「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第49回のテーマは「『かわいく』お願いしないと伝わらない」です。

これまでのお話はこちら

コミュニケーションって難しいですね~。

自分が思ったように、相手が受け取るとは限らない。これはどういう関係でも起こりうることだと思います。そして、我が家でもよく起こります。

以前、LINEなどテキストベースだと受け取り方が違うので行き違いになる話を書きましたが、面と向かって話していても、こちらが思ってたように相手が受け取らないことがあります。

我が家ではたくさん話し合いをして、私は「当事者意識が強く自責型」タイプで物事を背負い込みやすく、パートナーは「被害者意識が強く他罰的」タイプだということがわかっています。なので、我がパートナーは悲観的だったりネガティブに物事を受け取ったりしやすい傾向があります。

パートナーはこちらが「お願い」していても、なぜかそれを「言うコトを聞かなければならない」と思い込んで、「命令されてる」と被害者意識をためやすい傾向があり、以前はそれによって突然キレたり怒り出したりすることがありました。それは人間関係を壊すのでやめてほしいと頼み、克服したという経験があります。

というわけで、キレたりすることはなくなったのですが、もともとの「被害者意識が強い」とか「拒否権がない」と思い込む思考の癖は、なかなか抜けないようです。

なので、うちの場合は何かお願いするときは、こちらが「怒ってない」「強制していない」「お願いしている」ということを、ものすごくわかりやすくアピールするほうがいいんですね。

でもまあ、こちらもついつい気軽に「これで伝わるでしょ」と自分基準でコミュニケーションしてしまうことがあるので、このマンガのように「あれ!? なんで!?」みたいにすれ違うことがあります。

我が家の場合は「失敗した」「うまく伝わらなかった」というときは「失敗したので、もう一回やってみよう」とその場でやり直しをします。やり直し作戦は意外と「ああ、こういうふうにすればよかったね」とお互いの気持ちの落としどころを見つけやすいのでオススメです。

我が家では「怒ってコミュニケーションしない」というルールがあります。「冷静に言いたいことを伝える努力をしましょう」ということになっています。

ですが、このときみたいに相手に何かを頼みたい場合、それは「お願い」なのか「命令(強制)」なのかがちゃんとわかるように伝えるためには、ちょっとオーバーに感情表現したほうが「伝わりやすい」というケースもあるなあと思っています。

でも気をつけないといけないことがあります。もともと自分の要求を伝えるという行為は「感情」が乗りやすいんですよね。

丁寧なお願いである「○○して下さい。お願いします」はそこまで感情的ではないですが、なぜか「どうして○○してくれないの!!」と怒り出すようなコミュニケーションになりがちです。

4歳の息子が、気を抜くとすぐこういうコミュニケーションをするのを見て「こういうお願いって、甘えなの?」と思うようなりました。息子には「怒ったら怒り返されるだけで、あなたがしてほしいコトもしてもらえないよ」と常々言っていて、「何何して」とお願いするように、言い直させています(そう言われない限り、要望をかなえない)。

でもそれも、ぶっきらぼうに「○○して」というのでは相手に敬意が感じられないし、「どういう言葉で言うか」以外にも「どういう態度で言うか」は重要だなと思います。

乱暴に「○○して!」だとお願いには聞こえないんですよね。結局、相手の受け取り方次第で「命令された、強要された」と思われてしまうと、円滑なコミュニケーションにならないわけで、ちょっとオーバーくらいに「お願い」だとわかるようにコミュニケーションしたほうがいいのかもなと思いました。

最近息子に「ちゃんとかわいくお願いして」と言うと、「恥ずかしいからいやだ」と言うようになってきました。なんということでしょう……。4歳児も「かわいくお願い」することに羞恥心を感じるなんて……!

大人でも難しいことですが、幼児でも「恥ずかしいからイヤ」と言うので、円滑に要求をすることの難しさを感じました。

「なんで○○してくれないの!」と怒りながら要求を口にすれば、なんでも言うことを聞いてもらえるのが実は人類の願いなのでしょうか……。相手を思いやって、円滑なコミュニケーションを目指すなら「わかりやすく、お願い」することは恥ずかしいことでもなんでもないハズなんですけどね。

とはいえ、私自身もなかなかナチュラルにわかりやすく「かわいく」お願いするとができるタイプでないので、日々忘れずにわかりやすく丁寧に「お願い」することを忘れないように気をつけたいです。

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著者プロフィール:水谷さるころ

女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。