私はかれこれ20年近く、家計のやりくりの取材をしてきました。その中には、貯蓄が1,000万円以上ある人も、少なくありませんでした。その人たちが、とりわけ収入が多いというわけではありません。年収300万円台(手取り)というケースもたくさんありました。また、お金を使わないケチケチ生活をして、ギスギス暮らしているわけでもありません。

要するに、お金のやりくりが上手なのです。ということは、そのやりくりの仕方を真似すれば、誰でも1,000万円貯めることが可能というわけです。ぜひ今日から真似してみてください。

モチベーションをあげる「夢ノート」とは?

欲しい物を我慢することをストレスにしない

「出ずるを制す(為す)」という言葉があります。正確には「入るを量りて出ずるを制す」と言います。意味は、要するに「収入を計算して、それに見合うように出費を調整する」ということで、昔から財政の基本の「き」とされてきました。これは、家計のやりくりにも通じることです。

お金を貯めようと思ったら、出費を抑える必要があります。つまり「節約」ですね。欲しい物を欲望のままに買っていては、お金は貯まりません。「欲しい!」と思ったときに、「いや待て。本当に欲しいのか? 本当にこれが必要か?」と自問自答して、答えが「NO」なら、購入を思いとどまります。要するに「欲しい物を我慢する」ことですね。

これが、なかなかストレスがたまることなんです。我慢が続くと、その反動でストレス発散のための衝動買いに走ってしまうことも。以前も書きましたが、ストレスはお金を貯めるうえで強敵です。

欲しい物を我慢して買わないときに、それをストレスにしない方法のひとつが「夢ノート」です。

お金を貯めるにはモチベーションを上げるのがポイント

私が、初めて「夢ノート」に出会ったのは、1,000万円貯めた方を取材したとき。その人は、ノートではなく、夢"ピンナップボード"をつくっていました。

コルクボードを壁につけ、そこに買いたい物、行きたい場所、なりたい自分のイメージ、あこがれのインテリア……などの写真を雑誌などから切り抜いてピンナップ。「これを眺めていると、自然とムダ使いがなくなるんです」とその人はおっしゃっていました。

夢ピンナップボードの進化系が、「夢ノート」です。ここには、写真だけではなく、1,000万円貯まったらしたいこと、お金を貯めるために今、すべきこと、将来の目標や夢なども書かれていました。写真を見ることで視覚的に、貯めることへのモチベーションが上がるだけではなく、文章を書くことで貯める目的がより明確化します。だいいち、夢を自由に書くだけでも楽しいもの。

みなさんもぜひ夢ノートをつくってみてください。そして、やりくりや節約に挫折しそうになったとき、ノートを読み返したり、気分が上がるイメージ写真を眺めたりしてみてください。1,000万円貯蓄という大きな夢を改めてきちんと確認するということは、1,000万円達成への助けになるはずです。


村越克子
フリーランスライター。学習院大学文学部心理学科卒業。編集会社を経て、フリーに。主婦を読者対象とした生活情報誌を中心に執筆。家計のやりくりに奮闘する全国の主婦を取材し、節約に関する記事を数多く手がける。執筆協力に『綱渡り生活から抜けられない人のための絶対! 貯める方法』永岡書店など。