ちょうど最後のセンター試験が行われた土曜日、日本証券業協会(以下、日証協)のボランティア授業「チャレンジ! お菓子の株式会社」に、半年ぶりに参加しました。久しぶりだったのは、ボランティアには毎回手を挙げていたのに、なかなかお鉢が回ってこなかったからです。金融投資教育の世界でも、ボランティアが流行りつつあるのかも知れません。今回はメイン講師を務めることになったので、子供たちへどんな話をしようかと、年明けから授業の準備をしていました。

  • 小学生向け金融投資教育で一番大切だと思うこと

まず、「株式会社」のこと、どうやって説明したら小学生に理解してもらえるかなぁ~、と考えてみましたが……、結構、悩みました。というのも、ついつい専門用語や難しい熟語を使ってしまうからです。例えば、「株式会社とは、株を発行して出資者から資金を調達し、事業を展開する組織のこと」と、こんな感じで金融の用語辞典には説明がありますが、誰も分からないでしょうね、小学6年生では(もしかしたら、社会人でも……?)。

そこで思い浮かんだのが、分かりやすい解説で定評のあるジャーナリストの池上彰さん。池上さんが子供向けの本(※1)でどんな風に「株式会社」を説明しているか調べてみると……、「株式会社とは、みんなから少しずつお金を集めてつくった会社」とありました。確かに、これなら専門用語も難しい熟語も使ってないから分かりやすい! 感心してしまいました。

でも、相手は子供です。思わぬところから飛び出してくる、素朴な質問攻撃にも備えなければなりません。例えば、NHKのチコちゃんばりに「なぜ、株式会社は、"株"会社じゃなくて、"株式"会社なの? 」って聞かれたら、皆さん、どう答えますか? 私も即答できませんのでググってみると、「株式の"式"は、中世の土地収益権のことを語源とする」といった説明を目にしました。でも、これでは分かってもらえないでしょうね、小学6年生には(たぶん、社会人にも……? )。

そこで池上さんに再登場いただくべく、地元の図書館に行きました。子供向けコーナーで本(※2)を漁ってみると……、「株式会社とは、"株"という"方式"、つまり、"株式"によってできた会社」とありました。「株」という「方式」だから「株式」。なるほど、こっちの方が分かりやすい! 感心してしまいました。

小雪が舞う中で迎えたボランティア当日、都内の小学校を訪ね、土曜授業に臨みました。ところが、せっかく準備した説明も披露せずに95分の授業は終了。授業を進行させる方が大変で、「こっちに注目~」とか、「話聞いて~」とか、そんなことばかり言っていたような気がします。

「先生って大変! 」と改めて思いつつ、一番大切なのは、子供たちにこっちを向いてもらうことだと痛感。次回は日証協のゆるキャラ、「とうしくん」の着ぐるみを着て講師を務めた方がいいかも知れませんね(笑)。

※1 出所:池上彰「池上彰のはじめてのお金の教科書」(幻冬舎)p.57 ※2 出所:池上彰「NHK週刊こどもニュース よくわかる経済3 株式・会社・倒産って何? 」(汐文社)p.6

著者: 小出昌平(こいでしょうへい)

投資信託の開発や富裕層ビジネスの企画・運営業務などを経て、平成27年(2015年)より確定拠出年金業務に従事。令和1年(2019年)10月確定拠出年金ビジネス部長。

現在は、イデコと呼ばれる個人型確定拠出年金の周知・普及活動に携わりながら、自治体や事業会社の職場における金融・投資教育、ライフプラン教育の支援活動に取組み中。

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