「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第63回のテーマは「お父さんの差別待遇」です。

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我が家には色々な問題やタスクがありますが、日々夫婦で話し合い、工夫してよりよい生活を目指しています!

しかし……どんなに頑張ってもなかなか改善しない大問題があります。それが、息子からの「お父さん差別」……! これが本当に日々、一進一退。「差別が改善した……! 本当はお父さんも大好きなんだ」と思って、夫婦で喜んでも……気が付くとお父さんは冷遇されています。

ううう。息子よ~、うちのお父さんは息子大好きで家にいる時間も長いし、ご飯は全部作ってくれるし、遠足のお弁当も息子のリクエスト通りに作ってくれるお父さんじゃないか~。息子の行きたいところに連れて行ってくれるし、お母さんがいない日にお任せしても安心の、いいお父さんだと思うんですよ?

なのですが、息子はお母さん大好きなんです……。お母さんは、息子にそこまで愛されるとちょっと困ります。お父さんに任せて出かけるハードルは高いし、息子が体調を崩せばお母さんだけ、仕事の予定が崩れます……。

こういう話をすると「男の子はお母さんが好きだから」と言われることが多いです。女児と男児でお母さん、お父さんへの愛は違うものなのか? という話になります。

以前200人くらいにTwitterでアンケートをとったら「お母さんじゃないとダメな子」は男児と女児で半々くらいでした。だから、やっぱり子どもによるんじゃないかな? と思っています。

私は母親が専業主婦だったので、世話は全部母親でした。なので「お母さんが家にいないのは大事件!」と不安を感じる子ども時代でした。かつて女児だった友達に聞いても、やはり「お母さんが家にいないのは大事件」だったと言っていました。そう考えるとあまり「男女」の差ではないような気はします。

それにしても、自分はここまでお母さん大好きだったかなあ……。5歳より前の記憶がないだけかもしれないのですが、息子のお母さん好きっぷりを見ては「なぜ……」と思ってしまいます。

「お母さんのお父さんへの態度で、子どもが親をリスペクトするか決まる」みたいな話も聞いたので、常にお父さんを褒めて、お父さんを立てて、お父さんに気を遣い、「お母さんはお父さん大好き! だから2人とも仲良くして!」というアプローチをしてみたんですが、全然ダメでした。というか、むしろ逆効果……。

お母さんとお父さんが仲良しなのが、息子にとって「面白くない」のでは? という疑惑が。

「そういうのをエディプス・コンプレックスっていうんじゃない?」と言われ、エディプス・コンプレックスについてちょっと調べてみたのですが、「男子が母親に性愛感情を抱き、父親に嫉妬する無意識の葛藤感情」と書いてありました。「男児は3~6歳くらいにかけて母親を手に入れようと、父親に敵対心を抱く」みたいなことらしいです……。

それを最初に提唱したのは有名な精神科医フロイト。しかし、よくよく調べてみると、フロイトが活躍していたのは100年くらい前ですし、今ではフロイトの説には批判や反証もあり、鵜呑みにするのは危険だな……という感じでした。

とはいえ、そういうことを言われて、ある程度受け入れられてきたということは、男児がお母さんを好きすぎてお父さんを冷遇するのは、わりとよくある話なんですよね……。つまり、これは「男児あるある」……くらいに考えておくのがいいかな? と。たまたまうちはそういう感じの子なのだ……と、我が家では、それくらいの理解にしておくことにしました。

そもそも我がパートナーは離婚歴があり、我が子には兄と姉がいます。お兄ちゃんの幼少期には、こんなことは全然なかったそうなのです。お父さんの体験としてn=2なのですが、お父さん的には「お兄ちゃんのときは、ここまでお母さんじゃないとダメとか、あからさまな差別とかはなかった!」と言うので、これは我が子ならではの性質もあるのだろうなあと思っています。そもそも、息子は男性より女性のほうが好き……というのもありますし……(連載39回「息子の女性好きの遺伝子は……」)。

それにしても、子からの愛情の偏りは大変です……。愛されるほうも、冷遇されるほうも、どっちもつらいのです。私はお父さんが心折れて「もう世話しない」とか言われると非常に困ります。とはいえ、あまりにも冷遇されていると、お父さんのモチベーションも落ちます。一時期、私がお父さんに気を遣いすぎて、おかしくなりそうでした……。

「エディプス・コンプレックス」には「3~6歳くらい」と書いてあったので、6歳過ぎたら、もうちょっとなんとか改善するかも!? と希望を抱いています。2歳くらいから「お母さん大好き」になっちゃっている我が子ですが……。愛情を注いでいたら、きっといつか……すぱっと羽ばたいてくれるんじゃないかなと思って、夫婦で励まし合っています。

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バツイチ同士の事実婚夫婦にめでたく子ども誕生! ここから「家事と育児をどうフェアにシェアしていくか」を描いたコミックエッセイです。家事分担の具体的な方法から、揉めごとあるある、男の高下駄問題、育児はどうしても母親に負担がいってしまうのか、夫のキレにどう対処する? などなど、夫婦関係をぶつかりつつもアップデートしてきた様子を赤裸々に描きます。くわしくはコチラ

著者プロフィール:水谷さるころ

女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。