SNS全盛時代にありながら、意外と見えない周りのお財布事情。この連載では、お金の学校ファイナンシャルアカデミーが、典型的な家計簿パターンを紹介しながら、明日から実践できる家計改善のコツを具体的に伝授します。連載最終回の第5回では「自分は初婚、夫はバツイチ。30代再婚カップルの家計簿」にメスを入れます。

  • 夫がバツイチの場合、注意しておきたい家計の"落とし穴"とは?

    ※画像はイメージ

自分が初婚でも、バツイチさんのマネー問題は、知っておいて損なし!

神奈川県にお住まいのEさん(31歳)は、ご主人(37歳)と1歳になるお子さんとの3人暮らし。結婚して3年。Eさんは初婚ですが、ご主人はバツイチ。前の奥さんとの間には、実は12歳と10歳になるお子さんがいますが、前の奥さんがお子さんを引き取ったため、今は養育費を払うのみで、離婚後は一度も会っていないそうです。

最近、Eさん夫婦は、夢のマイホームを購入。家族3人の理想のすみかを手に入れたものの、月々の収支は赤字になってしまい、家計を一度見直したいとのことで今回の相談に至りました。ですが実はEさん、住宅ローン借入時に「前妻との間に子どもがいる人は、将来的に遺産相続で揉めるケースがある」という気になる噂を耳にし、それについても相談したかったようです。Eさんの家計は次の通りです。

給与
夫 48万円/月(手取り)
妻 なし

支出
48万6,000円

ボーナス
夫 120万円(手取り)

貯蓄
150万円

離婚後、全く会っていない前妻との子ども。でも相続で揉めるかも。

離婚後、たとえ一度も会っていなくても、前妻との子どもたちには、実は遺産を相続する権利があります。Eさんの家庭では、もしご主人が亡くなった場合、配偶者であるEさんに2分の1、そして前妻との子どもを含めた3人の子どもたちに、6分の1ずつ相続権が発生します。

こうしたケースで特に気をつけるべきなのが、マイホーム。Eさん夫婦は、住宅ローン申込時に「団体信用生命保険」に加入したので、ご主人に万が一のことがあった場合でも、住宅ローンの返済はなくなり、かつ、マンションは残るので、住むところに困ることはないだろう、と考えがちです。

しかし、もしご主人名義の預貯金が少なく、遺産といえばマンションだけ、となった場合、前の奥さんの子どもたちが相続を主張すれば、マンションを売って遺産を分割しなければいけない事態に陥るかもしれません。

こうした事態を避けるためには、ご主人が前の奥さんの子どもたちに対して、生前に財産を贈与して、相続を放棄してもらう方法があります。しかし、住宅ローンの返済も始まり、養育費の負担も続くなか、生前贈与のためのまとまったお金を用意することは、なかなか大変です。

そういった場合には、生命保険を活用するのも一つの手です。ご主人に万が一のことがあった場合、Eさんに保険金が入るようにしておけば、いざという時、遺産をわけるための現金を確保できるでしょう。

既に現在、ご主人の死亡時の保障として「収入保障保険」に加入しています。これは、ご主人に万が一のことがあった場合に、Eさんとお子さんの生活費に充てるつもりのものです。これとは別に、万が一のときに保険金がもらえる「終身保険」に加入するのもありでしょう。

引っ越しは、家計見直しの大チャンス!

住宅ローンの返済が始まって、Aさんの家計は毎月6,000円程度、赤字になっています。今後は保険料負担が増えることになりますし、近い将来、お子さんの教育費も必要になるので、毎月の支出はさらに増えそうです。今は月々足りない分はボーナスから補填していますが、これはできれば避けたいですね。ボーナスは毎年必ず決まった金額がもらえるとは限らないので、毎月の収入でやりくりできるよう見直しましょう。

家計の見直しはいつでもできますが、引っ越しなど環境が大きく変わったときは大チャンス! 生活の変化に注目して、無理なく家計を見直しましょう。Eさんのケースであれば、実家の近くに引っ越したそうなので、思い切ってマイカーを手放してはどうでしょうか。車を使いたいときには、実家に借りたり、レンタカーで済ませたりすることもできるはずです。固定費は一度見直すと、効果がその後もずっと続くので、真っ先に見直せないかチェックすべき項目です。

同じ固定費だと、携帯電話とインターネット回線の見直しもできそうです。使い慣れたものを変えるのは多少面倒ですが、プラン変更や格安スマホへの変更で、コストダウンは十分に可能です。

また、食費やお昼代が結構かさんでいるようですが、状況を聞いてみると、これまでは外食やデリバリーにかなり頼っていたとのこと。引っ越しをして使いやすいキッチンになり、近所には大型スーパーもあるようですので、自宅で料理をするなど暮らし自体を楽しむスタイルにシフトすることで、食費やお昼代の見直しも比較的楽にできるのではないでしょうか。

なお、月々支払っている養育費の6万円は、お子さんがそれぞれ22歳になるまでの約束とのこと。あと12年ほどで目途が立ちます。その頃には、現在1歳のお子さんの教育費も結構かかる時期ですが、ご主人の年齢もアラフィフとなり、自分たちの老後資金作りも考えないといけない時期にも入ります。養育費支払い終了後の6万円については、夫婦の老後用の積み立てに回すことを想定し、お子さんの教育費については、できれば今から少しずつ積み立てを始まるのが賢い選択でしょう。

ファイナンシャルアカデミー

お金の教養を身につけるための「総合マネースクール」。2002年の創立以来、東京校・ニューヨーク校・オンライン校を通じて19年間で累計61万人以上が、貯蓄や家計管理といった生活に身近なお金から、資産運用、キャリア形成、人生と社会を豊かにするお金の使い方までを学んでいる。人生と切っても切れないお金の知識が丸ごと学べる『お金の教養スクール』では、WEBで受講できる無料体験セミナーも実施している。