一見、まったく普通のデジタルカメラ

海に潜って写真を撮ってみたい! という目的を達成するために、前回はそれが可能なデジタルカメラ「オリンパスμ770SW」を探しだし、水中撮影に挑戦してみることにした。しかし、このカメラ、どう見ても通常のコンパクトデジタルカメラと変わらない印象を受ける。

オリンパスのμ770SW。どう見ても普通のコンパクトデジタルカメラにしか見えない。スイッチ類も外見からは特別な構造には見えない。しかし、このままの状態で10mまで潜れるという

μ770SWを最初に持った時の印象はとにかく「えっ、これで防水?」だった。どこからどうみても普通のコンパクトデジタルカメラにしか見えない。電源やシャッターなどのボタン類はもとより、メモリカードやバッテリのカバーも通常の構造と同じだ。ストロボも内蔵していれば、スピーカーの穴もあり、背面の液晶モニタも普通のデジタルカメラのものと差はない。多少違いがあるとすれば、カバーの内側にパッキンが貼られていることぐらいである。間違いなくほとんどの人がこのカメラを見て防水機能を備えたカメラだとは思わないだろう。

フィルム時代からのユーザーにしてみれば、カメラは貴金属と同じぐらい高価で大切な物だったので、いくら防水といってもそれを水に浸すという行為は不安で仕方がない。ましてや、普通のコンパクトデジタルカメラと外見がまったく変わらないμ770SWである。本当にこんな華奢なカメラが水中で撮影できるのか? 実際に水の中にカメラを入れてテストすることにした。オリンパスには悪いが、どうしても信じられない。

メモリカードとバッテリを挿入するための底面のスロットカバーや USBポートのカバーの内側には防水用のパッキンが貼られている

バケツに水を入れてカメラを沈める

勇気のない私は、まずバケツに水を入れて、その中にμ770SWを入れてみることにした。カバー類がきちんと閉まっているか確認して、ドキドキしながらそっと水に入れる。しばらく眺めていたが、電源が入った状態で何事もなくμ770SWは動作している。そして、シャッターボタンを押してみると撮影できたようで、液晶モニタにバケツの底が表示された。とりあえず、大丈夫なようだ。次にバケツの底に置いてそのまま放置してみた。そこで次に金魚に参加してもらいバケツの中で撮影をしてみることにした。バケツなので、液晶モニタを見ながら撮影することができず、カメラ任せで何枚か撮影して、その結果を見ると、これが思った以上になかなか良く撮れていた。バケツの中ということで、マクロ撮影の距離もギリギリであったため、ピントはイマイチだったが、なかなか撮れないような迫力のある写真になった。

おそるおそるバケツにμ770SWを入れてみる。しばらく経過を観察したが、カメラは問題なく動作していた

バケツが小さいため、スーパーマクロモードで撮影。左(撮影データは、ISO200、1/40、F4)がやや上から、右(撮影データは、ISO80、1/40、F4)がやや下から撮影。被写体までの距離があまりにも短いのと暗くてシャッター速度が遅くなってしまい被写体ブレも起きているが、通常では撮れない迫力のある写真が簡単に撮影できた

ダイビングに備えて水槽の中で撮影

バケツでの防水テストは問題なくクリアした。引き上げてから、カバー類を開けてみたが、水はまったく侵入していなかった。これなら、雨の日や海岸で多少水に浸けて撮影しても問題はなさそうだ。となれば、次はダイビングに備えて、より深い水深でのテストを行いたくなった。と言っても今の時代にプールやお風呂にカメラを持って撮影なんてすると捕まってしまうので、大きめの水槽に入れて行うことにした。水槽といっても120×60×45cmという大型の水槽なので、それなりに深さも水量もある。

水槽のテストでは、一番底に沈めてシャッターを何度も押したり、画像の再生や設定の変更といったボタンをすべて押す操作も試みたが、バケツでのテストと同様にμ770SWは地上で撮影するのと同様に普通に動作していた。スペックでは、60分までは大丈夫だというが、今回は30分ほど水中に沈めて水槽から出して確認したが、内部に水の侵入はなかったようだ。これなら、海岸で泳ぎながら撮影しても大丈夫だろう。

水槽の外から撮影するとこんな感じになる。ガラス面をきれいにしていないと魚をきれいに撮影するのは無理

水槽にμ770SWを沈める。バケツに比べて今度は水量が桁違いに多いため、ちょっと不安である

カメラの周りをガーが泳いでいる。ガーとμ770SWを比較して、この水槽のサイズがいかに大きいか、わかってもらえるだろうか?

水槽の底で撮影。深いため両手で持って撮影するのは難しく、このような撮り方になってしまった

ストロボを強制発光して撮影。表面の光沢感が素晴らしい。同じような写真を水槽の外から撮ろうとすると非常に難しい(撮影データは、ISO100、1/60、F3.5)

30分後に水槽から取り出した直後のずぶ濡れのμ770SW。でも水はまったく浸入していなかった

今回は、水中撮影のテストの結果を報告したが、最後に通常の撮影での結果も少しだけ掲載しておこう。最近のコンパクトデジタルカメラはとにかく性能が良く、晴れた日の屋外の撮影では、よほどのことがない限り、ちょっと見た感じではデジタル一眼レフカメラと比較しても見分けがつきづらい。大きな差がつくのは、室内撮影だ。光量が少ないと手ブレが起きやすくなるため、どうしても高感度撮影に頼らざるを得ない。しかし、撮像素子が非常に小さいコンパクトデジタルカメラは、感度をアップするとノイズが酷くなってしまう。そのため、屋外の撮影では優秀だったカメラも室内で撮影すると急にダメなカメラになってしまう場合が多い。これは、光量が減る水中撮影も無関係ではない。

μ770SWは、最高でISO1600まで感度をアップすることができる。1600という値は、デジタル一眼レフカメラでもかなり辛い感度だ。そこで今回は、一段落としてISO800による室内撮影とストロボ撮影を行ってみた。710万画素の1/2.33型CCDとしてはかなり良い結果で、パソコンにデータを読み込んで拡大して表示しなければ、ISO800で撮影したとはわからないだろう。ストロボ撮影のバランスも良好で、違和感のない仕上がりである。これなら、通常持ち歩いてサブカメラとして使用してもなんの問題もないだろう。では次回は、水中撮影に必要な機材とダイビングライセンスについて考えてみたい。

左は、ISO800でのストロボオフ時の室内撮影(撮影データは、ISO800、1/80、F4)

右は、室内でストロボオンで撮影したサンプル画像(撮影データは、ISO80、1/40、F4)

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