4台を乗り継いできたメルセデス・ベンツ「124」との暮らしを報告する本連載。久しぶりの更新となった今回は、2021年9月に走行距離6.1万kmで我が家にやってきたメルセデス・ベンツの1993年式W124セダン「280E」(最終型E280の前の中後期型)のタイヤを交換した話だ。タイヤを換えるとクルマはどう変わるのか。体験談をレポートしたい。

  • メルセデス・ベンツ「280E」

    旧車はタイヤでどう変わる?

ミシュランからグッドイヤーへ

さて、わがW124はつい先日の5月21日、多摩市聖ヶ丘の都道18~19号「町田調布線」を走行中にオドメーターの数字がゆっくりと回転し、ついに積算距離が7万kmに到達した。10万km、20万kmが当たり前の旧車の世界では、まだまだ大したことのない距離ではあるのだが、たまたま多摩東公園そばの2車線道路だったので道路わきに124を停め、スマホでパチリと撮ったのがこの写真だ。

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    「124」にしては積算距離が少ない我が「280E」

なぜここを走っていたかというと、愛車の整備でお世話になっているアイディング(横浜地都筑区)でタイヤ交換をしての帰り道だったのだ。タイヤフェチの筆者にとっては、新型タイヤは登場するたびに換えたくなるほど魅力的なもの。同じコンフォートタイプでも、メーカーによって乗り味がかなり違うのはご存じの通りだ。

124はタイヤに対して敏感な車種なので、履き替えるたびに新しいクルマに乗り換えたような気分が味わえるし、その変化がとても面白い。おかげで、自宅ベランダには奥さんから「タイヤ屋さんか!!」といわれるほどの種類が場所をとっていて、ちょっとやばい状態でもある(夏タイヤとしてはブリヂストンの「レグノ」も保管中)。124は専用ジャッキを備えていて、気が向いたときにタイヤ交換を自分で簡単に行えるというのも、私のタイヤフェチに拍車をかけている。

2シーズン使用したミシュラン「エナジーセイバー4」に代わって新しく取り付けたのは、グッドイヤーの最新モデル「エフィシェントグリップ パフォーマンス2」の195/65R15サイズ(転がり抵抗性能「A」、ウェットグリップ性能「a」)だ。

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    グッドイヤーの最新モデル「エフィシェントグリップ パフォーマンス2」を装着!

メーカーによるとこのタイヤ、高水準のトーラルバランスを誇る欧州発のコンフォートフラッグシップモデルであるとのこと。技術的な説明としては「ドライスタビリティプラステクノロジー」:トレッド中央部の2本(3本のタイプもある)のリブを大型化してトレッド剛性を高め、ドライ路面での優れた操縦安定性とハンドリングを実現、「ウェットブレーキングテクノロジー」:弾力性と柔軟性が高いコンパウンドを採用し、ブレーキ時のブロックの倒れ込みを防ぎながら優れた排水効果を発揮、「マイレージプラステクノロジー」:同様のコンパウンドをトレッド面に採用することによって、さまざまな温度域でもゴムの破損を防止することができ、従来比で1.5倍のロングライフを実現、などとうたわれている。

  • メルセデス・ベンツ「280E」
  • メルセデス・ベンツ「280E」
  • 刻印を見ると「MADE IN POLAND」の「4421」なので、2021年の44週目(11月1週目)にポーランドで製造されたものだ

装着後の慣らし運転もそこそこの段階でまず気がついたのが、ブレーキの効きが変わったこと。筆者の124は、欧州車によく見られるホイール汚れ(すぐに真っ黒になるアレ)を避けるためにディクセル製の低ダストブレーキパッドを装着していて、当然ながら純正に比べると効き方がほんの少し甘くなっていた。それがタイヤを換えた途端、ペダルの踏み初めからの減速Gがしっかりと立ち上がるのが体感でわかるので、ブレーキをちょっとだけ摘むような車速のコントロールがしやすくなった。これはうれしい。

