「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第172回のテーマは「大人になっても友達は作れる」です。

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「大人になったら友達が作れない」ということを言う人がいますが、どうでしょう? 私は大人になってから新しい友だちを作っています。今仲良くしている友達は、付き合いの長い昔からの友達もいれば、最近仲良くなった人もいます。

先日、コロナ禍でなかなか新しい友達が作れないという若者に、「どうやって友達を作るのか」と聞かれて、そういえば私はネットで友達を作っちゃうなあ……という話をしました。友達の友達とSNSを介して知り合って、その友達よりも仲良くなったりすることもありますが、知り合いじゃなくても、こちらが見てて面白いな~と思うSNSのアカウントの人にリプライを送ったり、その人が私にリプライをくれたりとかしているうちになんとなく「知り合い」みたいになって、それで機会があったら会うというケースが多いです。

「ネットで知り合うのは危険」と子どもたちに警告するケースはよくあるのですが、私はネットで知り合うことが多いです。ネットでの交流が全て危険だとは思っていません。使い方によっては自分の世界を広げてくれるものだと思っています。

ちなみにパートナーの地元で「会いたい人」が増えるのは、私がよくパートナーの地元へ帰省したときの情報を発信しているからです。あそこがここか、とネットでやりとりしてるうちに、なぜかパートナーの地元で私の知り合いが増えていきます。

とはいえ、それは特殊なことではなく、例えば誰かのファンで、SNSで交流をして現場で会って友達になるというのは、「あるある」だと思います。ファン活動や、趣味の活動があると、昔から文通や友達の友達を介して……と友達や知り合いになっていました。それが、今はネットになったというだけで、わりと昔も今も変わらないような気がします。

昔は文通など閉じられた双方向コミュニティケーションだったのが、今はSNSを通せば「好きなもの」が「どう好きか」など、思ったことを書いているのが、より多くの人への「自己開示」になります。それを面白いと思った人が見てくれて、関係ができていくと自然と「友達」とか「知り合い」「仲間」みたいな人たちができていくので、昔よりは「仲間」を見つけやすくなったと思います。新しい友達を見つけられるというのは、インターネットのいいところだと思っています。

あと「大人になってから作る友達」といえば、ママ友です。私は出産後「私にママ友とかできるのかな……」と不安に思っていました。

私は学生時代は美術系の学校に通っていました。少なくとも「絵を描くのが好き」という人たちばかりが集まっているので、「好きなものが共通する人」と出会う確率が高い環境でした。そして、その後はイラストレーター・グラフィックデザイナーという仕事についたので、仕事を介して会う人も自分の興味のあるもの、わかるものを共有できる人たちと出会う確率が高かったのです。ネットでも「好きなもの」を介して人とつながるのは、私の経験としては馴染みのあるものでした。

しかしママ友というと、趣味や価値観が近いから会うわけではなく、たまたま「子どもを生んだタイミングが近かった」から知り合うことになります。高校から美術系だった私にとっては、「生まれた場所と年齢が近い」というコミュニティに参加するのは……なんと中学生以来でした。なので、結構不安だったのです。

「同じ産院で、同室だった人と仲良くなった」というママ友ができた人の話を聞いたりすると、自分は産院ではそういう感じにならなかったので「やっぱ私にはママ友とか無理かも……」と不安になったりました。

しかし、その後保育園生活を送ると、その心配は杞憂に終わりました。「同じ地域で、たまたま同じタイミングで子どもを生んだ人」の中にも、人付き合いが好きな人もいれば、そうでない人もいる。自分だけが特別に変でみんなが同じ価値観なわけもないんですよね。

そういうことがわかれば、気負って「仲良くしなきゃ」とか、逆に「付き合いたくない」と思う必要もないんだなと思えて安心できました。そして、気軽に誘ったり誘われたりして楽しく過ごせるようになりました。まあ、うちの息子が人間関係に淡白なタイプで、子どもが発端のトラブルがなかったという子どもの特性にも助けられて、気楽に過ごせたという可能性もあるのですが……。

あと私の場合は、趣味の仲間と同じ様にネットでもママ友ができたので、精神的に閉鎖的にならないで済んだと思います。生活している地域以外でも人間関係が作れると、より世界が広がって気楽になれます。

私はかれこれインターネット歴が25年くらいあって、どちらかというと古参のネットユーザーです。もちろん「あれ? 」と思うようなこともありました。ネットを介して「会いましょう」と言われた相手を私の友達の友達だと思って会ったら、実は「友達を一方的に知ってるだけの人」だったりして、友達から「警戒心なさすぎ」と怒られたこともあります。

なので、ある程度の警戒心は必要です。ちなみに「対人の警戒心」でいうと、夫婦ではパートナーのほうが圧倒的に高いです。パートナーはオンラインでもオフラインでも警戒心が強く、人見知りするタイプ。私は警戒心がかなり低いので、夫婦のバランスとしてはちょうどいいのかもしれません。

ちょうどいい警戒心と、「ま、なんとかなるかな」という気楽さで、新しい人間関係を広げたいなと思っています。息子がSNSを使うようになったら、危険を避けて良い体験ができるように話をしていきたいと思っています。

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著者プロフィール:水谷さるころ

女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。