計3台を乗り継いだメルセデス・ベンツの名車「S124」との暮らしも、ついに終わりの日を迎えた。新しいクルマに乗り換えたのだ。ということで、この連載も今回でおしまい……とはならない。乗り換えたクルマは、同じ「124」シリーズのセダン「W124」なのだ! これからも、名車との暮らしは続いていく。

  • メルセデス・ベンツ「W124」

    メルセデス・ベンツの「S124」から「W124」(写真)に乗り換えました(本稿の写真は撮影:原アキラ)

買い換えの顛末

前回(連載第14回)は、ランボルギーニ「ウルス」に乗って「まるでセダンの『W124』のようだ」と感じたこと、さらには「それが欲しくなってきた」ことを書いた。今回は、ついにそれを実現してしまったお話である。

これまで乗っていたメルセデス・ベンツのS124型ステーションワゴンは、たくさんの荷物を積み込めたり、いざというときには7人で乗れたりと、実用性という面ではケチのつけようがないほどの性能を発揮してくれていた。最初の「E220」、ほんのわずかの期間だった「E280」「E320」と、合計で10年間にわたって“ちょっと古い”メルセデス製ワゴンに乗り続けてきたのは、そこが一番の理由だった。

しかし、である。ベースになったW124型セダンに一度でも乗ってしまうと、その乗り心地の良さやボディの剛性感、静粛性など、「メルセデスらしい走り」という面に気持ちが持っていかれてしまう。それは、セダンの方がステーションワゴンに比べてボディの開口部が狭く、エンジンルーム、客室、トランクの間にきちんとした仕切りがあるという構造的な面から見ても明らかなところなのだ。

  • メルセデス・ベンツ「W124」
  • メルセデス・ベンツ「W124」
  • セダンの走りを一度でも味わってしまうと、簡単には忘れられなくなってしまうのだ

「ウルス」の試乗から帰ってきてモヤモヤしていた頃、たまたま出向いたアイディングで出会ってしまったのが、これからの連載の主役を務める1993年式のW124なのである。

1993年式W124の「280E」が新たな愛車に!

W124は1986年から1995年(ワゴンの一部は1996年)までという長い販売期間があり、モデルとしては前期、中期、中後期、後期の4つに分けられる。

86~89年までの前期モデルは、SOHCエンジンとサイドパネルなしの黒い樹脂製モールが特徴。最初のマイナーチェンジを迎えた90~92年の中期型は、エンジンはそのままで、ボディサイドに初めてあの有名な“サッコパネル”を装着することになる。

93年の中後期型になると、ボディはそのままで排気量アップ&DOHCヘッドを搭載した高出力エンジンに載せ替え、ホイールも15穴→8穴タイプに変更。94~95年の後期型は、それまで「ミディアムクラス」と呼ばれていた名称が「Eクラス」に変わるとともに、フロントグリルやヘッドライトをシャープな形状に意匠変更し、クリアレンズのウインカーやボディ同色のバンパーを採用して少し“今風”の顔つきになっている。

124型は「W」よりも「S」の方が人気だったことに加えて、筆者の95年式S124型「E320」の距離計はまだ9万キロ台だったので、アイディング白濱社長の裁量もあり、なかなかの価格で引き取ってもらうことができた。そのおかげで、スムーズに今回の93年式W124「280E」を手に入れることができたのである。

新たな愛車のスペックやワゴンとの違い、走行面、装備のお話については次回から。引き続きのお付き合いをどうぞよろしくお願いします。