「毎日のように怒ってしまう」「言うことを聞いてくれなくて困る」「夫(妻)と育児方針がかみ合わない」……などなど、育児に悩みは尽きません。特に、毎日忙しく過ごしている共働き夫婦なら尚更でしょう。

ここでは、育児中のマイナビニュース会員に"育児の悩み"についてアンケートを実施。寄せられたお悩みに対して"どのようにすべきか"を、NHKの育児番組でキャスターを務めた経験を持ち、現在は育児のセミナー講師や書籍執筆なども行っている天野ひかりさんに、アドバイスしてもらいます。

  • 子育てしながら在宅ワークで成果をあげるには?(写真:マイナビニュース)

    子育てしながら在宅ワークで成果をあげるには?


子どもたちの休園休校と、自分の在宅ワークが重なると、家事と子育てと仕事の区別がなくなり、ワークライフバランスを保つのは難しいと感じている方が多いのではないでしょうか。

最近では、「子どもがいうことを聞かない」「兄弟喧嘩が激しくなってきた」「このままでは、仕事もできない」というご相談が増えています。

そこで今回は、「家族関係を円満にして仕事を効率よく進めるために、親としてどうするのがいいのか」というご相談に、親子コミュニケーションアドバイザーがお答えします。

仕事の成果を出すために「子どもの話を聴く態度」を見直そう

世の中の情勢を踏まえて、働き方が変わっていくと言われています。これまでは、上司への対応(いつでも指示に従いますという姿勢)など、時間に縛られ「態度」が評価の対象となってきましたが、自宅ワークとなった今は、「成果」が評価の対象になっていくようです。

ワークライフバランスを保ちつつ家で仕事をし、成果を出すためには、お子さんとの関係はとても重要になってきます。そこで、良好な関係を気づくために、「子どもの話を聴く態度」を見直してみましょう。

毎日の会話の中で、親は聴き方に注意を払うと、子どもはすごく変わっていきます。自分の言うことを聞く子どもに変えようとあの手この手を使ってイライラするよりも、まずはお父さんお母さんが、子どもの話を聞く態度を変える方が早道です。

子どもの話を聴く際に、子どもの意思を尊重することが大切です。「自分のありのままを受け入れられた」「自分は愛されている」「自分は信頼されている」こう感じて育つことで、生き生きした子どもになるからです。

そして、いろいろなことに興味を持ち、挑戦することができるようになり、もっと自分のことを知ってほしいと思うようになります。人は、自分をわかってくれる人に話をしたくなるものなのです。

大人も同じではないでしょうか。いつも、やっていることをやめさせてきたり、叱ってきたりする人には、だんだん話をしなくなっていきますよね。自分の話す意欲がなくなると相手の話も聞かなくなってしまいます。そうなる前に、まずは、お父さんお母さんが、お子さんの意思を聴きましょう。

子どもの話を聴く時の3つのコツ

多くのお母さんから、「聴いても、子どもが話してくれない」「何を言っているのか、よくわからない」とご相談が寄せられますが、聴き方にもちょっとしたコツがあります。

1つ目は、ゲームやYouTubeでも、「子どもが今夢中でやっていることに一緒に興味を持ち、認めることばをかける」ことです。

親の本心は"宿題をやってほしい"かもしれません。しかし、「すごい集中力だね」「これができるなんてすごいね」「ママは全然できないよ」など、しばらく一緒の空間で過ごしましょう。子どもがぼーっとしていたら、一緒にぼーっとする。

子どもは、自分がしていることをお母さんお父さんが一緒にしてくれるだけでも、認められていると感じます。

2つ目は、「子どもからのことばを待つこと」です。一緒に過ごす中で子どもが話しかけてきたら、「うんうん」と聴くことに徹しましょう。たとえ、ママが知りたいことではなくても、全力で耳を傾けます。「あなたのこと、もっと知りたい」という親の思いを子どもに実感させることが大切です。

この時のポイントは、先回りして答えを言わないこと。「あのね、さっき……お姉ちゃんとね……」とせっかく話し始めたタイミングで「えっ、お姉ちゃんと、また喧嘩したの?」といった具合に、親が予測して主導権を握らないようにしましょう。

子どもによっては、2分くらい待つことでことばが出てくる子もいます。「うん、お姉ちゃんと?」と次のことばを子どもが言うまで待ちましょう。

その2分が待てないというお母さんも多いのですが、いま2分待つことで、子どもが頭を使い始め話す喜びを知ったとき、将来、膨大な時間を得することになります。

3つ目は、「子どもが話し始めたら、『感情』と『事実』を分けて聴く」ことです。子どもが話し始めたら、何を言っているのかわからなくても心配しなくて大丈夫です。まずは、話す意欲を育てましょう。

その後、感情をうけとめます。「悔しかったんだね」「嬉しかったんだね」など、感情に名前をつけていきます。

そして最後に、事実を4W1H「いつ、どこで、誰が、何を、どのように」を、一つひとつ丁寧に聞いて整理することで、子どもも話し方を学んでいきます。「なぜ」は、責められているニュアンスがあるので、使わない方がベターです。

ポイントは、「悔しかったなら言い返せばよかったのに」など、子どものためを思って色々考え正論を言わないこと。これでは、親は頭を使って答えを出しすっきりしますが、逆に子どもは頭を使う時間を奪われることになってしまいます。

「悔しかったね」と共感のことばをかけて子どもが自分の思いをとことん言えるまで付き合うことで、次第に子ども自身が次にどうすべきかを考え始めます。


頭を使ってどうすべきかを考えるのは、子ども自身です。この繰り返しで、子どもが自分で考えて行動できるようになっていくのです。

そうすれば、お母さんお父さんもイチから全ていう必要がなくなり、家でずっと過ごしていてもイライラすることなく、仕事に集中して成果をだせるのではないでしょうか。

執筆者プロフィール :天野 ひかり

・親子コミュニケーションアドバイザー
NPO法人親子コミュニケーションラボ代表理事

上智大卒。テレビ局アナウンサーを経てフリーに。
NHK「すくすく子育て」キャスターとしての経験を生かし、全国の親子に寄り添いながら、講演会や講座、シンポジウム、企業セミナー講師などを実施。
自身が立ち上げたNPO法人でも、子どもの自己肯定感を育てる親子のコミュニケーションを学ぶ教室「ことばでおやこみゅ教室」を主宰する。

■HP: h I k a r i a m a n o
■著書
・Amazon子育てランキング1位のロングセラー
「子どもが聴いてくれて話してくれる会話のコツ」サンクチュアリ出版
・最新刊
「賢い子を育てる夫婦の会話」あさ出版 ほか。