「毎日のように怒ってしまう」「言うことを聞いてくれなくて困る」「夫(妻)と育児方針がかみ合わない」……などなど、育児に悩みは尽きません。特に、毎日忙しく過ごしている共働き夫婦なら尚更でしょう。

ここでは、育児中のマイナビニュース会員に"育児の悩み"についてアンケートを実施。寄せられたお悩みに対して"どのようにすべきか"を、NHKの育児番組でキャスターを務めた経験を持ち、現在は育児のセミナー講師や書籍執筆なども行っている天野ひかりさんに、アドバイスしてもらいます。

  • 「絵本」の読み聞かせの正解は?(写真:マイナビニュース)

    「絵本」の読み聞かせの正解は?


たくさん時間のあったお母さんお父さん、いつもより絵本の読み聞かせをすることができてよかった、という声が届きました。一方で、いつまで読み聞かせをすべきでしょうか、との質問もあり、一生懸命なお父さんお母さんにとっては、タスクをひとつずつ卒業したい、との思いもあるようです。

多くの方は、たくさん絵本を読み聞かせたら本を好きになるはず、との思いから、読み聞かせなければならないと思い込んでいらっしゃいます。そして、絵本をたくさん読んだから、感想文や作文も得意になってほしいとの思いを抱いているようです。

そこで今回は、「絵本の楽しみ方と影響について教えてほしいです」というご相談に、親子コミュニケーションアドバイザーがお答えします。

子どもの好きな絵本を読み聞かせる

小さい時に絵本をたくさん読んでもらって、本が好きになったという人も多い一方で、絵本を読み聞かせられて、本が嫌いになったという人も結構います。この違いはなんだったのでしょうか。

よくよく聞いてみると、子どもが好きな絵本を好きなように読んでもらった経験をしているかどうかが大きいようです。親としては、推奨されている良質な絵本を買い与えて読んであげたいとの思いがありますね。

私も娘がまだ小さかった時、慎重に選び、優しいトーンの絵本を買いましたが、娘は見向きもしませんでした。読んでいる私だけが幸せで、娘には響かなかったのだと思います。娘が選んだのは、パンチの効いた絵本でした。

こうした経験は、ほとんどのお母さんが経験しているようで、「どうしたら読んでくれるでしょうか」との声は多いですが、お母さんが気に入ったからといって我が子も気にいるとは限りません。

そこで、なんとか読み聞かせようとするより、お子さんが興味を示した絵本を一緒に楽しもうと切り替えましょう。せっかく買ったのに……とがっかりせずに、お母さんがそれを読んで幸せな気持ちになっただけで十分ですし、子どもも成長すれば読むようになるかもしれません。

まずは「お子さんが手に取った絵本を一緒に興味を持って読む」、これが大事なのです。

"何を読むか"や"どう読むか"は子どもが決める

親は子どもが選んだ絵本をつい「この絵本にするの? 難しいよ」や「それより、こっちのほうがいいと思うよ」と言ってしまいがちです。本屋さんや図書館で子どもが選んだ本をダメ出ししているお母さんがとても多いのですが、もったいないなあと思います。子どもが選んだ本には「それ、いいね」と言って、わくわくしながら一緒に読んであげましょう。

これは、子どもがほしいと言ったものを全部買い与えましょうと言っているのではありません。子どもが興味を持ったものに、一緒に興味を持ってほしいのです。

子どもが目を輝かせたら、一緒にワクワクしながらページを開き、読み聞かせます。もし途中で子どもが飽きてしまったら、そこでやめましょう。

「えっ、途中でやめていいんですか?」とよく聞かれますが、「はい。お子さんが思っていたのと違ったらやめていい」と思います。私たち大人も、本や映画を見ていても違うなと思ったら途中でやめますよね。同じです。途中でやめる・やめないの判断は、親ではなく、子どもがするのがいいのです。

また、読んでいる途中で、子どもが最初に戻りたがる場合や同じページにこだわる場合もありますね。その際も子どもに合わせるようにしましょう。

ストーリーを順に追わなければいけないとこだわる必要はありません。お子さんの見ている世界を親も一緒に体験できるといいと思います。

なぜなら、お子さんの"こうしたい"という想いがあるときにこそ、「考える力」が育まれているからです。自分の考えを主張する力を親が邪魔せずに伸ばすことが大切です。

子どもの絵本の楽しみ方を尊重する

親は絵本の文字を頼りにストーリーを追い、一面しか見ていないのかもしれませんが、子どもの世界はもっと自由です。

同じページにこだわるお子さんは、親が気づかない細かな絵を見ながら豊かな想像力を働かせ、前のページに戻りたがるお子さんは、うさぎさんのスカートの色が(印刷の関係などで)少し違っていることが気になって見比べているのかもしれません。もちろん、ストーリーをどんどん知りたがるお子さんもいます。

親が一生懸命に読み聞かせるのではなく、子どもが何を見て何を考えているのかを一緒に体験し、子どものこだわりや想像力や考えを育むお手伝いをしましょう。こうして知らない世界を冒険する楽しみを経験したお子さんは、きっと本が好きになりますよ。

絵本から一方的に与えられた知識ではなく、子ども自身が考え、どうしてそうなったのかなどを絵本に問いかける環境を作りましょう。そういった体験をすることで、同じ絵本を読んでも学びの深さが変わるのです。

親は絵本をちゃんと最後まで読むことで、子どもの達成感や成長を見てしまいがちですが、お子さんの"問いかける力"、"不思議を見極める力"を大切に、絵本を読む喜びを一緒に体験しましょう。これがやがて感想文や作文を書く力の元になっていきます。

いつまでに何冊、何を読み聞かせるのかを決めるのではなく、お子さんそれぞれの個性にあった楽しみ方を応援しましょう。

執筆者プロフィール :天野 ひかり

・親子コミュニケーションアドバイザー
NPO法人親子コミュニケーションラボ代表理事

上智大卒。テレビ局アナウンサーを経てフリーに。
NHK「すくすく子育て」キャスターとしての経験を生かし、全国の親子に寄り添いながら、講演会や講座、シンポジウム、企業セミナー講師などを実施。
自身が立ち上げたNPO法人でも、子どもの自己肯定感を育てる親子のコミュニケーションを学ぶ教室「ことばでおやこみゅ教室」を主宰する。

■HP: h I k a r i a m a n o
■著書
・Amazon子育てランキング1位のロングセラー
「子どもが聴いてくれて話してくれる会話のコツ」サンクチュアリ出版
・最新刊
「賢い子を育てる夫婦の会話」あさ出版 ほか。