八ヶ岳を望み、中央本線と小海線が接続するJR小淵沢駅。2017年7月に駅舎がリニューアルされ、高原らしい木をふんだんに用いたおしゃれな駅に変貌を遂げた。1956(昭和31)年からこの駅で営業する立ち食いそば「丸政」も装いを新たにした。
「丸政」は「創業大正7年」という老舗の弁当屋で、もともとは富士見駅で立売り営業を開始し、1929(昭和4)年に小淵沢駅へ移って来た。有名な「高原野菜とカツの弁当」(1,000円)や「元気甲斐」(1,600円)をはじめ、「丸政」は山梨の駅弁の代名詞にもなっている。その弁当と同じく、駅の立ち食いそばも有名。ファンの間でも「安くてうまい」と人気がある。
券売機でチケットを購入して注文するスタイルなのだが、とにかくリーズナブルなメニューに驚く。一番安い「かけ」は、なんと290円。さっと食べるのもおすすめだし、好きな具材を選んでトッピングするのも楽しい。そば、うどん以外に「黄そば」という中華麺も選べるのが面白い。天ぷらに中華麺という組み合わせも、意外とイケるのだ。
ここで食べておきたいメニューが「山賊そば」(420円)。タレに漬け込んだ鶏もも肉を揚げた信州の郷土料理「山賊焼き」がトッピングされた、ボリューム満点の人気メニューだ。まずは唐揚げをいただく。サクサクした食感に、タレの風味と鶏の味が口に広がる。そばは太めで歯ごたえがあり、出汁(だし)は少し甘め。その出汁が衣に染みることで、唐揚げがまた違った風味になり、最後まで楽しめるのがうれしい。
「丸政」では他にも「馬肉そば」(480円)や「紅生姜天そば」(400円)といった魅力的なメニューがそろう。小淵沢駅が近づくと、「今回は黄そばにしよう」「あれをトッピングしてみよう」など、つい想像を巡らしてしまう。
リピーターになること間違いなしの「丸政」の駅そば、ぜひご賞味あれ。