次々に新しい料理や食材などが登場するとあって、『食のトレンド』は刻一刻と移り変わっていく。しかし、クライアントや職場の同僚と「あれ食べた? 」という話になることはよくある。そんなときに「……聞いたこともない」というのは、かなりマズい。この連載では、ビジネスマンが知っておけば一目おかれる『グルメの新常識』を毎回紹介していく。第41回は「エスプレッソトニック」。

「エスプレッソトニック」ってなに?

「エスプレッソトニック」とはグラスにたっぷりの氷を入れ、エスプレッソとトニックウォーターを注ぎ、よく混ぜて飲むアレンジコーヒーの1つ。エスプレッソではなくコーヒーを使用したカフェトニック、または炭酸コーヒーといった名でも知られている。エスプレッソとトニックウォーターが美しく2層に分かれているものや、柑橘類などを加えているものも多く、涼やかな見た目に加えて炭酸でのどごしがいいので、夏に向けてオススメのドリンクだ。SNSでも話題になっている。

エスプレッソトニックの始まりには諸説あるようだが、2010年ごろに北欧で生まれたといわれており、比較的新しい飲み方のようだ。それ以前にも炭酸とコーヒーを組み合わせたドリンクが生まれたことはあったがなかなか定着しなかったという説も。2010年以降、カフェブームの高まりとともに徐々にエスプレッソトニックを提供する店が増え、認知度も上昇してきた。インスタ映えもしやすいからか、近年さらに人気が急上昇中だ。

エスプレッソトニックはどこで飲める?

カフェやコーヒー専門店ではエスプレッソトニックを販売している店も増えてきた。例えばアメリカ発祥のコーヒー専門店で新宿、六本木をはじめ関東に4店舗を展開するVERVE COFFEE ROASTERS( ヴァーヴ コーヒー ロースターズ)では2016年の新宿店オープン時、同店の"Coffee is a fruit"という考え方を具現化するドリンクとして、国内の店舗限定で「カフェトニック」の提供を開始。独特のスッキリした飲み口にハマる人が続出し、今ではアメリカの店舗でも商品化されているという。

  • VERVE COFFEE ROASTERS「カフェトニック」(税別650円)

エスプレッソは神奈川・北鎌倉にある同店のロースター&カフェで丁寧に焙煎したコーヒー豆のブレンドと「ウィルキンソン」のトニックウォーターを使用。トニックウォーター自体の甘みとエスプレッソの苦味の相性が良く、最後に振りかけたオレンジピールの香りがより爽やかな味に仕上げている。

「男性を中心に人気が高まっていて、一部では"大人のコーラ"ともいわれています。これからの暑い時期にリフレッシュしたい時におすすめ。甘いパウンドケーキと合わせてもおいしいですよ」(同新宿店マネージャーの片山由貴さん)。

東京の用賀と渋谷に合計3店舗を構えるコーヒー専門店「WOODBERRY COFFEE ROASTERS」(ウッドベリー コーヒー ロースターズ)も、エスプレッソトニックを楽しめるカフェの1つ。日替わりのエスプレッソをベースにしたエスプレッソトニック(税別700円、テイクアウトの場合は税別650円)を2016年ごろから販売している。

  • 氷とトニックウォーターの上からエスプレッソと静かに注ぐ

こちらのエスプレッソトニックには北欧で親しまれている、浅煎りでフルーティな酸味を残したエスプレッソを使用。組み合わせているのはイギリス生まれのFEVER-TREE(フィーバーツリー)「PREMIUM TONIC WATER(プレミアムトニックウォーター)」。このトニックウォーターは日本ではあまりなじみがないが、ジントニックなどカクテルに使われるもので、人工甘味料・香料不使用。熱帯で自生する「キナの木」の天然エキスが配合されている。独特の苦みと爽快さが暑い日にぴったりだ。

同渋谷店の焙煎士である井上心平さんは「スウェーデンの有名なコーヒーロースターがInstagramでレシピを公開していたことがきっかけで当店での商品化を思いつき、2016年から販売していると聞いています。フルーティなエスプレッソの爽やかさを味わってほしい」と話す。

VERVE COFFEE ROASTERS、WOODBERRY COFFEE ROASTERSともにエスプレッソトニックはテイクアウトでも利用が可能なので、仕事の合間のリフレッシュにも良さそうだ。

また、エスプレッソトニックは、好みのエスプレッソやコーヒーとトニックウォーターを用意すれば自宅で楽しむこともできるので、試してみてもいいかもしれない。

  • 糖分を含むトニックウォーターにコーヒーを注げば、簡単に2層のエスプレッソトニックが味わえる

エスプレッソトニックを飲んでみた

東京・中目黒の「STARBUCKS RESERVE ROASTERY TOKYO」は巨大な焙煎機が鎮座しているスターバックスの旗艦店。通常のカフェメニューの他に、フードやギフト商材なども充実している4階建てのサードプレイスだ。同店で提供しているのが「バレルエイジド ハイボール」。

  • 「STARBUCKS RESERVE ROASTERY TOKYO」の「バレルエイジド ハイボール」(税別900円)

ウイスキー樽の中でエイジング(熟成)したコーヒー豆から抽出したコールド ブリュー コーヒーをソーダで割り、レモンをのせた爽快感あるドリンク。ウイスキーのような芳醇なコーヒー風味が広がるがノンアルコールなので、仕事の合間の息抜きにもおすすめだ。ウイスキーの香りがアロマのようで、ゆったりと落ち着ける。

最近話題でもある“コールド ブリュー(低温抽出)コーヒー”は、低温でコーヒーのエキスを10時間前後かけて抽出する水出しアイスコーヒーのこと。ゆっくり抽出するので、クリアでまろやかな味わいが特徴だ。実際に味わってみると、通常のアイスコーヒーに比べ、苦みや渋みなどが少なく飲みやすい。後味もスッキリして、これからの夏場におすすめかも。

ソーダは微炭酸なので、マスク着用の外出で顔が火照りがちな初夏の時期に、ゴクゴク飲めるところが嬉しいところ。同店には見晴らしのいい屋外テラス席もあるので、比較的安心してマスクを外して、風に吹かれながら一服することができた。

Withコロナ時代は、何かとストレスがたまりがち。いつものアイスコーヒーもいいが、炭酸入りでシュワシュワ感も楽しめるエスプレッソトニックで、上手にストレス発散や気分転換してみてはいかがだろうか。

※価格は特記がない限り税別