「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第203回のテーマは「失言の穴埋めはどうする? 」です。

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うっかり失言しちゃうことありますか?

私はあまりありません。失言って、思ったときにちゃんと言わないから、あとからうっかり言っちゃうんじゃないかなあ? と思っています。そう、私は「思ったとき」にそのままその気持ちを言ってしまうタイプです。

それは大体「うっかり」じゃなくて「はっきり」なので、失言というよりは「ストレートな物言い」(またはきつい)という感じです……。それはそれで反省すべきところもありますが、パートナーは言葉を飲み込むタイプなんですよね。

すると「うっかり」言うべきじゃないときに、言わなくてもいいことを言ってしまう。というわけで、先日私に対して「さるころっていつも掃除が雑だよね」と、言わなくてもいいことを言ってしまいました。

我が家は自動掃除機を導入していません。理由はモノが多いことと、私が掃除機をかけるのはそんなに嫌いじゃないからです。在宅で仕事をしている私にとって、「就業の儀式」みたいなところがあります。日常生活を送る「自宅」から出勤代わりに朝、「仕事場」にするために「掃除」をするのです。

そんな理由で毎朝掃除機をかけていますが、一つ問題があります。愛用しているコードレス掃除機は20分しかバッテリーが持たないことです。ちなみに、私は用途にわけてコードレス掃除機を2つ持っています。週末や来客前など、気合いを入れて掃除するときは両方のコードレス掃除機を使えば、バッテリーが切れるという問題はありません。ちなみに、コードのある掃除機も持っているので、3台掃除機があります。

さて、そんな私の掃除が「雑」というのはどういうことでしょうか。私は日々のルーティンの掃除は「20分以内」と決めているので、ささっと済ませるのが原因だと思います。細かいところはまた後日まとめて、としないと、就業時間が減ってしまうんですよね。コロナ禍で在宅時間が増えた方もいらっしゃると思うのですが、在宅ワークをしていると、通勤する時間がない分家事する時間は増やせます。

でも家事ってレベルを高く設定すると、いくらでも無限にできちゃうんです。窓ガラスを拭く頻度、寝具を変えて布団を干す頻度、生活空間のクオリティを上げたいと思えば、やることはいくらでも出てきてしまいます。私は長年の在宅仕事の経験から、仕事と家事のバランスを考えれば、毎日20分以上掃除機をかける時間に使うのはもったいないし、それくらいの家事レベルに設定しておくのがちょうどいいと考えています。

という話を、パートナーも理解しているのですが……。なのに「さるころっていつも掃除が雑だよね」と失言。

問いただすと「毎日ルーティンでやっているのはわかってるし、それ以上やってたら逆に早く仕事しなくていいのかなって思う」と言われました。我が家では「ダメ出しではなくてお願い」をするルールです。そしてこだわりがあって「もっとこうしたい」のであれば、そのこだわりをもつ本人が直接やるというのルール。

「もっと丁寧に掃除機を毎日かけてほしい」なら、自分で掃除機をかければいい。というのが我が家の方針です。しかし「自分でやりたいとは思っていない」という……。

失言として、謝罪してもらったのですが、問題はその一言です。私の頭の中にずっと「雑だって思われてるんだ……」と残ってしまいます。家事って自分で設定した以外のレベルでやると、辛くなっちゃうんですよね。

私の中には「脳内小姑」がいます。その脳内小姑が、「あら、さるころさん、部屋の隅にホコリが溜まっているわよ」とか「棚の上のホコリは落とさなくてもいいの?」と脳内でダメ出しをしてきます。自分の基準ではなくて、「世間」とか「常識」「普通は」という自分の外にある基準に合わせようとする価値観です。これと日々戦って、「私は私の基準で家事をして、生活していくんだ! 」と割り切るようにしています。

ですが「ダメ出し」みたいなことを言われると、それが私の頭の中に「雑だって……」と残り続け、私の掃除のストレスになってしまいます。私が「雑じゃないようにしよう」と毎日1時間以上掃除機をかけはじめたら、パートナーも「そんなことは望んでない! 」となり、私も「おまえが雑だって言ったんだろ! 」と言い返す、無益な争いが起こりそうだな~と思いました。

なので、そうならないようにするにはどうするか? と考えた結果「パートナーに【丁寧に】掃除機をかけてもらう」ことにしました。パートナーが私もびっくりするほどにきれいに掃除機をかけたら、「これでしばらくは丁寧に掃除機をかけなくても大丈夫」と思えるし、私が掃除機をかけるのと同じくらいの感じだったら、「実際にやってみて、こんな感じか」と本人も理解できるし、私も「なーんだ、やっぱりこれくらいでいいんじゃん」と安心できる。

というわけで、私が出かける用事があるときにやっておいてもらいました。結果としては私はパートナーの「雑」という言葉を気にすることなく、その後も掃除機をかけることができるようになりました。

失言は「火種」なので、ほっておくと後から大爆発&大炎上することにもなりかねません。早めの鎮火を心がけています。これからも少しでも「なんかやだな」と思ったら早めに「モヤモヤ」を解消するようにしたいです。

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著者プロフィール:水谷さるころ

女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。