「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第156回のテーマは「誰とも比べたくない」です。

これまでのお話はこちら

最近、息子の趣味に付き合って『ドラえもん』のほかにも藤子・F・不二雄先生の作品を読んでいます。

今はどうしても親目線で読んでしまうのですが、気になるのが「誰かと比べて説教する」スタイルです。もちろん、作品の中でも「子どもにとってやってほしくないこと」としてネガティブに扱われていますが、昭和のころは「お隣の〇〇ちゃんはもう●●ができてるのに、あなたはできないなんて」という比較説教がメジャーだったと思います。

最近は、それはさすがに良くないという流れになっていると思うのですが、我が家でもなるべくしないようにしています。「〇〇ちゃんよりできない」もダメですが、「〇〇ちゃんよりできるね」もダメです。

私は誰かと自分を比べるのが苦手です。そして、誰かに人と比べられるのも苦手です。その昔、若かりし頃私の友人の名前を出して「〇〇ちゃんより君のほうがいい」などと言う男性がいました。私はその友達のことが好きだったし、「なんでこの人に比べられないといけないの? こいつ何言ってんの……? 」と、ドン引きしたことがあります。最近になって、「比較で褒められると嬉しい人もいる」ということに気がついて、ああ! きっとあの人は誰かよりも「俺のほうが上」だと思うと嬉しいタイプの人だったのか、と思いました。

「女は妬みあって足を引っ張り合う」という前提の人で、「いや、そんなことないよ? 」と言っても信じない。そうか、「女は」じゃなくてその人本人がそうだったんだ。だから全然話が噛み合わなかったんだな。と、10年以上経ってからやっと気が付きました。

「誰かよりは自分のほうが上」という考え方って、つまり同時に「誰かよりは常に自分は下」ということと同じです。そんなふうに考えるのは、辛いなあと思ってしまいます。つい誰かと比べてしまうタイプの人でも、「別にそうしたくてやっているわけではない」という人もいると思います。やめたくてもやめられない……とか。逆に私は、「何かを気にし続けることができない」性質なのです。

私は気にしてることがあっても、精神力が持続せずどんどん疲れてしまい、最終的に「まあ……いいか」と、すべてのことがどうでもよくなってしまうタイプなのです。精神的には楽ですが、ひとつのことにこだわり続けるのが苦手なので、何かを極めることなどにまったく向いておらず、この性質に関しては良し悪しがあると思っています。

私は昔はスポーツ全般が苦手でした。なぜなら、「勝ち負け」「上手い下手」がはっきりとある世界だったからです。こだわり続けるのは苦手だし、誰かと比べられるのも苦手。めんどくさいなあ……と思っていました。

しかし25歳のときに空手を始めると、自分のためだけにやっているという実感があって楽しかったのです。大人になると、スタートの時点でみんな年齢や環境が違います。運動したことがない人もいれば、経験者もいる。そうすると、誰より上手いといったことはあまり関係なくなります。始めた頃の自分より、練習を重ねた自分のほうがうまくなっているのは当然で、周りと比較もされない。大人になってから自分のペースで、趣味として空手をするのは、すごく楽しいことでした。

一緒に練習している人の中には、60代になってから空手を始めた人も。どんどん上手くなるのを見ていると、いつから始めるかは関係ない。前の自分と今の自分を比べたら、練習した分だけちゃんと上手くなるんだ。ということを実感したのです。そして、「誰かと比べるよりも、前の自分と比較したほうが楽しいな」と思うようになりました。

そしてもう一つのきっかけは、「離婚」です。離婚して、自分が「本当に求めていたもの」を考え直しました。すると私は、「別に家にこだわりはないから買わなくてもいい」とか「子育てはしてみたい。だけど法律婚は別にしなくてもいい」とか、自分の「本当に必要だと思うもの」と向かい合うことができました。そうしたら、自分は着たい服を着て、住みたい場所に住む。そういうことがかなりシンプルになりました。

友達の話で、比較してマウントし合うコミュニティーの話を聞いたりします。「●●さん家は一戸建て」「▲▲さんちのマンションは新築(または中古)」「夫の会社がどこ」など。露骨に比較する人が1人でもいると、途端にギスギスして疲れる、という話でした。わあ……大変と思いつつ、ひょっとして自分の周りでもそういうコミュニケーションはあるけど、ひょっとしたら「こいつには何を言っても無駄だ」と思われて言われてないだけなのかも?

私はかつて「アンジェリーナ・ジョリーと同い年」と知った時に、「同じ人間で同じ年で同じ性だけど、あまりにも違うな」と思って以来、「誰かと自分を比べるのは無意味」だと思っています。しかしうちのパートナーは身近な人との比較はしないものの、突出した才能を見ると「妬ましい! 」と思うタイプだそうです。気になる部分とか、自分が人と比べちゃうことって、本当に人によってさまざまだなと思います。

息子には誰かとの比較で苦しんだりしてほしくないと思いつつ、同じ年の子が集まる学校だと、どうしてもそういうことはあるとは思います。親としては自分の「楽しい」を大事にして、誰かと比べず突き進んでくれたらいいし、そのためのサポートをしてあげたいと思っています。

新刊『骨髄ドナーやりました!』

(少年画報社刊/1,045円)
初代骨髄バンクアンバサダーの俳優・木下ほうかさんも「『ちょっと人の命を助けて来るから!』。こんなカッコいいことを言い放つお母さん。私はこんな最強マンガを待っていました」と絶賛する書籍が発売!! 日本骨髄バンク完全監修の爆笑必至の骨髄ドナー体験マンガです!
夫婦揃って献血が好きで、骨髄ドナーに登録しているさるころとノダD。2人は事実婚・共働きで息子を育てています。夫のノダDは今までに3回骨髄ドナーにマッチングをしていて、3回目で骨髄提供をしました。そんなある日、骨髄バンクから届いた書類をよく見ると、なんと今度は妻のさるころが骨髄ドナーにマッチングしたお知らせでした……! 非血縁ドナーのマッチング確率は数百~数万分の1とも言われており、骨髄ドナーは登録してもマッチングするとは限りません。そんな中、なんと夫婦で2年連続ドナーを体験。そんな激レアなn=2のリアルガチな体験談をあますことなくお届けします! 詳しくはコチラ

著書『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』

(幻冬舎/1,100円)
全編書き下ろしエッセイマンガ!
バツイチ同士の事実婚夫婦にめでたく子ども誕生! ここから「家事と育児をどうフェアにシェアしていくか」を描いたコミックエッセイです。家事分担の具体的な方法から、揉めごとあるある、男の高下駄問題、育児はどうしても母親に負担がいってしまうのか、夫のキレにどう対処する? などなど、夫婦関係をぶつかりつつもアップデートしてきた様子を赤裸々に描きます。くわしくはコチラ

著者プロフィール:水谷さるころ

女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。