しのように消えた主婦・藤田里美(真飛聖)のDNAと一致する展開。麻見氏は「2つの謎が提示されますが、これが大変魅力的でした」と振り返る。
まず、15年前、主婦が失そうした状況に関する謎。麻見氏は里美を演じた真飛の演技を「理想的な妻であり母親だった里美を、とても丁寧に演じていらっしゃいました。この真飛さんの演技があるからこそ、失踪の謎がより深刻なものになってきます」と評する。そのうえで、「夫の藤田晃一(堀部圭亮)と息子2人、家族4人で幸せに暮らしていたというのに、いったい何が起こったのか、その理由が非常に気になります」と話した。
そして2つ目の謎は里美失そうから15年後の出来事。橋から転落した女性の車から里美の毛髪が発見されたことで、「私たち視聴者は、里美が生きているらしいと知って安心すると同時に、ではなぜ彼女は姿を見せないのか、という新たな難問を抱えることになります」と分析する。
このような展開について、麻見氏は「過去の事件で生じた謎が、現在の事件で新しい謎に切り替わるという展開は見事です。この二段構えの謎に、私は引き込まれました」と絶賛していた。
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左から遠藤憲一、波瑠 =『未解決の女』第4話より(テレビ朝日提供)
また麻見氏によると、「刑事たちにもチーム感が出てきた」とも感じたようだ。「朋(波瑠)と草加(遠藤憲一)のコンビも板に付いてきました。今回、草加がパソコンを使う場面がありましたが、不器用な彼の個性がよく出ていたと思います。ああいう微笑ましいシーンはとてもいいですね」と振り返る。
そして沢村一樹演じる古賀室長の変化に注目しているとも。「今回、彼は朋を褒めましたが、これは初めてのことではないでしょうか。普段、文書解読係をよく思っていない古賀ですが、次第に理沙(鈴木京香)たちの力を認めるようになってきたのだと思います」(麻見氏)。
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左から波瑠、沢村一樹 =同
ただ、麻見氏は4話で起きた事件の真相は「とても悲しいものだった」といい、「正直に言えば、あの状況であの判断はありなのだろうか、とも感じました」と明かす。
それでも、「人生というのはそう単純ではなく、自分の意志だけで方向性を決められるわけではないのかもしれません。第4話は、そんな人生の理不尽さを描いたドラマだったのではないか、という気がします」と語った。
17日放送の第5話では、5年前の手術で体内に残留したと思われる小型鉗子が原因で、官僚が死亡。この"医療ミス"との関連が疑われる"5年前の未解決事件"の存在が再浮上する。朋は自らの命の恩人で、官僚の手術にも関わった医師・森次(宮迫博之)に協力を依頼し、再捜査に乗り出す。
17日放送の第5話より=同
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原作シリーズ： 麻見和史「永久囚人 警視庁文書捜査官」（角川文庫／4月25日発売）
