ダイエットで運動が大切なことは当然ですが、運動時間の確保を優先するあまり、日中は仕事に集中しすぎて一日のほとんどが座りっぱなしになっているという人はいませんか。

立ち上がることや歩くことは人間の最も基礎となる運動で、日中の座位時間が2時間増えるごとに死亡率が15%も上昇するという大規模な研究結果※もあります。

※京都府立医科大学大学院医学研究科 地域保健医療疫学 小山講師らの研究グループが2021年6月25日発表

死亡率を下げる運動時間確保のため仕事に集中した結果、日常の活動量が不足し死亡率上げる……。なんとも皮肉な状況ですが、日常活動量をしっかりと確保することで、より健康的にダイエットを進められることは言うまでもありません。

運動時間はたったの1.2%

1回1時間、週二回運動と聞くと、十分と感じる人がほとんどでしょう。

しかし、1週間の時間で考えると、その運動が占める割合はわずか1.2%ほど。もちろんその時間を確保して運動を続けることは大切ですが、いくら頑張ってもそれ以外の98.8%の時間を疎かにしてしまっては本末転倒。

ダイエット成功の鍵も、このバランスと同じと言っても過言ではありません。

1.2%という時間が短いというわけではなく、残り98.8%の時間の過ごし方が大切。運動を頑張ったのに食事や睡眠を疎かにしてしまえば、思ったほどの効果は得られません。

しかし、普段の生活をきちんと律することができていれば、それより短い運動時間でも十分な効果を得ることができます。

運動の自立と、私生活の自律。このどちらが欠けても健康的なダイエットを成功させることは難しいでしょう。

同じダイエットでも結果は様々

同じダイエットでも、日常生活の習慣により結果に違いが現れます。

ジムで同じマシンを使って同じ動きをしていても、個々の筋力や可動域など目に見えない違いはたくさんあります。最近では2カ月で驚くような結果ばかりを目にする機会が多く、「自分自身もその通りに痩せられると思い込んでしまう人」もよく耳にします。

しかし実際は、体調や体質などダイエットの結果に影響する要素は様々。

なんとなく頭では理解していても、つい他人と比べることでうまくいっていないと勘違いし、ダイエットをやめてしまった人も多いのではないでしょうか

体重は減り続けることはありませんし、日々増減を繰り返しながら徐々に低下していくものです。

すぐに思うような結果がでなくても、継続以外に成功の道はありません。高額を支払い短期集中で痩せることはできても、理想的なライフスタイルを実現するためのダイエットは、ご自身の日常生活の中でしか成功させることはできません。

見た目と数字は比例しない

ダイエット中、毎日体重計に乗り、その数値を記録する人はいるかもしれませんが、毎日鏡に映る自分の姿を写真に撮って記録する人は少ないのではないでしょうか。

体重はあくまで重力であり、体水分量などで日々2kg程度は変動しています。入浴後や食事後、運動後など、私たちは常に体の状況が変化します。

また、水分は脂肪にはほとんど含まれず筋肉にはたっぷり含まれるため、体脂肪が落ちて筋肉がついて痩せてくると、日々の変動も大きくなってきます。

そんな目まぐるしく変化する体重の一部だけを切り取って、ダイエットが成功か否かを判断するのはナンセンス。それよりも重要なことは見た目に変化がでているかどうか。

あなたの正確な体重を知っているのは世界中であなた一人です。しかし、あなたの背中は毎日何百人、何千人の目に触れています。

すれ違うすべての人にじっくり見られている訳ではありませんが、日常生活で大切なこと、そして今後の人生において大切なことは一体どちらなのか。今一度ご自身の心に手を当てて聞いてみてください。