「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第202回のテーマは「そろそろ自分でお買い物したいお年頃」です。

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みなさん、子どもにはいくつから「お小遣い」をあげていますか? 我が家はまだあげていません。というのも、一人行動をしていないからです。

小学2年生にもなると、習い事や塾などに一人で電車やバスに乗って行く子もいます。そういう子は「何かあった時」に自分で使えるお金が必要なので、お金をもたされることが多いようです。

我が家は今のところ、徒歩圏内で一人行動することはありますが乗り物に乗ってどこかへ一人で行くことはやっていません。なので、子どもが一人でお金を使う機会もないので、お小遣いをあげていません。

それでも、自分で好きに「欲しい物を買いたい」と思うお年頃です。息子はそれほど物欲があるタイプではありませんでした。なので「あれ買って~」とダダをこねることもあまりなかったので、たまに「欲しい」と言うものがあれば「たまにだからいいか」と、気軽に買える値段のものは与えていました。なので、少し値段の張るようなリクエストはお誕生日とクリスマスで済んでいました。

ですが、最近「お友達のおうちでやったゲーム」とか「YouTubeで見たレゴ」とか、徐々に情報も増え、物欲が増えてきています。するとさすがに年に2回のリクエストでは足りません。そして、たまにならいいけど気軽に買い与えるような値段でもないな~というアイテムも出てきました。

そしてやってきたのが「もらったお年玉でお買い物がしたい」という息子からの要望でした。

さて、その前にお年玉の管理についてですが……。世の中には「親がお年玉を持っていってしまい、自由に使えなかった」「親が管理するといって持っていったお年玉は結局用途不明で消えた」みたいなご家庭もあるようです。

しかし私もパートナーも「親が子ども名義の通帳に管理してくれていて、欲しい物があるときに出してくれた」「ある程度成長してから、通帳を渡してくれた」というパターンの家庭で育ちました。

そして私はかなり「お金を貯めることに執着のある」子どもでした。なので、もらったお金をパアっと使う、みたいな体験はほぼありません。私は4人きょうだいですが、私と長姉が「貯める派」で、弟と次姉が「使っちゃう派」でした。

なのでこれは親の教育方針の影響はありつつも、個人の資質によるところがあるな~と思っています。私の親は、ある程度「自分で判断して使っていい」という方針だったんですよね。なので、欲しい物を買うタイプは貯金が少なくて、私みたいに貯めてから使うタイプは結構貯まりました。

私の口座は18歳まで親に通帳を管理してもらっていましたが、それより前にアルバイト用に自分で口座を作っていました。20歳で一人暮らしを始めるときにその2つの通帳を合わせると、それなりに先々の生活に安心感を与えてくれるくらいの金額になはなっていました。なので、私にとっては貯金は成功体験なんですよね。子どもにもなんでもかんでもパーッと使うよりは、好きなものをちょこちょこ買いつつ、できたら貯金もしてほしいなあと思っています。

とはいえ「子どものうちは1円たりとも自由に使えない」というのも、お金を使う経験値になりません。なので、2年生にもなったしそろそろ「自分がもらったお金から使ってもいいよ」ということになりました。ちなみに、今回買ったものは親が買ったクリスマスプレゼントよりも半分以下の値段のものです。いきなり高額なものを「買っていいよ」という勇気が親になかったので……。

しかし! 問題はその後です。昭和の頃なら現金を渡して「これで買ってね」で済んだと思うのですが……。令和の今、子どもが欲しいものがお店で売っているとは限らないのです。まず「欲しい物」の選択肢が多いですよね。そしてそれがお店にないことのほうが多い。あと、生活圏内におもちゃ屋さんがなかなかありません。昔はデパートのおもちゃ屋さんへ行けば欲しい物はそこにあったという印象なのですが、そもそもデパートのおもちゃ屋さんというものが減っています。大型ショッピングモールへ行けば選択肢があると思うのですが、近くにショッピングモールがないのです……。

そんなわけで、結局通信販売で買うことになりました。つまり、息子は「親からもらう」のと実質変わらない……。それでも「自分のお金で買ったんだよ」と言って渡すと、満足そうでした。

我が家はキャッシュレスで買い物することが多く、子どもにとってはすでにお買い物は、物理的に貨幣と交換することではなく、概念として「数字を移動させる」という感覚なのかもしれません。お小遣いを交通系ICカードであげているというおうちもあります。お金が見えないのに、お金を扱うというのは結構難しいなと思っています。

我が家の「お金の教育」は始まったばかりですが、時代の変化についていきつつ、子どもの金銭感覚を養っていかないといけないな~と思っています。

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著者プロフィール:水谷さるころ

女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。