「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第182回のテーマは「旅行で図れる? 『夫婦スキル』の向上」です。

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あけましておめでとうございます。この連載もなんと4回目の年明けです! 今年もどうぞよろしくお願いします。

このコラムでもたまにパートナーのネガティブなところをネタにしているのですが(基本的に夫の了承を得ています)、ネガティブな話をすると「どうしてパートナーさんと一緒にいるんですか」と言われることがあります。

それを聞かれると「なんだかすみません……」と思ってしまうのですが、答えとしては「いいところと悪いところがあるからです」になります。パートナーは家事は積極的に分担するし、基本的に共同生活者として頼りになります。価値観が違うところもありますが、話し合いをしてすり合わせをすることができます。とにかく「私の話をちゃんと聞いてくれる」というところが、私がパートナーを一番信頼しているところです。

つまり、ネガティブな悪癖があったとしても、相手が話を聞いてくれている限りはお互いが納得できるポイントを探して折り合いをつけることができる、ということです。……とはいえ、離婚寸前の大喧嘩もしてきましたが。それでもなんとか危機を乗り越えて今に至ります。

最初からパーフェクトで、誰からも羨まれるような男性と結婚しているわけではないですが、それを言うなら私もそうです。私は気が強く、口も達者なため、口下手な人とは非常にバランスがよくない関係になりがちです。「口が達者」というのは関係性において重要な要素で、この力のバランスが悪いと「いつもどちらかが言い負かされてしまう」ということになりがちで、モラハラに繋がりかねません。パートナーとはここの力関係がお互い拮抗しているところがいいなと思っています。

それと、お互いの「苦手」と「得意」のバランスのよさもあります。旅行へ行くと「我々はいいバランスだな」と感じられることが多いです。私も計画を立てるのが苦手ではないほうですが、パートナーのほうがより得意です。移動の計画を立ててチケットの手配などを準備するのはパートナーの役割。私はパッキング担当で、子どもや家族みんなの持ち物の管理が仕事です。

パートナーは温泉が大好きなのですが、私はのぼせやすいのであまり得意ではありません。パートナーは私の苦手な車の運転をしてくれて、宿についたら温泉にすぐ入りたい。私は温泉の優先度が低いので、パートナーを優先することができます。移動の間は相手に任せていたので、宿泊先に着いた後は私が頑張る……という感じです。

私は「常に快適でいたい」タイプで、旅行中はデジタルアイテムの充電や、着替えと洗濯物の管理に全力をかけています。そして帰宅後も、だいたいパートナーは移動で疲れているのですが、私はそこまで疲れていないことが多いので全部片付けます。パートナーが疲れて寝ているか、またはお酒を飲み始めてリラックスし始めたときに、洗濯機を回し旅行の洗濯物を片付けています。

似たもの同士の夫婦で、どちらも「お酒好き、温泉好き」だったりしたら揉めたもしれないなあとよく思います。実際にそれで旅行の後にケンカになる夫婦もいるようで……。前回のコラムで、「役割でタスクをしない」という話をしましたが、私は旅行後の片付けを「役割」としてというよりは、好きでやっています。片付けは得意ですが、嫌いで苦手な運転はしなくていい。我が家は夫婦の凸凹の相性がいいな……と旅行へ行くと感じます。

ただ、それも「役割でタスクをやらない」のが基本だから、お互いの「相性がいい」というところに落ち着いているような気もします。「男だから運転しろ」とか「女だから片付けしろ」と分担が決まっているわけではないのです。ちなみにパートナーも運転が好きなわけではありません。でも、私の運転に一度乗ったら「もう二度と乗らないでください」と言われ、運転のお鉢が回ってくることがないだけなのです……。

役割よりも、「自分がやったほうがいい」とか「自分のほうが得意だから」ということでタスクを分け合うというのがわが家の基本コンセプトですが、そっちのほうがストレスがないんですよね。

旅行の後の片付けを「妻(母)だから」「私以外誰もやる人がいないから」と、本当はやりたくないのにやっていたら、絶対にケンカになります。私たちは「我慢してケンカになったり、空気が悪くなるなら我慢はしないほうがいい」というスタンスなので、お互いに苦手なことはどっちもやらないようにしたり、もしくは両方でやったりしてフォローもしています。

今年で結婚生活10年になります。お互いが納得できる形でタスクを分け合うというのは、10年話し合いをしてこそ得られたものなんだろうなあ……と思います。以前は旅行に行くと何かしらのトラブルやケンカがあったのですが、ここ最近はお互いストレスがなく「家を出てから帰るまでずっと楽しい」旅行ができています。

旅行は普段の生活とは違う非日常なので、トラブルも起こりやすく「夫婦スキル」が試されるところがあると思うのですが、ここ最近はそのスキルの向上を感じます。

こんな感じで、今後も色々変わっていく人生のステージで夫婦スキルの向上を目指したいと思っています。

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著者プロフィール:水谷さるころ

女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。