女優の波瑠が主演するテレビ朝日系ドラマ『未解決の女 警視庁文書捜査官』(毎週木曜21:00~)の第2話が26日に放送された。同作の生みの親はどう見たのか。原作の麻見和史氏が、映像化されたドラマをチェックしていく。

  • 左から遠藤憲一、波瑠=『未解決の女』第2話より(テレビ朝日提供)

    左から遠藤憲一、波瑠=『未解決の女』第2話より(テレビ朝日提供)

第2話は12年前の女児誘拐事件からスタートし、娘が誘拐された主婦・坂下菜々美を女優の高岡早紀が演じた。麻見氏はゲスト出演した高岡の演技を「目を離した隙に娘が消えてしまったという事実に、菜々美は何度も自分を責めただろうと思います。懸命に娘を探す母の姿を、高岡さんがうまく演じていらっしゃいました」と評価する。

その後、ストーリーは現在へと移り、大手IT企業の社長令嬢誘拐事件が発生。波瑠演じる矢代朋が身代金の運搬役に選ばれ、体育会系の熱血刑事らしく全力で走り回る一方、バディを組む鳴海理沙(鈴木京香)は自室でじっくり事件を考えようとする。この場面を麻見氏は「ふたりの役割分担がはっきり描かれ、性格の違いがうまく表現されていました」と振り返る。

しかしその後、朋が理沙を引っ張り出し、捜査に出かけることになる。麻見氏はこのシーンが気に入ったようで、「とても面白いと思います。なんだかんだ言いながら、理沙は朋の行動力を認めるようになってきたのかな、という気がします」とのことだ。

  • 鈴木京香

また第2話では、捜査中に理沙が説明した推理について、強行犯係の刑事が「こじつけじゃないか」と批判する場面が見られた。麻見氏は次のように”反論”する。「たしかに理沙は空想を喋っているだけのように見えますが、じつは彼女がやっているのは捜査のきっかけを見つける作業です。実際に証拠を集めるのは他の刑事たちの仕事ですから、あの時点では、理沙の言うことはこじつけに近いものでもかまわない、と私は考えています」(麻見氏)。原作ではさらに「文章心理学の応用」として、理沙が心理テストのようなことをするシーンも出てくるという。

さらに麻見氏は、身代金を運搬した朋が驚くほど記憶力が良かった点にも着目。「普通の人なら細かく覚えていられないでしょうが、あれは朋というキャラクターの特長として設定されていたのかもしれません」と理解を示し、「今後もその記憶力が捜査に役立つことがありそうな気がします」と期待を寄せる。

また犯人が最後の事件を起こそうとする場面についても、「一視聴者として『早く被害者を助けてあげて!』とやきもきしてしまいました」という麻見氏だが、「とはいえ、あそこは犯人と警察の間で台詞のやりとりが必要なので、じっくり描く必要があったのでしょう」とこちらの演出についても、納得していた。

  • 遠藤憲一、波瑠

第2話を振り返り、麻見氏は「とても見応えのある物語になっていたと思います。過去と現在の事件がうまく組み合わされていたし、真相解明への道筋もよく練られていました」と高く評価し、「なにより心動かされたのは犯行の動機です。そこに強い説得力があったからこそ、余韻の残るドラマになったのではないでしょうか」と分析した。

第3話では、大学教授・塚本(吉田栄作)のもとで百人一首研究をしていた女子大生が殺され、未解決のまま5年が経過。そして新たに彼女の恋人も殺された。朋は足を使い、理沙は文字の知識を武器に、捜査を開始し、闇に葬られていた「5年前の真実」をあぶり出す。

  • 「永久囚人 警視庁文書捜査官」

    原作シリーズ: 麻見和史「永久囚人 警視庁文書捜査官」(角川文庫/4月25日発売)