「毎日のように怒ってしまう」「言うことを聞いてくれなくて困る」「夫(妻)と育児方針がかみ合わない」……などなど、育児に悩みは尽きません。特に、毎日忙しく過ごしている共働き夫婦なら尚更でしょう。

ここでは、育児中のマイナビニュース会員に"育児の悩み"についてアンケートを実施。寄せられたお悩みに対して"どのようにすべきか"を、NHKの育児番組でキャスターを務めた経験を持ち、現在は育児のセミナー講師や書籍執筆なども行っている天野ひかりさんに、アドバイスしてもらいます。

  • 読書感想文が書けるようになる"絵本の読み方"とは?


コロナでオンライン授業も取り入れられるようになると、これからますます記憶する学習から考える学習へ、そして考えをまとめて発信する学習へと切り替わっていくと思います。

受験も大転換期を迎えています。知識を問う試験から、課題を解決できる力や何を学び何を考えて行動したのかを問う試験へと移行しつつあり、さらにはコロナの影響で、自宅で試験を受けても、答えは本人の中にしかない問題へと切り替わっていくのではないかと思います。

最近はようやく学校も再開され、学習の遅れを取り戻そうと宿題をどっさり出す学校も少なくないようです。親としては、計算ドリルや漢字ドリルはなんとかやらせられるけど、作文や読書感想文が大変……と感じる方は多いはず。

変わりつつあるこの時代を生きる子どもたち。そこで今回は、「読書感想文をどう書かせたらいいのかわかりません。小さいころから何かしておいた方がよいのでしょうか」というご相談に親子コミュニケーションアドバイザーがお伝えします。

絵本の読み聞かせで子どもの考えを育もう

親はまず、立派な読書感想文を書かせることを目標にするのはやめましょう。読書感想文はお子さんの感じたことや思ったことを育てることが目的で、そのための手段だと切り替えることが大切です。

小さいころから絵本の読み方を工夫することで、子どもの考えを育むことができます。子ども自身の考えを育む絵本の読み方は、第30回に書いた通りです。

・子どもが選んだ絵本(キャラクターものでも図鑑でも)を興味をもって読む
・絵本の楽しみ方(読むページやスピード、終わること)は子どもが決める
・ストーリーにこだわらず、子どもの世界を一緒に体感させてもらう
・まだ読めない文字を代わりに読むくらいの気持ちでいる
・絵本をきっかけに遊びに移っても気にしない

一つひとつお子さんがやろうとしていることを尊重することで、子どもの考えが育まれていきます。そして、これを行った上で、時々創意工夫を入れてあげれば、子どもの視野が広がり効果的です。

例えば、
・役になりきった声でお芝居のように読んでみる
・お母さんが選ばないようなウンチやおばけの絵本をお父さんが読んでみる
・カスタネットやタンバリンで効果音を入れて読んでみる
・全部即興の歌にしてミュージカル風に読んでみる
など、お子さんが乗ってきたら一緒に楽しみましょう。

目的は、知らない世界を知ることの楽しさを体感することにより、自分の考えを育むことです。このとき注意したいのが、子どもに感想を問いたださないこと。

「どうしてくまさんは泣いたと思う?」「だれが1番悪いことをしたのかな?」など、子どもの読みが深くなるように言わせたくなるかもしれませんが、残念ながら逆効果です。

子どもは絵本からたくさんのことを学び感じ取っています。頭はフル稼働です(興味を持たない、という意志を持っていることも含めて)。

そのときに親が一方的に問いただすと、子どもは自身の興味を中断して、お母さんが褒めてくれる答えは何かな、と考え始めます。これは自分の考えではありません。相手(この場合はお母さん)が持っている正解にたどり着くような読み方を、この時期子どもにさせるのはやめましょう。

子どもが「くまさん泣いちゃったね」と言えば、「うん、くまさん泣いちゃったね」と言葉を繰り返します。「くまさん悲しかったんだね」と言ったら、「悲しかったんだね」と子どもの感じたことをそのまま受け入れて認めていきましょう。

読書感想文に向け、読み聞かせで親ができることは

小学校に入るまでの6年間、しっかりと自分の興味を満喫した子どもは、自分の考えが大きく育っています。そして、学校で勉強して文字が読めるようになると、自分の考えをまとめられるようになっていきます。

最初のうちは、少し親が手伝ってあげましょう。

子「うさぎさん、負けちゃったね……」
親「うん、負けちゃったね」
子「うさぎさん、悔しかったと思うよ」
親「うん、悔しかったんだろうね」
子「でも、昼寝できてラッキーじゃん」
親「おお、確かに、昼寝できたらラッキーなんだね」

親は、子どもが自由に口走ったことを否定も問いただしもせずに、同じ言葉を繰り返し、代わりに子どもの言葉をそのままメモにとっていってあげてください。

「えっ、親が書くの?」と思われるかもしれませんが、感想を書くのではありません。子どもの代わりに議事録を取るイメージです。子どもは自分の「考えを話すこと」と「文字にすること」を同時にする力がまだ育っていないからです。

文字にすることによって、子どもは自分の言葉をメモしてもらえるととても嬉しく感じもっと話したくなります。また、後で見返すことができ、考えを整理し、読書感想文の書き方を実践で学ぶ機会ともなります。

もちろん、時々「その発想面白いね」とママの素直な気持ちで褒めることも忘れないでくださいね。

つぎに、親はメモを取りつつ「あなただったら? どうする?」と、ちょっと聞いてあげましょう。

先ほどの会話の続きであれば、 親「あなただったら、うさぎさんみたいに昼寝してラッキー?」
子「ぼくは、昼寝なんかしないよ!」
親「しないんだね」
子「負けたくないから」
親「負けたくないんだ!」
子「勝ちたい」
親「勝ちたい?」
子「きもちいいじゃん!」
親「気持ちいい? お昼寝よりも?」
子「んー、やっぱり怠けるのはよくないと思うし、頑張ったほうが気持ちいい!」

ほら、これでもう立派な感想文がかけました。子どもが言ったことをそのままメモしておけば、あとは、それを原稿用紙に書くだけです。

何度も言いますが、親はなるべく誘導するような質問は控え、子どもの言葉を繰り返しましょう。


子どもが何かに興味をもち、考えを育むことをしっかりできていれば、親が思うより子ども自身の中に考えは育まれています。

そしてそれが、学校での読書感想文にも活きてきます。子どもの中の答えを信じて、親はそのお手伝いをするだけなのです。