連載コラム『あなたの家計簿見せて! "給料減少時代"の家計診断』では、相談者のプロフィールと実際の家計簿をもとに、5人のFPが順番に、相談者の家計に関する悩みについての解決策をアドバイスします。


【相談内容】
子どもを2人とも中学校から私立に入学させようかと今から考えていますが、このままのやりくりではやっていけないのではと心配です。今のうちに家計を見直して、今後に備えたいのでアドバイスよろしくお願いいたします。また、中学受験をする場合、塾代なども含めて、今後かかる教育費はいったいいくらくらいでしょうか?

相談者プロフィール

相談者の家計状況


【プロからの回答です】

  • 私立中学に進学する場合、年間100万以上の支出が見込まれる上、小学校高学年での塾代の負担も大きくなります。中学受験をするなら、大学進学費用と並行して、子供が小さいうちに進学塾の費用を貯蓄しておくことが必要です。家計はメリハリをつけて無駄な支出を抑えましょう。

(※詳細は以下をご覧ください)


私立中学にかかるお金

東京都教育委員会によると、東京都の公立小学校卒業生のうち、私立中学に進学した割合は16.5%にもなるとか。40人クラスから6、7人が私立に進学する計算です(平成24年度公立学校統計調査結果報告書より)。質の高い教育を受けさせたい、高校受験を気にせず充実した中学時代を過ごさせたいなどの親のニーズもあります。

では、私立中学はどれくらい学費がかかるのか具体的に数字を見てみましょう。文部科学省の子どもの学習費調査(平成22年度)によると、中学3年間でかかるお金は、私立中学で約384万円、公立だと138万円です。この金額には、入学金や授業料などの学校に納めるお金だけでなく、学校外の塾や家庭教師、習い事、家庭学習にかかるお金も含まれていますが、私立は公立に比べて3倍近くの教育費がかかることになります。また、学校によって寄付金が必須だったり、修学旅行が海外だったりと予想外の費用がかかる場合もあります。あらかじめ進学したい学校の情報を調べておきましょう。

受験塾にはどれくらいかかるのか

中学受験をするなら、多くの場合、受験塾に通うことになります。通い始める時期は小学校3、4年生くらいからで、塾にもよりますが費用は年間50万円前後。高学年ではオプション講習や模試の費用もかさみますので、100万円程度を見込んでおきましょう。塾代だけでなく、通塾のための交通費や携帯電話代などが必要になる場合もあります。

また、実際に中学受験をする際の受験料は1校あたり2万円から3万円くらいですが、複数校受験しますし、滑り止めの学校の入学金が必要になる場合もありますので、受験自体にも数十万円のお金を見込んでおきましょう。受験までには総額250~300万円かかるとも言われています。

しかも、その後の大学進学では、国公立でも250万円、私立大学でしたら学部にもよりますが450万以上(どちらも4年間合計金額)の授業料が必要になりますので、それも準備しておかなくてはなりません。

私立中学を受験しようとしている根岸様のご家庭で、これから教育にかかる費用を下記の一覧表にまとめてみました。小学校から高校までの費用は「平成22年度文部科学省の子どもの学習費調査」より算出していますが、幼稚園から小学校の間の費用は現在の家計支出、一般的な受験塾の費用を参考にアレンジしています。下のお子様も上のお子様と同様の習い事を幼稚園年長から始め、進学塾と並行して通うことにしています。このような前提で計算すると、中学から大学まで私立に進学した場合、お1人あたり約1,600万円、お子様二人で3,000万円以上の教育費がかかることになります。

メリハリのある家計にして重い教育費負担に備えよう

上のお子様が私立中学に通う頃から大学にかけての約10年間は、教育費だけで年間200万円以上かかる時期が続き、家計の収支もマイナスになる計算です。この時期は貯金を取り崩しながら生活することになりますが、現在の貯蓄も2,000万円以上ありますし、ボーナスも順調に貯蓄できていますので、家計が破たんする心配はありません。ただし、ご主人の収入が減ったり、ボーナスに変動があったりする場合も考えられます。なるべく貯蓄を減らさず、重い教育費負担を乗り切るためには、家計を見直して支出を減らす、可能ならば根岸様自身が働いて収入を増やすなどの対策を立てます。

家計データを拝見して、見直しをした方が良いと感じた項目は、食費と光熱費、生命保険料です。平成25年3月総務省家計調査報告によると、2人以上の勤労者世帯での平均支出は食費が約72,000円、光熱費が約28,000円です。食費は高すぎるわけではありませんが、お子様2人がまだ小さいことを考えると、もう少し抑えても良いと思われますので、無駄がないか見直してみましょう。

生命保険料については、持家ですし、貯蓄が十分にありますので、ご主人の終身保険の保障を減らせるかもしれません。お子様のこども総合保険は、小学校在学中も医療費補助が出る自治体ならば加入しなくても良いでしょう。お子様の習い事にお金をかけていますが、進学塾に費用がかかりますので、数を絞っても良いかもしれません。その他の項目は、支出をおさえて頑張っていらっしゃるようです。この調子で、ボーナスを貯蓄していきましょう。

現在加入している学資保険は、大学入学資金に充てるためこのまま続けていきましょう。住宅ローンがあと15年で終わるということですので、下のお子様の大学卒業後は老後資金が貯蓄できる家計になると思います。

<著者プロフィール>

(株)プラチナ・コンシェルジュ ファイナンシャルプランナー 福島佳奈美

金融系SE(システムエンジニア)からファイナンシャルプランナーに転身。Webサイト中心にマネーコラム執筆を行うほか、教育費やライフプランニング、保険、家計見直しなどのセミナー講師、個人相談などの活動を行っている。