「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第86回のテーマは「思考や物言いの癖を修正してケンカを減らそう」です。

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我々は、一緒に暮らして8年目。夫婦としては、まだまだひよっこですね。しかし8年、コミュニケーションについては日々たゆまぬ努力をしております。で、最近はお互いに「お見通し力」がアップしてきています。連載第80回「キレないために『先回りして伝える』」では、パートナーが私の特性を見抜いて、自分がイライラする行動を取らないように先回りの行動をするようになったことを書きました。

で。私のほうも最近はそうなのです。

パートナーは、たまに「なぜそのようなネガティブな表現をするの?」という言い方をします。なので、そこから始まる夫婦ゲンカというのがよくありました。しかし、よくよく話を聞いていくと、言い方はネガティブなのに「よかれ」と思ってやっている行動だったりするのです。ただ……被害者意識の強めのタイプであるパートナーは「被害者的な言動」をしがちなのです。

つまり、表現方法がよくない……。「本当にお互いが不幸になるばかりなので、やめてほしい」という話をさんざんしたのですが、こういうのは思考の癖なので、気を抜くと出てきてしまいます。

第76回「素直に『ありがとう』と言うために」でも書いたのですが、我が家では相手の家事タスクを代わるときにどう伝えるか、というのはセンシティブな問題になりがちです。家事タスクを代わってもらうときに、諸手を挙げて「わーい、やらなくて済んだ!」という気持ちにはなりません。自分の担当の家事には「相手にやってもらうのに罪悪感がある」とか「自分の仕事なので最後までやりたい」などの気持ちがあるんですよね。

そこをせっかく代わってくれると言うのに「どうせオレがやればいいんでしょ!」っていうのは……不幸な結末しか招かないですよね。私はこれを「被害者として立ち振る舞いたがっている」というふうに見てしまいます。私は相手に無理矢理タスクも押し付けてないし、私は横暴な加害者ではない。加害者にされるくらいなら「だったらやらなくていい、頼んでないし」と思ってしまいます。

家事のタスクを代わるくらい……愛と思いやりに満ちあふれた家庭なら揉めないと思うんですけども……。でも我が家は揉めてしまうのです。しかし、同じパターンを繰り返すうちに、こっちもいちいち傷ついたり怒ったりするのも疲れまして……。最近は、たまにですが「どうしてそういう言い方するの!?」みたいな怒りの部分をすっ飛ばすことができるようになりました! お見通し力のアップ!

しかし、この「ネガティブな物言いのほうが口にしやすい」という問題……。これって実はうちだけじゃなくて、わりと多くのところにある問題なんじゃないかなあと思ったりします。というのも、たまに実家に帰って実両親と話していると、こういう「ネガティブな物言い」というのをよく感じるからです。「あなたのためを思って代わりにやってあげます」というのを「おまえはしょうがないな、貸してみろ」みたいな感じとか。やってることは同じ行為なのに、表現方法が違う。

ポジティブな表現は「恥ずかしい」みたいな価値観って、わりと根深くあるのではないか……と感じます。……とくに昭和っぽい価値観の男性とかに多い気がします。でも、なんでポジティブな表現をするのは恥ずかしいんでしょう? よくよく考えると、私にはわからないのです。だって、どう考えてもストレートにポジティブに表現されたほうが嬉しいから。

我が家では「どうして?」と言っても、染みついてしまった「思考の癖」はなかなか直らないと割り切って、「ふふふ、私が先にやっちゃうもんね」とわざとタスクを奪うように言ってみたり、ストレートに「ポジティブな言い方」の練習をしたり、と試行錯誤しています。

しかし今回みたいな「先回りのケンカ回避方法」というのは、両者がやっているならお互い様でいいと思うのですが、もしも片方だけがやり続けるとなったら、バランスのいい夫婦とは言えないなと思います。しかも、そういうふうに立ち振る舞えるのが大人……みたいに言われたら? それはずいぶんと甘えているのではと思ってしまいます。なので、たまにはいいですが、やっぱりちゃんとポジティブな言い方にしてもらいたい……と思っています。というのも、こちらに余裕があるときは先回りしてケンカを回避できますが、常にそうだとは限らないので……!

我が家は夫婦揃って空手をやっているのもあって「大人になって始めても、練習すれば絶対うまくなる」という価値観があります。コミュニケーションや言い方、表現も練習したり気をつけると段々身につくようになります。ポジティブな言い方を練習したり心がけたりして、衝突を回避していきたいと思っています。

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