まいど、"相場の福の神"こと藤本誠之です。この連載では、上場企業の経営者との面談から気づいた、藤本がすごいと思った、ユニークなビジネスモデルの企業をご紹介します。第18回は、「自動ドア、M&Aで南下戦略」です。

新規設置では儲からない?

今回ご紹介するフルテック (6546 東証2部)は、札幌市中央区に本社がある自動ドア開閉装置を販売・施工、保守サービスを行っている企業です。

フルテックは、全国の自動ドアの約10%を設置・保守を行っています。この業界は特殊な業界で、新規の自動ドアの設置ではほとんど儲かりません。なぜなら、ゼネコンなどの資材への引き下げ圧力が大きく、価格競争が厳しいため、赤字受注の案件もあるそうです。

  • 渋谷ヒカリエでも導入(同社HPより)

保守メンテナンスと更新需要

収益の多くは、保守メンテナンスや更新需要です。自動ドアは平均的には12年程度で取り換える必要があります。

通常、保守メンテナンスを行っている企業は更新需要を取り込むことが多く、価格競争に巻き込まれにくいので高収益が期待できます。現在のフルテックの収益は、過去に設置した自動ドアの保守メンテナンス・更新需要となっており、ずっと右肩上がりの高成長となっています。

M&Aでの南下戦略

元々の地盤は北海道で、北海道ではシェア50%を超えてトップシェアとなっています。徐々に他の地域での同業他社を次々買収しており、東北、関東の一部まで進出しています。

首都圏攻略

自動ドアの最大の市場は当然首都圏なのですが、新設需要を思い切った低価格戦略で取り込み、シェアを10%まで拡大しています。新設では収益が上がりにくいですが、設置台数の増加により、今後は保守メンテナンス・更新需要で安定したストック収益が期待できます。

福の神の「ここがすごい」
新設では非常に儲かりにくく、保守メンテナンスと更新需要で稼ぐという自動ドア業界。フルテックはその商慣習に合わせて、北海道の地盤を固めた。その後はメンテナンスがあるため、点でなく面で攻める戦略で近隣の同業他社を買収する南下戦略をとる。進出先では、積極的な低価格戦略でシェアをUPし、目先の収益ではなく、将来の収益源を大きくしている。近い将来全国制覇も期待できそうだ。

フルテック (6546)東証2部

■株式データ
株価 1,607円
単元株数 100株
予想PER(連)19.6倍
実績PBR(連) 1.57倍
予想配当利回り 1.56%
時価総額 約86億円

* 株価データは2018年3月15日終値ベース
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藤本誠之

藤本誠之

「相場の福の神」と呼ばれる財産ネット株式会社の企業調査部長。 年間200社を超える上場企業経営者とのミーティングを行い、個人投資家に真の成長企業を紹介している。「まいど!」のあいさつ、独特の明るい語り口で人気。日興證券、マネックス証券、カブドットコム証券、SBI証券などを経て、現在は、財産ネット株式会社の企業調査部長。ラジオNIKKEIで4本の看板番組を持ち、その他テレビ出演、新聞・雑誌への寄稿も多数。 日本証券アナリスト協会検定会員、ITストラテジストAll About株式ガイド。 著書:『難しいことは嫌いでズボラでも 株で儲け続けるたった1つの方法』(SBクリエイティブ)など合計15冊