連載コラム『まるみえ家計診断! プロが教える改善のコツ』では、家計簿アプリZaim利用者の中から、家計やお金のことで悩む相談者の実際の家計簿データをチェック! お金の専門家が相談者へ改善のコツをずばっとアドバイスします。


【今回の相談者】
北海道にて2人のかわいいお子さまと3人でお住まいの女性ベイマックスさん(30)。離婚を経て、現在はシングルマザーとしても奮闘される毎日。会社員として勤務され、毎月の手取り月収は約23万円で、年間のボーナスは夏冬合わせて100万円ほど。貯蓄と言える貯金はなく、子供2人の学資保険だけが頼りです。

相談者の収入データ(Zaim分析画面より)

【相談したい内容】
『今現在借金があり、どのように家計を運用すればよいか全くわかりません……少しでもいいので、何かできること・改善点を知りたいです』

相談者の支出データ(Zaim 分析画面より)

今回診断させていただいた5月の家計簿は、ゴールデンウィークがあったにも関わらずとてもバランスよく収まっています。家計簿をきちんとつけたのは今年に入ってからということですが、継続して記録ができているのがすばらしいですね。3人でお住まいにも関わらず、食費が20%以内に収まっているのも家計への意識の表れですね!

「メリハリつきすぎ家計簿」も問題あり! 引き締めポイントは?

さて、今回アドバイスを頂くのはファイナンシャルプランナーの森朱美先生。ふだん多くの方からご相談を受ける家計の専門家として、まず気になったカテゴリはどこでしょうか?

森先生「ずばり通信費。これは固定電話や携帯電話の他にインターネットのプロバイダー代・ケーブルテレビ代等が含まれる項目ですが、ベイマックスさんはこの項目が家計の8%も占めているのが目立ちます。多少の変動はあるものの、毎月継続してかかるのが通信費の特徴。固定費は、一度見直すと効果大。将来にわたって大きな節約メリットが出ます」

確かに食費が約3万7,000円なのに対して通信費は約1万8,500円と割高! 最近は電話とインターネットの契約を組み合わせや、格安SIMを導入するなど、通信費がぐんと安くなる方法もたくさんあります。少し面倒ですが調べる価値、大きそうです。

森先生「他にも光熱費が気になりますね。一般的に4~5月は光熱費が年間でも最も抑えられるシーズン。夏や冬は、その金額の倍近くまで上がってしまうことも珍しくありません。ベイマックスさんがお住まいの北海道だと、特に冬の光熱費はうなぎのぼりになるでしょう。電気代の契約の見直しや、家電買い換え時は省エネのものを選ぶなども選択肢のひとつとして考えましょう」

とにかくまずは借金を減らすこと、学資保険だけに頼らない家計づくりを

ベイマックスさんの家計簿で、その他にも目立つのが"教育・教養"カテゴリです。これは塾や習い事、通信教育などが含まれるかと思いますが月に約4万円は負担が大きそうですね。

森先生「教育への支出を積極的にかけられていることはすばらしいですが、少し気をつけたいのはこれから受験代や入学費用などまとまったお金が必要となることです。そのときにきちんと用意できるためにも、まずは借金の返済と貯蓄を進めるのが何より大切です。学資保険に入られているとのことですが、実際教育資金として不足することも珍しくありません。教育・教養の支出も、家計の10%以内に抑えて、将来のお子さまのために残りを貯金に回すなど、"今"と"将来"とのバランスを考えてみましょう」

ベイマックスさん、子供さん1人あたり200万円の学資保険に加入されているとのことですが、さらに準備が必要なんですね。将来のための"今"だからこそ、かけるところと抑えるところ割り切りが大切なようです。

森先生「収入を増やすことは簡単なことではありません。まずは支出を減らすことから取り組むのが先決です。家計簿をきちんとつけておられるので、次のステップとして"必要な支出"と"ムダ遣い"つまり"消費と浪費"にわけて振り返ってみましょう。"必要だったもの""必要だったが金額を抑えられたもの""不要だったもの"に整理すると見直しやすいかもしれません。一般的に母子世帯は貯蓄が少ないというデータもありますが、しっかりと貯蓄できるご家庭もたくさんあります。児童手当などをうまく貯蓄に回して、将来に備えてください」

浪費体質ではないベイマックスさんだからこそ、少し意識を帰るだけで家計簿の状況は大きく変わりそうです。「家計はコントロールできる」という気持ちで、まずは支出の見直しをするところから始めると良いですね。

Zaimのご利用者の中では、お子さまと一緒に家計簿をつけているシングルファーザーのご家庭もいらっしゃいます。レシートの撮影読み込みをお手伝いしてもらったり、食費や光熱費を家族で共有したりするだけでも、お金の使い方の意識が大きく変わったという事例もありました。まずは貯蓄体質な家計になるよう、工夫して取り組んでみてくださいね。

家計診断協力

森朱美
ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)。大手自動車メーカー、グループ金融会社を経て、家計の総合相談センターに入社。東京・名古屋・大阪でCFP認定者、税理士、社会保険労務士などのお金の専門家のメンバーで来店型相談センターを運営。相談業務、各種講師、執筆業務などの活動をしている。トヨタグループ各社のライフプランセミナー、上場企業向け確定拠出年金講師、大学・金融機関主催の講師なども多数担当。冷静・的確なアドバイスで安心できるマネープランに定評がある。

執筆者

綿島琴美
家計プランナー、2級ファイナンシャル・プランニング技能士。Android, iPhone, iPad や Webから利用できる日本最大級の家計簿サービス「Zaim」にて、としてユーザーへの家計サポートを行う。レシート自動読取り機能や銀行とのデータ連携など、アプリを活用した家計の仕組みづくりを提案。初の監修本『Zaimのシンプル家計術』(ナチュラルライフ編集部編、税込み842円)が学研プラスより好評発売中。