フェラーリに日本で乗っているのはどんな人? 日本市場はフェラーリにとってどのくらい重要? 電動化でフェラーリは変わってしまう? フェラーリの正規ディーラーであるコーンズ・モーターズの新販売拠点「コーンズ芝ショールーム」のお披露目会でフェラーリ極東・中東エリア統括のディータ・クネヒテル氏に聞いてみた。

  • フェラーリ「296GTB」

    コーンズ・モーターズの新販売拠点「コーンズ芝ショールーム」(写真)でフェラーリ極東・中東エリア統括に話を聞いた(本稿の写真は撮影:原アキラ)

フェラーリ購入は「夢」じゃない?

――フェラーリ車の日本での現状、規模や増減について聞かせてください。

日本におけるフェラーリ(新車)の納車台数は世界でトップ3に入りますし、非常に成長しているマーケットでもあります。日本の中でも東京はとてもポテンシャルの高いマーケットで、プロダクトの良さを理解している強固なお客様、つまりロイヤルカスタマーがいる場所ということで、我がブランドにとっての柱、それも単なる柱ではなく、非常にしっかりした硬い柱であるといえます。

日本の中ではマーケットやブランドを何十年もかけて育ててきました。その全てを詰め込んだのが、今回お披露目したショールームです。日本はフェラーリにとって常に頼りになる存在であり、何があっても常に日本に戻ってくるという位置付けでやっています。

  • フェラーリ極東・中東エリア統括のディータ・クネヒテル氏

    フェラーリ極東・中東エリア統括のディータ・クネヒテル氏

――電動化や「プロサングエ」の登場などで、フェラーリの客層は変わってきていますか?

イエス! まさにその通りです。フェラーリは今、新しいタイプのお客様、若い層のお客様に魅力を感じていただけるプロダクトを提供しよう、またそれにまつわるテクノロジーを提供しようということでやっています。

たとえば新型「ローマ」(2020年デビューの2+2クーペ)は、「これまでフェラーリのことは知っていたけれど、自分が購入するとは思っていなかった」という方をターゲットにして開発しており、実際に購入者の70%がフェラーリの新規顧客です。

  • フェラーリ「ローマ」

    フェラーリ「ローマ」(画像はフェラーリのメディアサイトより)

「プロサングエ」(2022年デビューの4ドアスポーツカー)に関しては、これまでフェラーリの購入を考えていなかった、注目すらしていなかったような方にも訴求できていますし、その一方で既存のフェラーリオーナーさんからも強い注目を集めており、実際にお買い上げいただいています。

  • フェラーリ「プロサングエ」

    フェラーリ「プロサングエ」(画像はフェラーリのメディアサイトより)

やはり「フェラリスティ」(フェラーリオーナーをイタリアではこう呼ぶ)の中にも多様な方がいらっしゃるので、それらの方々にご満足いただけるようないろんなタイプのクルマを用意していこうという考えがあります。

また電動化モデルに関しては、日本ではハイブリッドテクノロジーのトレンドに牽引されて若い方から大きな注目が集まり、それに応じてオーナーの平均年齢が少しずつ下がってきています。これは世界全体のフェラーリの方針でもあり、日本も例外ではありません。これは本当にいいことだと思っています。

  • フェラーリ「296GTB」

    フェラーリのプラグインハイブリッド車(PHEV)「296GTB」(画像はフェラーリのメディアサイトより)

――その若い層というのは、具体的には何歳くらいなのでしょうか?

実は、日本はフェラーリオーナーの平均年齢が世界で最も高い国でした。具体的には50代後半という感じだったのですが、私が現在のポジション(極東・中東の担当)に着任したのが7~8年前で、そこから平均年齢は加速度的に下がっており、今は52歳くらいになっています。ただ、これはあくまで平均年齢で、モデルによってターゲットにしている年齢層は異なり、もっと若い層になることもあります。

日本人の若いお客様にはぜひフェラーリに乗っていただきたいですし、そこに「参戦」していただきたいと考えています。そのためには、プロダクトについてのコミュニケーションにも若い人に適した方法があると思うので、そういうところでも訴求できたことが奏功していると思います。

  • コーンズ芝ショールーム

    「コーンズ芝ショールーム」の店内

――現在のフェラーリはいろんな排気量のエンジンを取りそろえていて、それにモーターをつけるかどうか、ボディのレイアウト・形式をどうするかなど、プロダクトの展開が複雑化しています。いろんなモデルを作っていくうえで、生産計画や工場の増築などはどのようにお考えですか?

エンジンタイプやパワートレイン、レイアウト、ボディ形状の多様性に関しては、今日でもきちんとハンドルしていますし、それぞれのモデルに対してベストなオペレーションの展開や表現が行えるよう対応できています。常に最適なものづくりということはやっていますが、2025年に登場をお約束している完全な電気自動車(EV)については、今日の多様なモデルの上に乗っかっていくという形になるので、そのための新しい施設は現在準備中です。

――つまり、どんどん変わっていくことを変えない、というのがフェラーリの考え方と捉えていいのでしょうか。

ダイバーシティ(多様性)は大事なことです。こだわっているのは、それぞれのフェラリスティにそれぞれのフェラーリを、またそれぞれの瞬間にそれぞれのフェラーリを、ということ。一人一人のお客様に対して、いろんな仕様の商品をドンピシャでお届けするのがフェラーリの理念なのです。

そして業界のトレンド、特にEVに関しては無視するわけではなく、しっかりと意識しています。ただ、これまで培ってきたことを全て捨ててあちらに乗っかる、ということではなく、ステップバイステップで、自己統制しながら対応していきたいと思っています。ですから、フェラーリのEVは、また別のフェラリスティに対してのフェラーリとして出していく、ということになります。

先ほどもいいましたが、日本のフェラーリファンは新世代が入ってきて流れが変わってきており、とても嬉しく思っています。また週末にはサーキットで走る方も多く、スポーツ走行への熱意がある方も多いです。

若い方がフェラーリを購入するという「夢」については、そんなに難しいことではないと申し上げたいですね。いろんな仕掛けや仕組みがあります。フェラーリを手にするための“助け”ですね。例えばファイナンスのパートナーがいますから、そうした方にしっかりとついてもらって資金計画を立てれば手に入れることができます。実は、そんなに突拍子もないことではありませんよ。ぜひあきらめずにその夢を持ち続けてほしいな、と思っています。