「家事も育児も家計も全部ワリカン!」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第47回のテーマは「ちゃんとしすぎなくていいってことにしよう」です。

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炊事の話題になるとたびたび言ってますが、「妻が料理しない」というと、全然何もしないと思われたりすることがあります。

別に言い訳するわけではなく、料理しないのは「やらない」のであって「できない」とか苦手意識があるわけではないです。やる気がないだけで……。炊事以外のことも、基本的には困らない程度にはできます。もちろん、ものすごくできるほうではないけど、家事に関しては苦手だなあと思ったことはないです。

普段、料理以外はやってるんですが、世の中の「妻・母」は、まだまだ料理をして、なおかつ他のこともしている人ばかりなんですよね。その場合は「やりたい」からやってるとは限らないですよね。

去年は息子のためにハロウィンの衣装を帽子からズボンまで全身一式作りましたが、それは私が「やりたい」からやったわけです。「やりたいからやってる」と思いながら家事ができているのは、幸運なのだろうなあと思っています。

私は「料理」は「やりたくないからやらない」という理由でやめて、パートナーに全面的にお任せしたわけですが、これって結構、不思議なバランスだなあと思うことがあります。

私は炊事にだけ極端に「テキトー」なんですよね。かたや、パートナーは炊事にだけは細かいこだわりが出てくる。

家事って「ここまでやらないと」と思っている理由に、「私がそうすると快適だから」という自分の基準と、「ここまでやらないと、常識から外れているから」という「世間の基準」みたいな自分以外の基準があると思うのですが、やっているうちに自分の求めている基準が「自分の快適さ」なのか、「世間からの評価」なのか、わからなくなってくることがあるような気がするのです。

私は炊事を「やりたくないからやらない」と言うことにして以来、その基準にものすごく敏感になりました。「やらなきゃいけない」と思ってるのか「やりたい」からやっているのかということを、常に自分で意識しています。

だから、掃除も洗濯も「こんな状態だと誰かに何か言われるかもしれない、やらなきゃ」という気持ちじゃなくて、「私が気になるからやりたい」という気持ちでいつもやることを心がけています。その場合「ここも実は気になってるけど、時間がないし、やり始めるとキリがないから、まあいいか」ということも、自分の中で納得させるようにしています。

自分の意識についてちゃんと納得させておかないと、「本当はやりたい」とか「やらなきゃって思ってるのに!」とイライラして、ストレスになってしまうからです。

「快適に暮らしたい」という気持ちを優先させる場合、「キレイな部屋に暮らしたい」という気持ちと「でも完璧を求めすぎると疲れるよね」という気持ちを「自分の基準」で必ず決めるようにしています。

自分がそれをいつも気にしているので、パートナーが炊事について「ちゃんとしなきゃ」となりすぎている時は「適当でも大丈夫だよ」と言うことにしてます。

私は初婚で毎日ちゃんと炊事をして「栄養バランスを考えた食事」「一汁三菜」みたいなことをやっていました。それなりに楽しかったと思うのですが、別に自分が毎日「一汁三菜」の食事が食べたいわけじゃなかった。「やらなきゃいけないこと」だと思ってやるのと「これがしたい!」と思ってやるのは全然違うのだということを、離婚してまったく食事が作れなくなってしまってから気付いたのです。

パートナーは私より食事に対しての意識が高かったから炊事係になったわけですが、子どもができてからは、より「家族の健康」についての責任を感じてしまい、よりマジメに取り組んでいると思います。どんなに「毎日正しくなくてもいい」と思っていても、無意識にすり込まれた「正しさ」にプレッシャーを感じてしまうのだと思うのです。

いや、もちろん本当に偏りすぎた食生活は、健康や発育によくない影響があるのですが、日々マジメにやっているのに、たまに「疲れた」とか「やる気でない」とかの日でも「やらなきゃ」となるのはつらいと思うのです。

だから、私は自分を「適当でいいよ」と言う係なんじゃないかなと思ってます。責任を感じてるのに「適当なものでいいよ」と言われたら腹が立つのもわかります。でも、たまには「ゆるくてもいいよ〜」と言う人がいるのも大事だと思うんですよね。

あ、もちろん「パートナーが疲れているなら、やってあげたらいいのでは?」という気持ちもあります。なので、私が提案するのは「私がやること(できること)も含めて」の提案です。そして、それはカップ麺……。我が家では「こだわりがあるなら、その人がやる」ルールなので、逆もしかりなのです。でも、疲れてる日にみんなで適当に食べるカップ麺の夕食も楽しいし。それは「ダメなことじゃない」ということを、今は夫婦で共有できていてよかったなあと思っています。

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著者プロフィール:水谷さるころ

女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。