「東京は物価が高いので、生活費が高い」または、「地方は物価が安いので、生活費が東京に比べてあまりかからない」と世間でよく言われていることは、本当なのでしょうか。

連載コラム「地方の生活コストは本当に安いのか?」では、ファイナンシャル・プランナーの高鷲佐織が、実際に東京から地方へ移り住んで感じたことを交えながらお伝えいたします。

健康保険とは

「健康保険」という言葉は日常的によく使うと思いますが、「そもそも健康保険ってなに?」と聞かれた場合、すぐに回答できる方は少ないのではないでしょうか?

まず、「健康保険」と言われるものは、大きく分けると2つあります。

会社員の人などが加入する「健康保険」と、自営業の人などが加入する「国民健康保険(国保)」があります。今回のコラムでは、主に会社員の人が加入する「健康保険」についてお伝えします。

会社員の人が加入する「健康保険」の中でも2種類あります。一般企業で働く人が加入している「全国健康保険協会(愛称:協会けんぽ)」と、大企業で働く人が加入している「健康保険組合」があります。

なお、75歳になると、それまで加入していた健康保険や国民健康保険から脱退し、新たに「後期高齢者医療制度」に加入することになります。

健康保険とは、健康保険に加入している人とそのご家族が、病気やケガ、出産、死亡などをした場合に、給付を受けられるものです。ただし、給付は無償で受けられるものではなく、勤務されているみなさんと会社が半分ずつ保険料として負担しあって、それを財源にして給付が行われています。給与明細書を見ていただくと「健康保険料」として記載されていると思います。その健康保険料の金額が、給与から控除されています。

「病院で支払う医療費は、3割が自己負担である」ということを知っている人は多いでしょう。自己負担割合は、年齢によって下記の表1のとおり異なります。現役世代と言われている人は3割負担なので世間的には、「医療費は3割」という言葉が浸透しているようです。

  • (表1)医療費の自己負担割合

都道府県別・健康保険料率

下記の表2は、協会けんぽの健康保険料率です。保険料率は都道府県ごとに算出しています。このため、疾病などになる人が多く医療費がかさんでしまう都道府県は、その分保険料率が上がります。逆に、疾病の予防などを積極的に行い医療費の削減に努めている都道府県は、その分保険料率も下がります。

表2を都道府県ごとに見てみると、平成31年度(2019年度)も令和2年度分(2020年度)も保険料率が最も高いのは佐賀県(黄色で表示)で、最も低いのは新潟県(緑色で表示)です。人口が多い東京都や神奈川県、大阪府、愛知県あたりが最も高い保険料率になるのではないかと思いましたが、人口の多さと保険料率の高さは比例していないようです。

  • (表2)令和2年度都道府県単位保険料率

終わりに

毎日の生活で健康保険料を気にして暮らすことは、ほとんどないと思います。しかし、健康を維持することの大切さは、どの人も感じていらっしゃるのではないでしょうか。

1人1人が体を大切にして健康でいることで、医療費は削減され、その効果として私たちが支払う健康保険料も下がり、その分、所得(自由に使えるお金)が増えるはずです。このような良い循環が生まれるとよいですね。現在、日本国内では異例の事態であることが続いていますが、みなさまどうかご自愛ください。

高鷲佐織(たかわしさおり)

ファイナンシャル・プランナー(CFP 認定者)/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/DCプランナー1級。

資格の学校TACにて、FP講師として、教材の作成・校閲、講義に従事している。過去問分析を通じて学習者が苦手とする分野での、理解しやすい教材作りを心がけて、FP技能検定3級から1級までの教材などの作成・校閲を行っている。また、並行して資産形成や年金などの個人のお金に関する相談を行っている。