FPが家計のさまざまなお悩みに答えていく本連載。今回は地方移住して子育てをスタートさせたものの、都会暮らしに比べて生活費が減らないことに焦っている専業主婦・りんごさん(40歳)のご相談に1級FP技能士の資格を持つ早乙女美幸さんが応じます。

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◆相談者さんのプロフィール

相談者

相談者 りんごさん(仮名)
女性/専業主婦/40歳
新潟県/賃貸住宅暮らし

家族構成

夫(会社員/40歳)、子ども(3歳、4歳)

◆お悩み

環境のいいところで子育てしたいというのが夫婦共通の夢だったので、昨年思い切って夫が転職し、家族で新潟県に移住しました。年収が70万円ほど減りましたが、これまでより生活費も下がる見込みだったので、自分たちの試算では貯金もできる予定でした。

環境はとても気に入ったのですが、最近は赤字の月が多く、このままで大丈夫か不安になってきました。下の子が小学校に入学したら、私もパートなどで働くつもりですが、家計の見直しなどどうすればいいでしょうか?

◆家計収支

収入

支出

現在の貯蓄額

すべて込みの月間平均収入が34.7万円、支出が34.8万円、現在の貯蓄額が540万円となっています。

◆FPからのアドバイス

アドバイス1: まずは、現状を確認しましょう!

賞与も児童手当も含めた平均収入が34.7万円/月、支出が34.8万円/月で、確かに余裕がない家計になっています。今後のことを考えてご不安になる気持ちもわかります。

加えて、自動車関連費を月に1.8万円と計上していますが、それ以上にかかっているのではと思います。2台分のガソリン代、メンテ関係、保険、自動車税を合わせて月額にならすと3~4万円になるのではないでしょうか? さらに今後の車検代も2台分、購入費も計画しておく必要があります。

現状の支出ももれている部分があると思われますし、お子さんが大きくなるにつれて、今後の支出も教育費中心に増えていきますね。

アドバイス2: 地方の生活のメリット・デメリット

地方移住が注目されてきて、充実した子育て支援や住宅の補助が受けられる自治体もあるようです。りんごさんご夫婦もそんなところを期待されたそうですが、数万円の補助が見込める空き家は気に入るところがなく、普通のアパートに入居したそう。結果的に駐車場代込で家賃が9.5万円と、住居費の節約にはつながりませんでしたね。

子育てに関しては、支援や環境の良さは満足しているそうですが、デメリットとしては自宅から通える大学などの進学先が少ないことがあげられます。将来下宿費用がかかるとすれば、大幅に教育費はアップします。

そのほか、必需品である自動車の関連費用や帰省費用なども考えると、地方の生活費は安いと安易に考えるのではなく、しっかりリサーチが必要ですね。

アドバイス3: 再就職の前倒しと住み替えで家計改善を

地方の町村部は保育園に入りやすい地域が多いので、りんごさんの再就職を早めてはどうでしょうか?

就職先探しと並行して、お子さんの保育園、学校、学童保育などを調べて、働きながら子育てしやすい区域に引っ越しましょう。いい就職先と、より家賃が安い住まいが見つけられたら、家計はすぐに改善すると思われます。

地元の方や先輩移住者に話を聞くなどして探してみましょう。

住居費以外、支出はしっかり抑えていらっしゃいます。一点、通信費だけは契約を変えることでもう少し下げられそうですね。保険もちょうどいい機会なので、中身を見直ししましょう。

教育費の準備としては、児童手当の受給額(3歳からおよそ150万円)は最低でも貯めるようにしたいですね。下宿費用を考えるのであれば、2倍以上の金額を高2までに準備しましょう。また、それまでまだ10年以上ありますので、つみたてNISAなどを利用して、一部投資の力を借りて準備するのもいいでしょう。

安心してこれからの生活を楽しむために、ご夫婦で協力して行動してみてくださいね!

相談者さんの感想

少し家賃を下げることとパートの仕事でも、かなり家計に効果があることがわかり、うれしい驚きでした。働きやすいところをしっかり探していきたいと思います。ありがとうございました!