マイナビニュースの読者様にお聞きした「住宅ローン」についてアンケート結果から、皆さまが気になっていることに対してQ&A形式でお答えしていきます。

第二弾は「住宅ローンの支払いが厳しい場合の対策」についてです。

→第一弾の「繰り上げ返済について」はこちら

Q.毎月無理のない金額で住宅ローンを組んだはずでしたが、想定していなかった新型コロナウイルス感染拡大の影響で、収入が減ってしまい返済が大変です。今は何とか返済ができていますが、今後も長期間続く返済の中で収入や生活環境が変化して、もし支払いが厳しくなった場合にはどうすればよいでしょうか?

A.先が見えない中で長期間にわたって返済をしていけるかご不安だと思います。現在は返済が大変な中でも支払いをしていけているようですが、もし滞納をしてしまった場合は、たった一度でも優遇金利の適用が終了となったり、数ケ月滞納をすると競売にかけられて自宅を失ってしまったりと、かなり厳しい現実が待っています。このような事態にならないように支払いが厳しくなってしまった場合は、早め早めの対策が必要です。対策方法について解説をしていきます。

支払いが厳しい場合の4つの対策方法

(1)借り換え

現在借り入れをしている住宅ローンの金利が高い場合、「借り換え」を行うことによって毎月の返済額を下げることが可能です。しかし、借り換えを行う際に事務手数料や登記費用などといった「諸費用」がかかりますので、諸費用を上回る支払い軽減効果があるかどうかが重要です。

(2)金融機関に相談をする

住宅ローンを組んだ金融機関へ相談に行き、「リスケジュール」を依頼してみましょう。リスケジュールは、現在組んでいる住宅ローンの借り入れ条件を変更し月々の返済額を少なくすることです。

「リスケジュールの主な種類」
・期間延長:借り入れの期間を延長することにより、毎月の返済額を減らす方法です。
・返済額を一定期間減額:支払える金額まで一定期間減額してもらう方法です。
・元金返済据え置き:一定期間は元金の支払いをせずに、利息のみを払う方法です。

ただし、これらの選択肢はあくまでも「見直し」や「猶予」であって、支払いの「免除」ではないということです。元金が減ることはありませんので、後ろ倒しにした分、支払う利息も増えます。あくまでも一時しのぎの方法として認識しておきましょう。

(3)家計収支改善

期間延長や一時的に利息のみの支払いにしてもらうことは、一時しのぎに過ぎないので同時並行で家計収支改善を行っていく必要があります。

1つひとつは大きな金額ではないかもしれませんが、長期間で考えると大きな効果が出るものをリストアップしてみました。住宅を手放さないためには、覚悟を決めて収支改善に取り組む必要がありますが、ご家庭の優先順位に合わせて着手していきましょう。

  • 表:家計収支改善例

(4)売却(最終手段)

ここまで解説をしてきた対策をしても支払いができないという場合は、最終手段として家を「売却」をして生活を立て直す必要があります。あくまでも売却は「完済」が前提となりますので、売却して得た資金や、自己資金と合わせて「完済」が難しい場合は、以下のような方法をとります。

任意売却

任意売却とは、債権者と債務者が協議の上、不動産等の売却を進めるものです。通常の売却方法と大きく異なるものではありませんが、「住宅ローンをすでに滞納している場合」や「売却をしても住宅ローンが完済できない場合」には、借り入れをしている金融機関から承諾を得た上で、売却することになります。

競売よりも高く売却できる可能性があり、市場価格に近い金額で売却が行うことができる可能性もあることから、ローン残債を少なくすることが期待できます。

競売

競売とは、金融機関などの債権者が、裁判所を通じて不動産を強制的に売り、貸付金の回収を行うというものです。

一般的に、借入金の返済を滞納した場合、ローンを分割で返済する権利(期限の利益)が失われることとなり、債権者は残りのローンの全額を一括で返済することを要求することができます。

このような事態に陥った場合に、督促などを放置してしまうと、債権者は回収不能になることを避けるため、競売を検討します。競売では、一般的に市場価格に比べて6~7割の価格となることが多く、任意売却にくらべ負債が多く残る可能性があります。

まとめ

今回は住宅ローンの返済が厳しくなってしまった時の対処法について、4つのポイントを解説してきました。

せっかく手に入れたマイホームを手放すことはできるだけ避けたいものです。しかし、手放したくないあまりに対策が遅れて、競売にかけられるという最悪の事態にならないように、早めの対策でご自身の生活と家を守りましょう。