日々のニュースで原材料不足や物価高の話題に触れるたび、「もし本当に深刻なモノ不足が起きたら、店や家庭はどうなってしまうのだろう」と不安を覚える方もいるのではないでしょうか。そんな生活現場の混乱を考える上で、ひとつの指標となるのが、かつて日本を揺るがしたオイルショックです。
今回は、マイナビニュース会員312名を対象に実施した「オイルショックに関するアンケート」の中から、当時の「店の様子や街の空気」、そして「家庭内の混乱」について、人々のリアルな声とともにご紹介します。
店頭の空の棚と大行列。購入制限で子どもも買い物に駆り出された店の様子
オイルショック当時の世の中や店の様子について、印象に残っていることを尋ねたところ、最も多かったのは「商品棚が空になっていた」(56.3%)でした。次いで「店の前に長い行列ができていた」(51.1%)、「購入個数に制限があった」(34.2%)と続いており、普段通りの買い物が難しくなっていた実態が浮かび上がります。
いつもの風景が一変した売り場や、店頭での切実なパニック状態を物語るエピソードがこちら。
「当時、自分は3〜4歳の時だったが母親に連れられて毎日のようにトイレットペーパーを買い求めに行った記憶がある」(50代/男性)
「トイレットペーパーが無くなったので、近所のスーパーにいつものように買いに行ったら、開店前なのに長蛇の列が出来ていて思わず目を疑ってビックリしてしまった。それでもめげずに、2時間掛けてやっとこさ手に入れた大変苦い思い出がある」(70代/男性)
「お一人様〇〇個までのチラシで当時小学生の私も買物に行って並んだ」(60代/女性)
「ガソリンを入れるための行列が数百メートルの長さになっていた」(40代/男性)
「買い占めの為に寝ずに店頭で待ったことがある」(50代/女性)
このように、商品棚が空になるだけでなく、購入制限によって家族総出で店頭に並ばざるを得なかった当時の過酷な状況が、多くの人の記憶に強く刻まれているようです。
チリ紙の節約や新聞紙での代用。物を大切にする意識が高まった家庭内
続いて、当時の買い占めや品薄について、家庭内で印象に残っていることを尋ねたところ、最も多かったのは「必要なものが買えず困ったことがあった」(26.8%)でした。一方で、生活の送り方に関する変化も多く挙げられており、「家族が節約や節制を意識していた」(26.3%)、「親や家族が生活用品を大量に買っていた」(24.2%)、「『物を大切にしなさい』と言われるようになった」(22.1%)となっています。
物資が届かない不安の中で、当時の各家庭が懸命に工夫を凝らし、生活を守ろうとしていた様子が浮き彫りになりました。
「店の棚からチリ紙がなくなった記憶がある。親にももう売ってないから枚数を少なくして折って使うように言われた」(60代/男性)
「都市部のペーパーがなくなり新聞紙で代用した」(60代/男性)
「トイレットペーパーがなくて、親戚から譲ってもらった覚えがある」(70代/男性)
「トイレットペーパーがなかったが、大学にトイレットペーパーがあったので、出来るだけ大学内で用を足した」(70代/男性)
「元々無駄使いしていなかったが、親に節約するように言われた」(60代/女性)
物理的にモノが手に入らないという不自由さのなかで、少しでも無駄を減らし、あるものを分け合うという生活の知恵や意識の変化が、それぞれの家庭で育まれていたことが分かります。
「都会の騒ぎ」と冷静だった声がある一方、家中に大量のストックを抱えた家庭も
当時の状況を振り返ると、住んでいた地域や家庭の環境によって、事態の受け止め方には大きな温度差があったようです。
都会での激しい報道や騒動をどこか遠い出来事のように静観し、日常生活を淡々と送っていた層からは、当時の冷静な様子が寄せられています。
「テレビや新聞がやけに騒いでいたが、地方都市に住んでいた者にとっては都会のバカ騒ぎにしか見えなかった」(60代/男性)
「テレビでの放送がすごかったが田舎に住んでいたので影響はなかった」(60代/女性)
「テレビのニュースで毎日、報道していたが、家には実害はなかったような」(70代/男性)
「当時、親が薬品店を経営していて(私は大学生、下宿先付近では購入困難だった)実際は在庫不足は起きていないので心配はないといわれたのを覚えている。何の不安もなく生活できていた」(70代/男性)
その一方で、目の前で売り切れていく恐怖や情報に動かされ、結果として生活スペースが圧迫されるほどの過剰な買いだめに至った家庭の記憶も残っているようです。
「家の階段にトイレットペーパーが積み上げられて、階段幅が半分になっていた」(40代/男性)
「トイレットペーパー、ティッシュペーパーで押し入れがいっぱいになっていた」(60代/男性)
「毎日スーパーに家族と並んで トイレットペーパーやティシュを買っていた。家にたくさん在庫があった」(60代/男性)
「結局最後には使えずに捨てるものがあった」(40代/男性)
物理的な距離や情報のソースによって、人々の心理的なパニック度合いが全く異なっていたことが、それぞれの住環境の違いから明らかになりました。
過熱する報道に惑わされず、冷静な情報選択と日頃の備蓄を心がける大切さ
今回のアンケート結果を振り返ると、かつてのオイルショックがもたらした影響は、一時的な「モノ不足」にとどまらず、人々の行動や暮らしのあり方にまで深く及んでいたことが分かります。
情報の限られた時代ゆえに、目の前の店から商品が消えていく光景や過熱する報道が、さらなる不安を呼び、買いだめに走らせてしまう側面もありました。しかしその反面、冷静に状況を見つめていた地域や、手元にある資源を工夫して分け合い、少しの節約を心がけながら日常を守ろうとした家庭の姿もまた、数多く記録されています。
深刻な事態に直面したとき、生活の現場でどのような変化が起きるのか。当時の店や家庭で起きていたリアルな混乱と個々の対応は、現代に生きる私たちにとっても、生活基盤の備えや情報との向き合い方を考える上での大切な教訓を示しているといえそうです。
オイルショックに関するアンケート
調査時期:2026年5月13日
調査対象:マイナビニュース会員
調査数:312名
調査方法: インターネットログイン式アンケート


