超高級車を扱うコーンズ・モータースを運営するコーンズ・アンド・カンパニー・リミテッドが千葉県に建設中の会員制ドライビングクラブ「THE MAGARIGAWA CLUB」。自分の暮らしぶりからいえば一生縁のない場所ではあるのだが、今回は内覧会ということで潜入することができた。しかもコースを走らせてくれるという話だから、せっかくなら人生初のフェラーリに乗ってみたい! そんな願望を抱きつつ送迎バスに乗っていると、南房総の山中に突如として、クルマ好きのための別天地がその偉容を現出させたのだった……。

  • コーンズの会員制ドライビングクラブ「THE MAGARIGAWA CLUB」

    コーンズの会員制ドライビングクラブに潜入!

どんな施設?

コーンズ・アンド・カンパニー・リミテッドでMAGARIGAWA Project Office室長を務める山口オスカー博義さんによると、コーンズは「クルマの総合商社」であり、ただクルマを売ったり修理したりするだけではなく、「クルマを愉しむ文化を未来に」つなげていきたいとの思いを持っているのだという。

ただでさえ、スーパーカーのような高性能なクルマを思うがままに走らせるのは難しいうえに、今後は自動運転やカーシェアの普及により、クルマを持つ意義や理由まで感じづらくなっていきそうな情勢。スーパーカーどころか、クルマで走れる場所すら少なくなっていくかもしれない未来を思うと、愛車の性能を最大限に発揮させられる会員制ドライビングクラブという施設の重要性がわかってくる。

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    「THE MAGARIGAWA CLUB」の所在地は千葉県の南房総市。アクアラインを通れば都心から60分程度で出かけられる。成田空港や羽田空港からもアクセスしやすいので、海外のユーザーにとっても利便性の高い立地だ。ヘリポートもあるので空から来てもいいそうな

THE MAGARIGAWA CLUBにはレストラン、バーラウンジ、ファミリーラウンジ、フィットネスジム、温泉などを備えるクラブハウスやドッグラン、テニスコートなど施設も充実。家族で出かけたとしても、クルマ好きの誰かだけが楽しくて残りのメンバーは退屈といった状況にはなりそうもない。

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  • 写真は左がクラブハウスのロビー、中央がインフィニティプール、右がフィットネスジム

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    「娯楽室」には嬉しい麻雀卓を発見! THE MAGARIGAWA CLUBの正会員になるくらいの人はツキもヒキも半端ではないだろうから、もし一緒に卓を囲んだとしても、こちらがタンヤオ・ピンフ・ドラ1くらいの手でイーシャンテンにたどりつくころには、トイメンはスーアンコウタンキ、カミチャはダイスーシー、シモチャはジュンチャン・サンショク・ドラ5(カン絡みだ)あたりでテンパっているに違いない。雀卓の奥に見えるのはドライブシミュレーターだ

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  • 敷地内には宿泊施設あり。2023年4月には第1次販売分の全5戸を入札方式で売り出したそうだが、即日完売したという

人生初フェラーリはツモれるのか!

盛りだくさんの施設見学を終えると、次はいよいよコースでの試乗だ。ピットレーンにとまっていたのはフェラーリが3台(ほとんど取材する機会がないので、ぱっと見では車名がわからない……)、ランボルギーニ「ウラカンSTO」(これは乗ったことがある)、黄色いポルシェ(たぶん「718 ケイマン GT4」)、銀色のポルシェ(スピードスターという珍しいクルマだったらしい)というラインアップ。乗るクルマは選べないが、はたして人生初フェラーリはツモれるのか!

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  • 最大36台を収容可能なピットレーンは冷暖房完備。会員がクルマを預けておける専用のオーナーズガレージは約300台を収容できるとのこと

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  • ずらりと並ぶスーパーカーたち

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  • フェラーリは3台。試乗車は全部で6台だから2分の1の確率で乗ることができるわけだが…

「マニュアル車は運転できませんので」とかなんとか係員の人に伝えていたら、「では、こちらのクルマへどうぞ」との案内が。割り当てられたのは幸運なことに、カッコいい水色に塗られたフェラーリのオープンカーだった!

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    このフェラーリに乗ることになった!