走行音に関してはびっくりするほど静か、というわけではないけれども、荒れた路面を通過してもあまりノイズが高まらないので、車内の音圧が常に一定に保たれるという感じ。乗り心地は路面の凹凸をうまくいなしつつ、タイヤの剛性感はしっかり残すタイプだ。またコーナリング時には、ステアリングの手応えがこれまでよりぐっと増していて、スポーツタイヤに交換した時のような運動性能の高さが味わえる。このあたり、超高速域のロングドライブだけでなく、一般道や郊外のワインディングをかなり高い平均速度で走る腕の立つドライバーが多い欧州で高い評価を得ているこのタイヤの実力を物語っている。後日同乗した妻からも、すぐに「タイヤ換えたでしょ?」といわれたくらいだから、体感的に結構な差があるのだろう。燃費性能については、今後のドライブで明らかになるはずだ。

  • メルセデス・ベンツ「280E」
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  • タイヤ交換の効果はてきめん

ホイールは純正そっくりの社外品に!

ちなみに、このタイヤを装着するためにアイディングの白濱社長が用意してくれたのは、前期用純正15穴タイプとそっくりの社外品。MADE IN ITALYの「FONDOMETAL」(フォンドメタル)社製の中古品だ。サイズも純正と同じ6.5J×15 H2でP.C.D112。ホイールは周囲にガリ傷のない美品なのだが、ブレーキダストで少し汚れていたのでWAKO’Sの「バリアスコート」で磨くことに。すると、新品同様とまではいえないけれどピカピカになった。

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  • ホイールは純正品そっくりの中古を装着。磨くとピカピカに

ところで、このホイールでひとつ注意しないといけないのは、それまで使用していた純正のボルトは長すぎて取り付けることができず、少し全長が短い専用のものが必要な点だ。

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    上が純正品、中がフォンドメタル用、下は形状の違うもの

すぐに気が付いて、アイディングの近くにあるホイール専門店で手に入れることができたから事なきを得たけれど、ヤフオクなどでこのホイールを手に入れようとする方は要注意。124に取り付けてみたら、妙にツライチ感がアップしてスポーティーなイメージになったので、オフセット値が純正とほんの少し異なっているのかもしれない。空気圧は、給油口のフタに記されている通りF2.2bar、R2.3barで調整している。

  • メルセデス・ベンツ「280E」
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  • ホイール交換によりツライチ感が増してスポーティーに

梅雨入り前だったので、ゴムの中央部分が千切れつつあったフロントのワンアームワイパーもブレードごと交換した。Amazonで注文したのはBREED社製のエアロタイプで、「前面全てがスポイラーフォルムになっているため、高速走行時に浮き上がりのないワイピングと、停止時の風切り音の低減を同時に実現する」との触れ込みになっている。お値段は1,800円となかなかリーズナブル。U字フックなので取り付けは簡単で、見た目もすっきり。軽量で拭き取りもバッチリなのでお気に入りだ。

  • メルセデス・ベンツ「280E」
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  • 左がワイパー変更前、中央が変更後

ロック部分がプラスチックで耐久性がちょっと心配だったので、外した純正ブレードはゴムだけを交換して保管することに。長さが600mmのボッシュ製替えゴムを取り付けてみたら、前期型124のブレード長は608mmだったようで、金属のプレート部分がわずかに余った状態になった。交換に挑戦する方は、少し長めのものを購入してカットするのがよさそうだ。

  • メルセデス・ベンツ「280E」
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  • 純正ブレードは保管しておくことにした

124ではこのところ、東京の西側方面に行くことが多い。写真は筆者の長男の友人の中島テルフミ君が所有している築100年以上の古民家を訪れた時のもの。彼はここを仕事場としてバイクやヘルメットのペイントショップ「FLAG-UP」(相模原市緑区牧野11248)を開業していて、長男が所有する「XL230」の塗装でもお世話になった。ショップを展開しただけでなく、裏山を切り拓いて展望台のある畑にしたり、林業にいそしんだり、また林の一部をエンデューロコースにしてみたりと、いろいろやっている。目の前の道志川沿いには青根キャンプ場が広がっていて、一緒に連れて行った孫たちも楽しんでくれていた。

  • メルセデス・ベンツ「280E」
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  • 走行距離7万kmでまだまだ快調な「W124」

  • メルセデス・ベンツ「280E」
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  • 「W124」で訪れたペイントショップ「FLAG-UP」