冬になると、高速道路上に「白い物体」が撒いてあることがあります。

この正体は「凍結防止剤」の塩化ナトリウムです。高速道路では雪が路面に積もると除雪を行うほかに、路面が凍結するのを防ぐため、「凍結防止剤」を撒きます。

「塩」が路面の凍結を防ぐ

道路に凍結防止剤として塩を撒くのは、路面上の水分が凍って氷で覆われた状態になるアイスバーンや、降り積もった雪を車両が踏むことで氷の層が形成される圧雪アイスバーンを解消するためです。

凍結防止剤のほとんどは、塩化ナトリウムや塩化カルシウムです。

小学校の理科の時間で『試験管に入れた真水は0℃で凍るのに、食塩を入れたら0℃では凍らない』という実験があったのをご記憶の方もいらっしゃるでしょう。

これは塩水を作ることによって凍結開始温度を下げる、いわゆる凝固点降下を起こし、氷を水の状態にするという原理です。よって、0度より低い温度でも凍らなくなります。

凍結を防ぐ「白い粉」の正体は塩化ナトリウム

また、塩化ナトリウムや塩化カルシウムが溶けるときに熱を発生するため、その周りを溶かすこともできるのです。道路脇や橋のたもとに袋が設置されている場合もあり、各自で散布することもあります。

ただし、塩化ナトリウムや塩化カルシウムは金属を錆びさせる力や環境への影響もあるため、有機系の凍結防止剤など代用品も出てきています。

凍結防止剤の散布の他にも、アイスバーンなどを解消するため、砂や砕石といった滑り止め材を散布したり、除雪後のツルツルした路面に傷をつけてタイヤの摩擦抵抗を高めることも行われています。

雪が無いのに何故撒くのか?

路面の凍結を防ぐ凍結防止剤の散布は、通常はこれから雪が降ると予測されていたり、既に降った雪が解けて、路面に残った水分が気温の低下で凍ってしまうような場合で行います。

また、気温低下に伴って霜が降りる場合にも、路面がぬれて凍ってしまうことがあるので、凍結防止剤を撒くことがあります。

路面に雪が無いのに凍結防止剤を撒くのはそのためです。

作業中の凍結防止剤散布車

散布の判断は、聞き慣れない「路温」がポイント

高速道路の除雪や凍結防止剤の散布は、気象予測と道路巡回による現場確認に基づいて作業の実施を判断します。気象予測では、気温や降水確率、降水量の他に、一般には耳慣れない「路温」と呼ばれる路面の温度予測なども使って効率的な作業を行うようにしています。

雪が降ることは止められませんが、路面が凍るのを防ぐことはできます。冬季の路面凍結防止と安全性向上のため、地道な作業が続けられています。