阪急電鉄では昨年11月28日、新型車両1000系が神戸線でデビューしました。12月末からは宝塚線でも1000系が運行開始されています。快適な移動空間を提供するため、「静かさ」と「省エネルギー性能」を追求した車両だそうです。

新型車両1000系は新開地行の特急でデビューした

阪急電鉄の新型車両を紹介するパンフレット

1000系の車内に大勢の鉄道ファン! 「録り鉄」の姿も

ありがたいことに、とある鉄道関係の知人から新型車両のパンフレットをいただくことができました。1000系と1300系(京都線で今春デビュー予定)の共用のパンフレットで、新型車両の詳細な寸法や重さ、さらには、「全閉自冷式永久磁石同期電動機 190kW×4台/両」などという、鉄道ファン以外には何のことやらさっぱりわからないマニアックなデータも満載です。パンフレットの内容を見るたびに、「やはり1000系、ただ者ではないな」という雰囲気がひしひしと伝わってきますね。

さて、筆者は偶然、新型車両1000系の営業運転初日、最初の電車(梅田駅10時0分発の新開地行特急)に、西宮北口駅で遭遇しました。これは乗らないわけにはいかないでしょう! とくに神戸方面へ行く用事はなかったのに、とりあえず乗り込んでしまったのでした。

平日の10時すぎ、普段だと空いてる時間帯ですが、けっこう人が乗っています。当然、乗客はかなりの割合で鉄道ファンの模様です。皆さんそれぞれカメラを持っていて、楽しそうです。ドアの前には、ヘッドフォンを付け、微動だにせずひたすら走行音を録っている青年が立っていました。窓に向かって立っているのに、視線は録音機に固定です。

「乗り鉄」「撮り鉄」はよく見ますが、「録り鉄」を見たのは初めてでした。ハマるときっと深い世界なのでしょう。

新型車両の乗り心地は……、たしかに静かで、揺れが少ない印象はありました。そして当然のことながら、車内はやたらきれいでした。新しいって、やっぱりイイですね。

新しい駅名「神戸三宮」、いちいち言わんでも…

「神戸三宮」への改称にともない、駅名看板なども付け替えられた

阪急電鉄では、12月21日の西山天王山駅開業に合わせ、一度に4駅も駅名が変更されました。それまでの三宮駅が「神戸三宮」に、服部駅が「服部天神」に、中山駅が「中山観音」に、松尾駅が「松尾大社」に。「天神」に「観音」に「大社」。全体的に、「ありがたさ50%アップ(当社比)」の駅名になりました。ご利益が期待できるかもしれません。

年が明けてから、筆者は再び神戸線の新型車両1000系に乗り、神戸三宮駅へ行ってきました。当然のことながら、本当に駅名が「神戸三宮」に変わっていてびっくり。まあ、外国人観光客や関西以外から来る人にもわかりやすく、ということらしいのですが。「神戸=三宮」でなじんでしまってる目には、なんとなくくどい印象がありました。例えるなら、「冷たい氷」とか「大きな大蛇」とか……。「いちいち言わんでも、三宮は神戸でしょ!」って、つい思ってしまうのですね。

そういえば阪神電車も、いまは梅田行の電車に乗ると、「大阪、大阪梅田、終点です」と車内放送が流れて、ちょっとくどく感じてしまいます。そして阪神電車の三宮駅も、4月から阪急神戸線の駅と同じ「神戸三宮」に変更されるそうです。

阪急電鉄の神戸三宮駅周辺は、駅名が違うだけでとくに変化したところはなく、いつもの三宮駅そのもの。なにか変化したところはないかと思い、ふと足もとを見てみると、不意に懐かしいウーパールーパーのような姿が目に飛び込んできました。「何でまたこんなところに?」と思ってよく見てみると、それは風見鶏でした。

風見鶏のイラストなのに、角度が違うとウーパールーパーに見える!?

駅前で見かけたちんどん屋さんたち

こんなところで「空目」をしてしまうとは……。自分自身に呆れつつ、しばらく駅周辺を歩いていると、どこからか笛と太鼓の陽気な音楽が聞こえてきました。最近あまり見かけなくなった、ちんどん屋さん。横断歩道で筆者とすれ違い、駅のほうへ渡っていきました。ふと振り向いて見たちんどん屋さんたちの後ろ姿の上に、真新しい「神戸三宮駅」の文字が。冬の日ざしを受け、輝いて見えました。