フェラーリといえば、思い出すのがアル・パチーノ主演の映画『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』だ。「/夢の香り」という邦題が醸し出すなんともいえない香りとDVDパッケージの雰囲気(バリエーションがいろいろあるのかもしれないが、私の行きつけだったレンタルDVDショップでは、確か「タンゴ」を踊るパチーノがパッケージに使われていた)から、初見の人は「つまらないメロドラマなのでは?」と敬遠しがちな作品なのではないかと勝手に想像しているのだが、観てみると全く印象が違う。『ゴッドファーザー』とか『スター・ウォーズ』のような、「父と息子」的な構造を踏襲した傑作なのだ。アル・パチーノの最高傑作なのではないかと思えたりもする。

パチーノ演じる盲目の元軍人フランクは作中、「人生最後の贅沢旅行」といった感じでNYに出かける。超高級ホテル「ウォルドルフ・アストリア」に滞在するフランクが、「人生最後の1台」として試乗しにいくのがフェラーリだ。ニューヨークの裏路地みたいなところをフェラーリが爆走するシーンは、映画の構成要素としてはちょっと長すぎたきらいもあるが、とはいえカッコよかった。もともと情報系の将校で、知的で洗練されていて、かつ趣味のいいフランクが最後に乗りたいと考えたわけだから、フェラーリというのはいいクルマであるに違いない。そう思っていた。

それともうひとつ、昔、月曜日を迎えるのが憂鬱で日曜日に夜更かしをしていたとき、当時は地上波で放送していた「F1」を見ていたことも、フェラーリに憧れる理由だ。当時はミハエル・シューマッハがフェラーリ、ミカ・ハッキネンがマクラーレン・メルセデスに乗って熾烈な優勝争いを演じていて、クルマに詳しくなくても見ていて面白かった。

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  • 「THE MAGARIGAWA CLUB」のコースは、数々のF1サーキットで実績のあるドイツの名門「ティルケ」(Tilke Engineers & Archtects)がデザインを手掛けた。前田建設工業が土木工事、前田道路が舗装工事を担当したというから本格的だ。全長は3.5km、メインストレートは800m、バックストレートは700m。道中には22のコーナーが用意されている

いよいよ水色のフェラーリに乗り込む。車名もわからないし、シフトを「D」(ドライブ)に入れる方法もすぐにはわからないような体たらくながら(ハンドル右側のパドルを引くと1速に入る仕組みだった)、とにかくコースでの試乗が始まるということで、前を行く銀色のスピードスターを追走する形で走り出す。ハンドルが硬い! 目線が低い! エンジン音がスゴい!

THE MAGARIGAWA CLUBのコースで特筆すべきは高低差だ。最大で上り勾配20%、下り勾配16%、高低差は80mというからアップダウンがものすごい。勾配のきつい上り坂では、目の前が空だけになる。コースの先が見通せないから怖いことは怖いのだが、開けた空に向かってエンジン音を響かせながら飛び込んでいくような感覚は、ひょっとするとクセになるかも? いずれにせよ、会員の皆さまにはご安全に楽しんでいただきたいと願うばかりだ。

試乗も3周目に入ると、フェラーリにもだんだん慣れてくる。ふと助手席のダッシュボードに目をやると「458SPIDER」の文字が。試乗も終盤に差し掛かり、やっと車名を知ることができたわけだ。降りてから調べたところによると4.5LのV8エンジン搭載、最高速度は320km/hというシロモノだった。

458スパイダーの実力を見るべく、3週目のバックストレートではアクセル全開を試してみた。確かに、床にくっついて止まるところまでペダルを踏んだ。ただ、そうしたときのエンジン音というのが猛烈で、跳ね馬というよりも、猛牛とか猛虎といった感じの生きものが、思い切り走り出そうと身震いしているような感じが下の方から伝わってきたので、急におじけづいて、すぐにペダルを戻してしまった。それでもけっこうな速度は出ていたし、目からは涙がにじんでいた。

  • コーンズの会員制ドライビングクラブ「THE MAGARIGAWA CLUB」

    普段はすまし顔の「458スパイダー」も、乗り手によっては凶暴な本性をむき出しにする…はずなのだが、紙ドライバーの運転では潜在能力の5%も引き出すことはできなかった

正会員は3,600万円…

間違いなく、「THE MAGARIGAWA CLUB」はスーパーカーや高性能なクルマを持つ人にとって、愛車の能力を思う存分に堪能できる夢の施設だ。気になる会員権の種類は「正会員」と「アソシエイト会員」の2つ。どう違うかは以下の通りとなる。

  • 正会員:入会費は3,600万円(2023年6月まで)、年会費22万円、会員上限数は500人。有効期限なしで、開業から6年目以降にはその時のマーケットバリューで譲渡することができる(つまり、買った時より高く売れる可能性もある)。

  • アソシエイト会員:入会費は400万円(2023年6月まで)、年次諸費用105万円、会員上限数は750人。有効期限は5年で更新費は180万円。

2023年7月の開業までに250人程度の正会員を募集する方針だが、コーンズ・アンド・カンパニー・リミテッドのMAGARIGAWAプロジェクト室でマーケティングを担当する内田華代さんによると、「ほぼ埋まるめどはたっている」そうだ。どちらの会員も共通でコース利用費用は1.1万円(1セット、半日)、ゲストドライバー費用は5.5万円だそうだから、会員さんとお友達になれれば、私にも再訪のチャンスが訪れるかもしれない。