令和元年10月22日、186カ国の代表者が参列し、天皇陛下の即位を国内外に宣言する即位礼正殿の儀(そくいれいせいでんのぎ)が行われました。

印象的だったのは、皇位継承儀式のマストアイテムとも言える、「三種の神器」の存在感。「実はどこにあるのか、はっきりしない」とか、「実物は誰も見たことがない」など神秘的な側面もあるので、その存在感がより一層際立って感じられるのかも知れません。

  • 即位礼正殿の儀から考える、貯蓄から資産形成を後押しする秘策とは?

逆に普段の生活では、かつて、テレビと冷蔵庫、洗濯機が「三種の神器」と呼ばれたように、極めて実用的な用語として使われていることも面白いところですね。

ところで、今どきの人は「三種の神器」と言われると、何を思い浮かべるのでしょうか?少しググってみると(諸説あるようですが)、最近は、ロボット掃除機、全自動洗濯乾燥機、食器洗い機が「新・三種の神器」と呼ばれているようです。

共通点は、いわゆる「時短家電」ということ。その背景には共働き世帯が増えていることがあるのでしょう。内閣府の「男女共同参画白書 令和元年版」によれば、今や、共働き世帯は1,219万世帯(平成30年)、専業主婦がいる世帯(606万世帯)の2倍強になっているのです。人生100年時代に最もよく効く処方箋は、共働きを長く続けることだと思いますので、今後はますます、「時短家電」の普及が進むことになるでしょう。

言うまでもなく、共働き世帯は忙しいですよね。朝は朝食の用意から始まり、子どもを保育園や幼稚園に送ってから、夫婦それぞれが仕事に向かい、夕方には子どもの迎えに行きつつ、夕飯の準備や掃除、洗濯もしなくちゃいけない。夫婦2人が協力しても、目が回りそうです。

そんな風に共働き夫婦の1日の様子を想像してみると、私の中で一つ合点がいくことがありました。現役世代の方と話をすると、決まって「人生100年だから老後準備を早めに始めなきゃいけないことは頭では分かっているけど、今は目の前のことで精一杯!資産形成なんて考える余裕がない。」とこんな感想を聞くことです。無理もないかも知れません。

でも、そんな感想を踏まえると、こんな風にも思うのです。日本で貯蓄から資産形成への流れを後押しするために、我々金融機関が資産形成の重要性をどれだけ熱心に説いたとしても、現役世代の皆さまが資産形成のことを考える時間や余裕がなければ、なかなか進まないのではないか、と。

もしかしたら、忙しい共働き世帯の皆さまが資産形成のことをゆっくり考えるための時間を作ってあげることの方が先決かも知れません。そのように考えれば、「時短家電」の普及がきっかけとなって、貯蓄から資産形成への流れが急激に加速される、という可能性もあるのではないでしょうか。秘策と呼べるかどうかは分かりませんが、私はそんな風に思います。