女優の波瑠が主演するテレビ朝日系ドラマ『未解決の女 警視庁文書捜査官』(毎週木曜21:00~)が19日にスタート。初回の番組平均視聴率は14.7%(ビデオリサーチ調べ・関東地区)と好発進となったが、同作の生みの親はどう見たのか。原作の麻見和史氏が、映像化されたドラマをチェックしていく。

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    波瑠(左)と鈴木京香=『未解決の女』第1話より(テレビ朝日提供)

波瑠の役は原作で男性だった

初回を見た麻見氏は「原作者である私も、一視聴者として楽しませていただきました」と振り返る。ドラマのプロローグ部分ではミステリー作家の嶋野泉水が殺害された十年前の事件が描かれており、嶋野を演じたのは女優・中山美穂だった。麻見氏も「さすが、存在感があります」と絶賛する。

その後、現在へと時は移りドラマでは主人公の熱血刑事・矢代朋(波瑠)が登場する。しかし原作での主人公は矢代朋彦という名の男性。麻見氏も「今回のドラマで原作からもっとも大きく変わったのは、矢代の性別でした」と話す。

ドラマでは朋が先輩刑事の鳴海理沙(鈴木京香)とバディを組んでいるが、原作では朋彦と理沙の男女バディ。さらにドラマでは、矢代朋が28歳、理沙が48歳だが、原作では朋彦が35歳、理沙が31歳と年齢も逆転することに。

この性別変更の経緯について、麻見氏は次のように振り返る。「ドラマ化のお話をいただいたのは昨年でしたが、最初から『矢代を女性にしたい』という条件が付いていました。それをうかがったときは『えっ?』と思ったのですが、このバディを波瑠さんと鈴木京香さんが演じてくださると聞いて『ぜひお願いします!』とお返事しました」(麻見氏)。

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2つの気になった点は…

とはいえ、麻見氏には若干の不安もあったとのこと。しかし朋と理沙の初対面シーンで、その不安もなくなったと明かす。「もともと原作にはユーモアの要素を盛り込んでいたのですが、それを脚本の大森美香さんが取り入れてくださって、朋と理沙の掛け合いがとても面白いものになっていました。全編を通してセンスのいいユーモアが織り込まれ、ミステリー部分ともうまく融合していたと思います」(麻見氏)。

しかし麻見氏は、第1話で気になった点が2つあったと語る。まず1つ目はドラマ終盤で、未解決事件のキモとなる密室殺人の謎が明かされる場面。犯人は「自分の考えた完全犯罪のアイディアだ」と説明していた。

麻見氏は「この部分、犯人のトリックが確実に成功するという保証がありませんので」と指摘する。しかしその上で、「私は密室状態が作られた経緯に注目しています。第1話の主眼は事件の複雑な背景と、登場人物たちの関わりを描くことです。テンポのいい会話やスピーディーな展開など、ドラマ全体を楽しむのが正解だと思います」とドラマのラストにも納得していた。

次に麻見氏が挙げたのは、嶋野が原稿用紙にワープロソフトで小説を印字していた場面。「十年前であっても、ほとんどの作家は無地の紙に印字していたと思います。ただ、今回は視聴者の方々にわかりやすいよう、原稿用紙が使われたのでしょう」と推測していた。

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朋と理沙がどう成長していくか楽しみ

第1話を2回も視聴したという麻見氏。「俳優さんたちの演技には見応えがあり、とても楽しめました。今後、朋と理沙がどう成長していくか楽しみです」と高評価だったようだ。

26日放送の第2話では、大手IT企業の社長令嬢を狙った身代金目的の誘拐事件が発生し、捜査本部から朋に声が掛かる。事件解決の手がかりは12年前の事件同様、誘拐された娘が電話口で発した「かもめ」の一言。理沙を人嫌いにさせた未解決事件が12年の時を超え、再び動き出す。

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  • 『未解決の女』26日放送の第2話より=テレビ朝日提供

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    原作シリーズ:麻見和史『永久囚人 警視庁文書捜査官』
    (角川文庫/4月25日発売)