「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第85回のテーマは「永久の愛は誓い合わないパートナーシップです」。

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前回「家族や親しい人との関係がうまくいかないとき」からの引き続きの話題になります。「ロマンチックラブイデオロギー」についてです。

我が家は離婚経験者同士で、事実婚です。事実婚にももちろん貞操義務はあって、浮気は不貞行為です。なので、民事で訴訟したり、それが理由で離婚に至れば慰謝料ももらえます。

なのですが、我々は「他に好きな人を作らない」という約束をしていません。そして「もしも他に好きな人ができたら、ちゃんと話してね!」という約束をしています。というわけで「婚外恋愛OK」という約束なんですが……これについては連載初期の第12回「浮気よりも嘘のほうが罪」でも書きました。

基本的に我が家はケンカもしますが、仲がいいほうだと思います。旅行もたくさん一緒に行きますし、なにせ……2人とも在宅で仕事をしています。夫のほうが外出しているときが多いですが、一緒にいるときは、お昼ご飯は2人で食べます。こんなにお昼ご飯を一緒に食べている夫婦って、珍しいほうかなと思います。もちろん、会話もたくさんします。お互い、自分の話を相手によくするほうだと思います。

仲はいいのですが、それゆえにどんどん自分と相手との線引きが曖昧になるのが恐ろしいのです。前回も書いたように、線引きが曖昧になると自分との差違が気になり、それがストレスになり……どちらかがどちらかをコントロールする関係にもなりがちです。

お互い離婚経験を踏まえ、結婚前に「人の心は縛れるか」ということについて話し合いをよくしていました。私は結婚式をして、神様とか親戚とか周りの人に関係性を誓ったくせに、全然維持できなかったことにものすごいショックと挫折感があったのです。本当に「ロマンチックラブイデオロギー」の信奉者だったんですね。信じていたのに、それだけでは相手との信頼関係が築けませんでした。私にとって誓いは意味がなく、恋愛感情も「この人は私のために力を尽くしてくれない」という事実を超えることはできませんでした……。

さらに、関係性を誓った上に法律婚をしている限りは、法的にも「一生関係を続ける」という前提に、「私のために尽くしてはくれない人のために、一生を捧げるのか」というプレッシャーも私を絶望させました。ロマンチックラブイデオロギーを信じていたために、それに縛られて失望するのも早かったのです。

再婚するにあたり、「自分はロマンチックラブイデオロギーは合わない」ので、関係性を誓ったりせず「一緒にいなくてもいい」環境にして、その上で「一緒にいられる」ようにしよう、となったわけです。「恋愛感情は続かないかもしれないが、信頼関係があれば関係は続けられるかも」ということです。

「一生愛し合わないかもしれないけど、できれば一緒にいたい」という共有意識の中で「もしも、パートナー以外の人に興味を持ったらどうする?」ということを話し合って、「禁止事項にすると内緒にするから、共有しましょう」ということになりました。「好きな人なんか現れない!」とか「他に好きな人とかできるとか許さない!」とか言うよりも、我々は「もしそうなったら、お互いにどうするか考えましょう」というほうが現実的でした。

……という話をですね、芸能人の不倫報道とかがあるたびに、友達とかにしているんですけども。前回も書きましたが……今のところ夫婦ともに全然、そんな気配がないので、なんら説得力がないです……すみません。

そもそも「他に仲良くなりたい異性がいる」ということを夫婦内で共有するということは、その対象となる相手にもそれを開示しないと、不誠実ですよね。で……「夫婦間で共有します」ってそんなこと言われて「はい! 大丈夫です!」っていう人、この世にいます!? プライバシーって何!? みたいな感じですよね。それが成立するのって「ポリアモリー」ですよね。というわけで、この設定自体が今のところ絵に描いた餅。夫婦間のファンタジーなんです……。

ていうか、パートナーと協力して家庭を運営している以上、婚外で恋愛関係になったところで、相手が本当に困ったときには助けられないかもしれないし、できることってすごく限られている。家庭内でOKだからって、じゃあ相手はどうなるの? と考えると、やっぱり婚外恋愛で「いいこと」っていうのは極めて少ないと考えます。

夫婦間以外でも親しい人の悩みを聞いたり、困ったことがあったら助け合ったりするのになんら問題なく、それは「友達」という存在です。そういう人はたくさんいます。それが異性だったとしても、別にいいんじゃない? と思うので、ただ「仲良くなりたい」「相手を思いやったりしたい」だったら「友達」という関係性なのがベストな選択じゃないか? と現実的に考えていくと、ごくごく普通の結論になってしまうのでした……。

今のところ「婚外恋愛OK」というのは、我が家では「この人しかいない! だから自分にとって完璧な相手でいてほしい」という過大な期待をパートナーに持たないための考え方、という機能なのだと思います。

尚、私が再婚してから超トキめいて、目がハートになったのはスター・ウォーズシリーズの「カイロ・レン」さんです……。カイロ・レンがいかに私の好みの男性であるかを、延々とパートナーに聞いてもらい、あきれた顔をされています。

新刊『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』

(幻冬舎/税込み1,080円)
全編書き下ろしエッセイマンガ!
バツイチ同士の事実婚夫婦にめでたく子ども誕生! ここから「家事と育児をどうフェアにシェアしていくか」を描いたコミックエッセイです。家事分担の具体的な方法から、揉めごとあるある、男の高下駄問題、育児はどうしても母親に負担がいってしまうのか、夫のキレにどう対処する? などなど、夫婦関係をぶつかりつつもアップデートしてきた様子を赤裸々に描きます。くわしくはコチラ

著者プロフィール:水谷さるころ

女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。