iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)とは、現役世代の皆さまが、原則、毎月一定額を積み立てながら運用し、60歳以降に年金資産を受け取る制度です。公務員がiDeCoを利用できるようになって、早くも3年が経ちました。今回は、その運用状況を数字で確認してみましょう!

まずは、iDeCo加入者全体ではどんな運用商品を選択しているのか、国民年金基金連合会の資料(※)で確かめてみます。iDeCoの運用商品は大きく分けると、預貯金などの「元本確保型商品」と値動きのある金融商品である「投資信託」の2種類になります。

2019年3月末時点でiDeCo加入者全体の運用商品の資産構成比(以下、構成比)は「元本確保型商品」:「投資信託」で48:52とほぼ半々となっています。5年前は構成比が60:40くらいでしたから、傾向としては「投資信託」を選択する人が増えている、あるいは、「投資信託」による運用でiDeCoの資産が増えている、ということになります。

面白いのは、どの金融機関のiDeCoを利用しているかによって、この構成比が大きく異なること。例えば、労働金庫のiDeCoプランを利用している人は、構成比が72:28と「元本確保型商品」による運用割合が最も高くなっています。逆に、「投資信託」による運用割合が最も高いのは、証券会社のiDeCoプランを利用している人。構成比は31:69と労働金庫経由とは真逆になっているのです。

こうした特徴を踏まえて、大和証券のiDeCoプラン「ダイワのiDeCo」について、2019年12月末時点のデータを使って同様の分析をやってみました。iDeCo加入者全体の運用状況は他の証券会社経由の傾向とほぼ同じで、「元本確保型商品」:「投資信託」は33:67でした。

それでは、「ダイワのiDeCo」を利用している公務員の運用状況はどうなっていると思いますか?「証券会社経由でも公務員という職業柄、保守的な運用をされているのでは?」とそんな風に思ってましたが、集計してみてビックリ!なんと、公務員だけを見てみると、その構成比は23:77と、平均以上に「投資信託」による運用割合が高かったのです。

これはどういうことでしょう? 証券会社を利用する人は公務員でもリスク好きの人が多い、ということでしょうか? でもそれは、利用金融機関の違いの説明にはなりますが、証券会社経由の中でも、特に公務員が積極的な運用をしている理由にはなりません。私は公務員のiDeCo積立上限が月1.2万円に抑えられているから、がその理由だと思います。老後資金として公務員には退職金があります。

つまり、ある程度まとまったお金が別に確保されているので、上限があるiDeCoでは積極的な運用が可能、と考えているのではないでしょうか。よく「アセットロケーション」という言葉で説明される考え方ですが、そんな専門用語を知らなくても、資産運用の本質を理解されている人が公務員には多い、ということだと思います。

※ 出所:国民年金基金連合会「iDeCo(個人型確定拠出年金)の制度の概況」(平成31年3月末現在)